Fatal scent

みるく汰 にい

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37話

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西村と喧嘩まがいのことをしてから数日。相も変わらず暖は忙しそうで西村とはギクシャクして、ほとんど独りになってしまっていた。
どれだけ西村と話そうにも目が合うとすぐに逸らされ話しかけようとするとどこかへ行ってしまう。


「はぁ、うまくいかないな」


まるで乱れた呼吸を整えるように、ストレスから逃げるようにただただ溜息が増えていく。それでも時間は経つし仕事は増えていくのにうまく手につかない。


「清水くん、今大丈夫か?」

やばい、全然進んでないのがばれたか?
やたらと進捗のない仕事に痺れを切らしたのか森山が話しかけてくる。

「急だが出張が決まってな」

良かった、違ったみたいだ。

「出張…ですか?」
「あぁ、俺の担当しているところだが君に引き継ぎたい。ただクライアント先が遠くてな…2泊3日くらいになるだろう」

明後日から用意しておいてくれと話す森山から資料を受け取り目を通す。2泊3日も暖と話せないのは辛いが暖も仕事に集中出来るだろう。西村とも距離を置いて考える時間が必要だしちょうど良い。やるべき事をやらなければ。


「東雲、今大丈夫か?」
「うん?どうしたの?なにかあった?」
「いや、明後日から2泊3日森山課長と出張になって…一応話しておこうかと」
「…森山課長と?」


暖が怪訝な面持ちで何かを考え込むが、その顔もまたこの間のようにすぐいつもの表情に戻り、何も話さない。

「最近森山課長と仲良いね」
「あ、あぁ…和解?じゃないか、色々あって話しやすくなったんだ」
「そっか、気を付けて行っておいでね。璃暖が帰ってくる頃には落ち着いてるし久しぶりに俺の家でゆっくりしよう」

暖の端正な指がゆっくりと璃暖の髪に触れ、大きな手で撫でられる。久しぶりに名前を呼ばれただけで心は浮き足立って寂しいという不満が吹き飛んでいく。
あまりに単純だなとも思うがまだ触れてくれる暖に安心感を覚えていられるのならそれで良かった。

「楽しみにしてる、おかげで出張も頑張れそうだ」
「うん俺も頑張るね」

髪を撫でる指先が滑るように頬を撫で離れていく。名残惜しいが仕方がない。誰にも見られてないよな、と周りを見渡すが仕事に集中していて暖と璃暖のやり取りを見ている人は居なさそうだった。ただ1人、西村を除いては。
羨ましそうな申し訳なさそうなよくわからない表情の西村と目が合った。しかしまだ西村もギクシャクとした気配があるのかすぐに視線は逸らされる。

仲直りなんて出来るのか?ぼくだけが仲直りしたいのかな。
とりあえず出張が終わったら暖とも西村とも話そう。1人で抱えこんでもどうにもならないことはよくわかっているから。
あぁそうだ、暖の家に行く時にプレゼントを渡そうか。


少し暖と話しただけでポジティブに考えられる。やっぱり暖の力はすごいな。

遠目で仕事をこなす暖を見つめて小さく頷く。暖を見習ってぼくも頑張らないと。
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