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第4話 財力の家ソスオリタル
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部屋に通され、椅子に座ると、ちょっとした話をする雰囲気になった。
「いやぁ、うちの娘が本当にすまなかったね。見苦しいところを見せてしまった」
「いえいえ、狩りを手伝ってくれて、助かりました」
「それはそうと、君、自分の家の方は大丈夫なのか?
どうせそこのアホのことだ。家の許可なんて取ってないだろう」
「アホって言わなくてもいいじゃん!まぁ、取ってないっていうか、忘れてたというかなんというか」
「そういうところがアホと言っとるんだ。反省しなさい」
「あはは...僕は家族はいないし、まともな住居はないので、大丈夫ですよ」
「まさか家族がいないとは...
あまり良くない質問だったかな、すまない。
しかし、君の年齢で一人ぼっちとは、寂しいものだね」
「まぁ、好きなことを邪魔されずのびのびできるから、意外と楽しいですよ。多分」
「そうだよね!好きなこと邪魔されないって、大事だよね!」
「パルチェ、本当にお前ってやつは!人を馬鹿にしているのか!?
はぁ......カイ、少しお灸を据えてやれ」
「わかった、父さん。ほらルチェ、少し話そうか?」
「待ってよカイ、痛い!痛いって!髪引っ張らないで!レディにひどいことしちゃだめでしょうがー!」
「カイもパルチェも同じ歳だというのに、どうしてこんなにも差があるんだろうな」
「好きなものを追う時は盲目になるんじゃないですか?恋は盲目とかって言いますし」
「まぁ、あの年頃ならそんなものだろう。そういえば、君はいくつなんだ?あの子たちとそう大差ないとは思うのだが...」
「10歳ですね。
あと、君って言われるのは慣れないので、ファリグと呼んでください」
「わかった。しかし、あの子たちと同じだとは...ますますパルチェが心配になってくるな」
「まぁ、強いのでいいんじゃないですか?」
「その強さを過信しないといいが...
そういえば、そろそろ夕食の時間になるな。どうだ、一緒に食べないか?」
「こんな赤の他人が一緒にいてもいいんですか?」
「客人が来ることは多いから、問題ない。あと、あの子たちと同じ年齢の子が来ることなんてないから、いい機会だろう。いっぱい遊んでやってほしい」
「じゃあ、お言葉に甘えることにします」
...食卓に座る前から、緊張が止まらない。
皿からまず違う。庶民の使う質素な皿じゃなくて、縁に豪華な装飾が施されてて、ついでにピカピカ。
料理もさ、これはステーキだろうけど、なんか葉っぱとかいろいろ乗せちゃってさ、高級レストランみたいだ。
座ると椅子がフカフカで、これはこれで落ち着かない。
「なんか、怖くなってきました」
「ははは、緊張するのも仕方ないか。テーブルマナーなんて気にしなくていい。汚さないでくれたら、それで十分だ」
「まぁ、早く食べましょうよ。料理が覚めてしまうわ」
「そうだな、サティ。では、食材に祈りを込めて、グラシオス」
「「「グラシオス!!」」」
グラシオスとはこの世界のいただきますのような意味があるようだ。
それにしても肉がうめぇ。体が若いから油も怖くねぇ。なんていい世界なんだ!!
「あら、今日のお肉、いつもよりもおいしいわね」
「これは、多分ボロス肉だな。貴重なごちそうだというのに、どうして?」
「あぁ、こちらはお嬢様が...」
「私とファリグ君で狩ったんだ!どう?すごいでしょ!」
「そうか...それだけ見たらすごい成長だな。強くなったものだ。
しかし、人が発言してる時に被せるんじゃない。たとえ言う内容が同じだったとしてもだ」
「はい...ごめんね、ノルさん」
「いえ、私はここに仕える身。お嬢様が謝る必要などございません」
そういえば、魔法と聞いて「あるもの」の存在を思い出した。数はあるし、一個渡してもいいか。
「そういえば、こんなものを持ってまして...」
「食事中に物を出すのは良くはないが...
気になるから見せてくれないか?」
「こんな小瓶ですが...」
そう、あるものとは薬屋でもらった属性を覚醒させる薬。使うタイミングを見失ってしまって、今までずっと忘れていたのだ。
「ほう...これはこれは、闇の覚醒薬か。ボルベドスから抽出した純粋な魔力を感じる。
これなら副作用もそう起きんじゃろう」
「これを、パルチェさんにあげようかなと思いまして」
「いいのか...!?覚醒薬なんて安くて銀貨何十枚、金貨が当たり前のような貴重品だぞ?」
「いいんです。あと2本あるので...」
「この質のものを3本とは...
もしかして、報告書にあったボルベドスから生身で生還した青年とはまさか...?」
「僕のことですね...」
「うーむ、にわかには信じがたいが。この薬は本物だ。ほらパルチェ、大切に扱いなさい」
「これで私も闇魔法が使えるの!?」
「あくまで使えるだけだ。明日は休みになっているから、魔法の練習でもしようか」
「えー、明日も森に行くつもりだったのに―」
「本当に反省しないなお前は...その薬を試してみればいいじゃないか」
「じゃあファリグ君も一緒にしようよ!」
「僕は、お邪魔になっちゃうから帰るつもりだよ」
「ファリグ君。帰るというのは、どこへだ?」
「街で宿を探しますよ」
「それなら、泊まっていくといい。
そうだ、11歳の学園入学までここにいるといい。カイもパルチェも寮に住ませるつもりだから、その時一緒に出ればいいさ」
「その提案はうれしいのですが、仮とはいえ王族の家に平民が住むとなるとまずくないですか?」
「その辺はこちら側でなんとかできるから、心配することはない。
薬のお礼とでも思って気楽にしてくれ」
「じゃあ、よろしくお願いします...?」
「やったー!ファリグ君!私の部屋来てよ!」
「パルチェさん、ずっと思ってたけど、距離近すぎない?」
「この子は人懐っこくて、一度心を許した人間にはとても関わりたくなる性格なんだ。
それが異性同性関わらず起こるものだから、好意がないのにあるように見えたりしてしまうんだ」
「ファリグ君!行こ!」
「パルチェ、ファリグ君は別の部屋だ。遊ぶのは好きにするといいが、寝る時ぐらいは離れなさい」
「そんなぁ」
そんな感じで食事は終わった。パルチェ以外の兄妹は食べ終わった後どこかへ行った。
自分はどうすればいいのかと戸惑っていると、メイドさんに話しかけられた。
「ファリグ様。部屋へ案内いたします。家具は必要な物を教えていただければできるだけ早くお持ちいたします」
「ここがファリグ様に使っていただく部屋です」
「わーい!私の部屋の横なんだ!やった!」
「これはお父様のご意向で、せめて隣にするぐらいはいいだろう、とのことだったのでここにいたしました」
「じゃあ、あとでみんなで一緒に遊ぼうよ!」
「ごめん、狩りで疲れちゃったから、今日は早く寝たいかな...
あと、みんなでってどういうこと?」
「あはは...弟とかがファリグ君と一緒に遊びたいって聞かなくて...
あと、カイも話してみたいって言ってるんだよね...」
「それは、行かなきゃいけないかもなぁ...」
「別にいいよ、大丈夫。話す時間はいくらでもあるかならね!ゆっくり休んでよ!」
「そ、そう?」
「うん、おやすみ~」
隣の部屋から聞こえる声にうるささと申し訳なさを感じながら眠りについた。
明日の魔法訓練が楽しみだな...
「いやぁ、うちの娘が本当にすまなかったね。見苦しいところを見せてしまった」
「いえいえ、狩りを手伝ってくれて、助かりました」
「それはそうと、君、自分の家の方は大丈夫なのか?
どうせそこのアホのことだ。家の許可なんて取ってないだろう」
「アホって言わなくてもいいじゃん!まぁ、取ってないっていうか、忘れてたというかなんというか」
「そういうところがアホと言っとるんだ。反省しなさい」
「あはは...僕は家族はいないし、まともな住居はないので、大丈夫ですよ」
「まさか家族がいないとは...
あまり良くない質問だったかな、すまない。
しかし、君の年齢で一人ぼっちとは、寂しいものだね」
「まぁ、好きなことを邪魔されずのびのびできるから、意外と楽しいですよ。多分」
「そうだよね!好きなこと邪魔されないって、大事だよね!」
「パルチェ、本当にお前ってやつは!人を馬鹿にしているのか!?
はぁ......カイ、少しお灸を据えてやれ」
「わかった、父さん。ほらルチェ、少し話そうか?」
「待ってよカイ、痛い!痛いって!髪引っ張らないで!レディにひどいことしちゃだめでしょうがー!」
「カイもパルチェも同じ歳だというのに、どうしてこんなにも差があるんだろうな」
「好きなものを追う時は盲目になるんじゃないですか?恋は盲目とかって言いますし」
「まぁ、あの年頃ならそんなものだろう。そういえば、君はいくつなんだ?あの子たちとそう大差ないとは思うのだが...」
「10歳ですね。
あと、君って言われるのは慣れないので、ファリグと呼んでください」
「わかった。しかし、あの子たちと同じだとは...ますますパルチェが心配になってくるな」
「まぁ、強いのでいいんじゃないですか?」
「その強さを過信しないといいが...
そういえば、そろそろ夕食の時間になるな。どうだ、一緒に食べないか?」
「こんな赤の他人が一緒にいてもいいんですか?」
「客人が来ることは多いから、問題ない。あと、あの子たちと同じ年齢の子が来ることなんてないから、いい機会だろう。いっぱい遊んでやってほしい」
「じゃあ、お言葉に甘えることにします」
...食卓に座る前から、緊張が止まらない。
皿からまず違う。庶民の使う質素な皿じゃなくて、縁に豪華な装飾が施されてて、ついでにピカピカ。
料理もさ、これはステーキだろうけど、なんか葉っぱとかいろいろ乗せちゃってさ、高級レストランみたいだ。
座ると椅子がフカフカで、これはこれで落ち着かない。
「なんか、怖くなってきました」
「ははは、緊張するのも仕方ないか。テーブルマナーなんて気にしなくていい。汚さないでくれたら、それで十分だ」
「まぁ、早く食べましょうよ。料理が覚めてしまうわ」
「そうだな、サティ。では、食材に祈りを込めて、グラシオス」
「「「グラシオス!!」」」
グラシオスとはこの世界のいただきますのような意味があるようだ。
それにしても肉がうめぇ。体が若いから油も怖くねぇ。なんていい世界なんだ!!
「あら、今日のお肉、いつもよりもおいしいわね」
「これは、多分ボロス肉だな。貴重なごちそうだというのに、どうして?」
「あぁ、こちらはお嬢様が...」
「私とファリグ君で狩ったんだ!どう?すごいでしょ!」
「そうか...それだけ見たらすごい成長だな。強くなったものだ。
しかし、人が発言してる時に被せるんじゃない。たとえ言う内容が同じだったとしてもだ」
「はい...ごめんね、ノルさん」
「いえ、私はここに仕える身。お嬢様が謝る必要などございません」
そういえば、魔法と聞いて「あるもの」の存在を思い出した。数はあるし、一個渡してもいいか。
「そういえば、こんなものを持ってまして...」
「食事中に物を出すのは良くはないが...
気になるから見せてくれないか?」
「こんな小瓶ですが...」
そう、あるものとは薬屋でもらった属性を覚醒させる薬。使うタイミングを見失ってしまって、今までずっと忘れていたのだ。
「ほう...これはこれは、闇の覚醒薬か。ボルベドスから抽出した純粋な魔力を感じる。
これなら副作用もそう起きんじゃろう」
「これを、パルチェさんにあげようかなと思いまして」
「いいのか...!?覚醒薬なんて安くて銀貨何十枚、金貨が当たり前のような貴重品だぞ?」
「いいんです。あと2本あるので...」
「この質のものを3本とは...
もしかして、報告書にあったボルベドスから生身で生還した青年とはまさか...?」
「僕のことですね...」
「うーむ、にわかには信じがたいが。この薬は本物だ。ほらパルチェ、大切に扱いなさい」
「これで私も闇魔法が使えるの!?」
「あくまで使えるだけだ。明日は休みになっているから、魔法の練習でもしようか」
「えー、明日も森に行くつもりだったのに―」
「本当に反省しないなお前は...その薬を試してみればいいじゃないか」
「じゃあファリグ君も一緒にしようよ!」
「僕は、お邪魔になっちゃうから帰るつもりだよ」
「ファリグ君。帰るというのは、どこへだ?」
「街で宿を探しますよ」
「それなら、泊まっていくといい。
そうだ、11歳の学園入学までここにいるといい。カイもパルチェも寮に住ませるつもりだから、その時一緒に出ればいいさ」
「その提案はうれしいのですが、仮とはいえ王族の家に平民が住むとなるとまずくないですか?」
「その辺はこちら側でなんとかできるから、心配することはない。
薬のお礼とでも思って気楽にしてくれ」
「じゃあ、よろしくお願いします...?」
「やったー!ファリグ君!私の部屋来てよ!」
「パルチェさん、ずっと思ってたけど、距離近すぎない?」
「この子は人懐っこくて、一度心を許した人間にはとても関わりたくなる性格なんだ。
それが異性同性関わらず起こるものだから、好意がないのにあるように見えたりしてしまうんだ」
「ファリグ君!行こ!」
「パルチェ、ファリグ君は別の部屋だ。遊ぶのは好きにするといいが、寝る時ぐらいは離れなさい」
「そんなぁ」
そんな感じで食事は終わった。パルチェ以外の兄妹は食べ終わった後どこかへ行った。
自分はどうすればいいのかと戸惑っていると、メイドさんに話しかけられた。
「ファリグ様。部屋へ案内いたします。家具は必要な物を教えていただければできるだけ早くお持ちいたします」
「ここがファリグ様に使っていただく部屋です」
「わーい!私の部屋の横なんだ!やった!」
「これはお父様のご意向で、せめて隣にするぐらいはいいだろう、とのことだったのでここにいたしました」
「じゃあ、あとでみんなで一緒に遊ぼうよ!」
「ごめん、狩りで疲れちゃったから、今日は早く寝たいかな...
あと、みんなでってどういうこと?」
「あはは...弟とかがファリグ君と一緒に遊びたいって聞かなくて...
あと、カイも話してみたいって言ってるんだよね...」
「それは、行かなきゃいけないかもなぁ...」
「別にいいよ、大丈夫。話す時間はいくらでもあるかならね!ゆっくり休んでよ!」
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