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5.死人に口なし
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朝食は、ご飯とみそ汁、干物に漬物。起きたと同時にノックの音がし、女が運んできてくれた。簡素な朝食だが美味しかった。
身支度をし、外に出る。今日も雲ひとつない快晴が出迎えてくれる。
「魔王が出た」その他3人の声が門の方から微かに聞こえる。モブは年中無給のようだ。ブラック企業なら泣いて喜んで雇いそうである。
気を新たに、残っている3つの家に向かう、看板がある家1つと看板がない家2つ。
看板のある家へ向かう。
看板には試験管のような絵柄が描かれている。
予想は道具屋。当たったところで、今の5枚の銀貨で買えるものがあるのか期待薄だが、もしかしたら薬草もどきの正体がわかるかもしれない、という期待があった。
例のごとく、家に入るとカウンターと男。もはや驚かないが、意外性の無さに悲しくなる。
「どんなごようですか?」無表情に男が聞く。
「買いにきました」
「どれをご所望ですか」
選択肢を想像する時間が始まる。とりあえず最初は
「薬草」腰の未確定物質を指定する。
男は口を開けない。
もうこんなことで大袈裟に失望しない、成長したものである。でも、心に少しの傷を負う、グハッ。
またもや、適当に道具屋にありそうなものをつらつら並べていく。上薬草、回復薬、毒消し、ポーション…。
男は一切反応しない。
ある程度、確かめていさぎよく諦める。
何事も諦めが肝心である。
結論から言おう。
残り2軒の看板のない家は入ることができなかった。
鍵が閉まっているのか、扉を揺らしてもガチャガチャ少し動くだけで開く気配がなかった。
筋肉隆々の肉体なら木の扉くらい蹴破れるかも…?と思って、思いっきり蹴ってみたがうんともすんとも言わなかった。
次に切り替える。
見落としているところがないか、考える。
最後に残る建物は城だ。
城は最初に辺り構わず突き進んで、魔王にあっけなく倒されて以来行っていないから、見落としがあるかもしれない。
宿屋を出てからものすごく性格がサバサバした様な気がする。寝たおかげか、それとも作者が話をとっとと進めたいのか。
城の扉の前まで来た。
途中の階段には横に逸れる道はなかったが、今いるところには、城を取り囲む様な道がある。城兵が索敵のために昼夜うろついていそうな道だ。
城壁に手をついて、何も見逃さないように慎重に進む。
半分くらい進んで、扉の反対側まできたかというところで城壁を触っていた手に違和感を感じた。
見た目ではわからないが、手のひらサイズの四角い凸がある。
感触的には押すタイプのスイッチの様に感じる。
少し逡巡する。しかし結局は押さなければ変化は望めない。
ふぅ、と息を整える。何が起きてもいいように備える。できれば良いことが起こるように願う。
スイッチを軽く押す。軽く押したつもりだが、思ったよりスイッチに抵抗力がなく、ズブズブとスイッチを奥深く押してしまった。
慌てて、スイッチから手を離す。身をかがめて何が起きてもよい姿勢をとる。
何ごともなかったかのように辺りは静まり返っている、機械的な音がするわけでもなく、カラクリ的な音がするわけでもない。聴覚も視覚も変化を感知しない。
前触れも音沙汰もなく、感触の変化は足に起きた。
瞬時に床を見る。いや、床だった場所を見る。
どこかに手を掛けようとする余裕も悪あがきする余裕もなく。ストンと落ちた。
落ちる。
時間が長く感じる。お約束の走馬灯は、記憶が短くてすぐに終わってしまった。
ズドン
足から落ちたはずなのに全身に痛みが走った。
頭が朦朧とし、終わりが近いことを知る。
暗くなる視覚の中で、自分のいる場所を確認する。
辺りには骨が散らばり、前方には鉄格子。まさしく地下牢だ。廊下を挟んだ向こう側の牢屋には両手をはりつけにされた骸骨。
骸骨には錆びた王冠。
薄れていく意識の中で、あなたは誰?と尋ねる。
もちろん骨は答えず、黙してそこに佇むのみ。
最初から始める。
眼を開けると青い空と大きな門が見えた。
仰向けの身体を起こすと門の向こうに城が見えた。
典型的な城。配管工が何個か潰しそうな城。
腰の剣と筋肉隆々の身体、イケメンの顔、TシャツとGパン
身支度をし、外に出る。今日も雲ひとつない快晴が出迎えてくれる。
「魔王が出た」その他3人の声が門の方から微かに聞こえる。モブは年中無給のようだ。ブラック企業なら泣いて喜んで雇いそうである。
気を新たに、残っている3つの家に向かう、看板がある家1つと看板がない家2つ。
看板のある家へ向かう。
看板には試験管のような絵柄が描かれている。
予想は道具屋。当たったところで、今の5枚の銀貨で買えるものがあるのか期待薄だが、もしかしたら薬草もどきの正体がわかるかもしれない、という期待があった。
例のごとく、家に入るとカウンターと男。もはや驚かないが、意外性の無さに悲しくなる。
「どんなごようですか?」無表情に男が聞く。
「買いにきました」
「どれをご所望ですか」
選択肢を想像する時間が始まる。とりあえず最初は
「薬草」腰の未確定物質を指定する。
男は口を開けない。
もうこんなことで大袈裟に失望しない、成長したものである。でも、心に少しの傷を負う、グハッ。
またもや、適当に道具屋にありそうなものをつらつら並べていく。上薬草、回復薬、毒消し、ポーション…。
男は一切反応しない。
ある程度、確かめていさぎよく諦める。
何事も諦めが肝心である。
結論から言おう。
残り2軒の看板のない家は入ることができなかった。
鍵が閉まっているのか、扉を揺らしてもガチャガチャ少し動くだけで開く気配がなかった。
筋肉隆々の肉体なら木の扉くらい蹴破れるかも…?と思って、思いっきり蹴ってみたがうんともすんとも言わなかった。
次に切り替える。
見落としているところがないか、考える。
最後に残る建物は城だ。
城は最初に辺り構わず突き進んで、魔王にあっけなく倒されて以来行っていないから、見落としがあるかもしれない。
宿屋を出てからものすごく性格がサバサバした様な気がする。寝たおかげか、それとも作者が話をとっとと進めたいのか。
城の扉の前まで来た。
途中の階段には横に逸れる道はなかったが、今いるところには、城を取り囲む様な道がある。城兵が索敵のために昼夜うろついていそうな道だ。
城壁に手をついて、何も見逃さないように慎重に進む。
半分くらい進んで、扉の反対側まできたかというところで城壁を触っていた手に違和感を感じた。
見た目ではわからないが、手のひらサイズの四角い凸がある。
感触的には押すタイプのスイッチの様に感じる。
少し逡巡する。しかし結局は押さなければ変化は望めない。
ふぅ、と息を整える。何が起きてもいいように備える。できれば良いことが起こるように願う。
スイッチを軽く押す。軽く押したつもりだが、思ったよりスイッチに抵抗力がなく、ズブズブとスイッチを奥深く押してしまった。
慌てて、スイッチから手を離す。身をかがめて何が起きてもよい姿勢をとる。
何ごともなかったかのように辺りは静まり返っている、機械的な音がするわけでもなく、カラクリ的な音がするわけでもない。聴覚も視覚も変化を感知しない。
前触れも音沙汰もなく、感触の変化は足に起きた。
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落ちる。
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