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14話
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「ほんとに似合ってる?大丈夫か?」
『俺が選んだんだから似合うに決まってる』
「変なとこない?」
『大丈夫だってば、"ただの同僚"と出かけるだけだろ』
「確かにそうだけど…」
『大丈夫だよ兄さんなら、俺もう仕事始まるから切るね』
遠くで『雀さん今行くんで!』と叫ぶ心が無慈悲にも電話を切る。確認は何度してもしたりないのに家を出る時間は迫っていて、半ば諦めた清水が鏡を見る。今日は東雲と水族館に行き、東雲の家に泊まる予定だ。
左腕の腕時計は9:00、待ち合わせの場所に行くと東雲が誰かと話していた。口説かれているのだろうか、少し困ったように眉を下げた東雲は苦笑いで、でも東雲と並んでも霞まないほど綺麗な人に気持ちが後ずさる。やはり東雲と付き合うのはああいう人だろうな
「おにーさん可愛っすね、一人?」
遠くから終わるのを待とうと眺めていると後ろからいきなり声をかけられ腕を掴まれる。突然のことに驚いて振り払おうとするが清水より背の高い男は腕を強く掴んで離してくれない。
「なに、なんですか」
「カラーってことは…オメガ?」
「ラッキー」ともらしながら見定めるように上から下まで視線が動く。舐めるような視線に不快感が止まらず、弱々しくやめてと話す清水の声なんて虫の声の如く届かなくて募る恐怖心に体が震え出す。嫌だ、嫌だどうしよう、怖い、こわい
「フリーっしょ?良いじゃん俺と行こうよ」
話の聞かない男が強く握った腕を引っ張り東雲から遠ざかる。
「しののめ、こわい…っ」
「清水っ!」
焦ったような声がしたと思うと掴む腕が引き剥がされ相手の腕が捻り上げられる。後ろを見ると見た事のない顔をした東雲が静かに睨み抱き寄せられた。
「行こう清水」
「東雲」
東雲に掴まれた腕が痛い、でもさっきみたいな不快感はなく、伝わる東雲の温もりに安堵する。
「清水、ごめん大丈夫?怖くない?」
震える肩を抱きしめながら頭を撫でられる。落ち着かせようと動く手にぎゅうっと抱きついた。もう怖くない、東雲がいる。
「大丈夫、もう怖くない……ありがとう」
腕を離し東雲の顔を見ようと上を向くと、東雲から軽い口付けを落とされる。
「震えも止まったね?本当に良かった」
「東雲が来てくれて良かった、ありがとう」
今度はくしゃりと頭を撫でて笑う東雲に、先程の睨みつけるような顔の面影はもう無かった。
「清水の服可愛いね」
「ほんと?嬉しい、悩んだかいがあった」
「俺とのデートのために悩んでくれたの?」
「……東雲かっこいいし、浮かないように」
「嬉しい、似合ってるよ」
歯の浮くような会話をしながら水族館へと向かう途中、繋いでいいのか分からない手が彷徨っていると東雲から握られる。絡められた指をきゅっと握って東雲の腕を抱くように近づいた。
『俺が選んだんだから似合うに決まってる』
「変なとこない?」
『大丈夫だってば、"ただの同僚"と出かけるだけだろ』
「確かにそうだけど…」
『大丈夫だよ兄さんなら、俺もう仕事始まるから切るね』
遠くで『雀さん今行くんで!』と叫ぶ心が無慈悲にも電話を切る。確認は何度してもしたりないのに家を出る時間は迫っていて、半ば諦めた清水が鏡を見る。今日は東雲と水族館に行き、東雲の家に泊まる予定だ。
左腕の腕時計は9:00、待ち合わせの場所に行くと東雲が誰かと話していた。口説かれているのだろうか、少し困ったように眉を下げた東雲は苦笑いで、でも東雲と並んでも霞まないほど綺麗な人に気持ちが後ずさる。やはり東雲と付き合うのはああいう人だろうな
「おにーさん可愛っすね、一人?」
遠くから終わるのを待とうと眺めていると後ろからいきなり声をかけられ腕を掴まれる。突然のことに驚いて振り払おうとするが清水より背の高い男は腕を強く掴んで離してくれない。
「なに、なんですか」
「カラーってことは…オメガ?」
「ラッキー」ともらしながら見定めるように上から下まで視線が動く。舐めるような視線に不快感が止まらず、弱々しくやめてと話す清水の声なんて虫の声の如く届かなくて募る恐怖心に体が震え出す。嫌だ、嫌だどうしよう、怖い、こわい
「フリーっしょ?良いじゃん俺と行こうよ」
話の聞かない男が強く握った腕を引っ張り東雲から遠ざかる。
「しののめ、こわい…っ」
「清水っ!」
焦ったような声がしたと思うと掴む腕が引き剥がされ相手の腕が捻り上げられる。後ろを見ると見た事のない顔をした東雲が静かに睨み抱き寄せられた。
「行こう清水」
「東雲」
東雲に掴まれた腕が痛い、でもさっきみたいな不快感はなく、伝わる東雲の温もりに安堵する。
「清水、ごめん大丈夫?怖くない?」
震える肩を抱きしめながら頭を撫でられる。落ち着かせようと動く手にぎゅうっと抱きついた。もう怖くない、東雲がいる。
「大丈夫、もう怖くない……ありがとう」
腕を離し東雲の顔を見ようと上を向くと、東雲から軽い口付けを落とされる。
「震えも止まったね?本当に良かった」
「東雲が来てくれて良かった、ありがとう」
今度はくしゃりと頭を撫でて笑う東雲に、先程の睨みつけるような顔の面影はもう無かった。
「清水の服可愛いね」
「ほんと?嬉しい、悩んだかいがあった」
「俺とのデートのために悩んでくれたの?」
「……東雲かっこいいし、浮かないように」
「嬉しい、似合ってるよ」
歯の浮くような会話をしながら水族館へと向かう途中、繋いでいいのか分からない手が彷徨っていると東雲から握られる。絡められた指をきゅっと握って東雲の腕を抱くように近づいた。
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