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13 レッツ妓楼2
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雷浩然は東屋の灯りなどの諸々を片し、自らの帰宅の準備を手早く済ませて雪露宮を出た。
義父のような仙人でもなく娘のように金兎雲にも乗れない彼は、距離的にどうしても遠方の緑安へ毎日は帰れないので、普段は皇都金安の借家に帰る。
酔客や自分同様遅めの帰宅者たちの中を一人歩いていると、横を通り越して行った貴人用の箱馬車がやや前方で停車した。きっと誰かの迎えだろうと気にせず歩いていると、
「――雷浩然、これ雷浩然」
馬車側面の窓の押し上げられた簾の下から、赤ら顔の知り合いが顔を覗かせた。
「ああ、これは――礼部侍郎。お疲れ様です」
黒く染めているのか白髪が出にくい質なのか、しっかりとした黒い顎髭を蓄えた齢六十に近い痩身の男性だ。
彼は雷浩然が拱手すると、上機嫌に一つ頷いた。
礼部侍郎とは官職名だ。
礼部は科挙や国の儀典を行う中心的な部署で、そこに在籍する中でも侍郎は部署トップの尚書に次ぐ地位にある。
「ちょうどお主と話をしたいと思っていた」
同じく礼部の官吏である雷浩然のその上司は、妓楼での酒席にでも行った帰りなのか吐く息から酒の臭いがプンプンした。
これだけを見れば享楽に耽る不真面目な面が際立つが、自分を雪露宮勤務に推したのは他でもないこの男だ。
「私に話とは?」
「ああいや、大した事ではない。最近の子偉殿下はどのようなご様子かと思ってな。まだその、布に包まっているのか?」
一番初めに訊かれる内容がこれか、と内心溜息をつきたくなった雷浩然だ。
巷での噂とは別に、奇奇怪怪な布だるま皇子の話は朝廷内の官吏の間では専ら有名だ。
噂だけではなくそれもあり、官吏の中には下手に関わらないようにしている者も少なくはないが、この礼部侍郎はむしろその逆で、何かと気に掛けている。
何故なら、彼は肖子偉の――祖父なのだ。
彼は今は亡き黎貴妃の父親にあたる。
つまりは第二皇子の外戚だ。
「多少頻度は減りましたが……」
「そうか。皇城の外の噂は決して看過できないが、少しくらいはその積極性を身に付けてほしいものだな」
同意しづらい意見に、雷浩然は微苦笑するにとどめた。
「嫁の一人でも迎えれば責任感が芽生えて成長するかもしれないが、引き合わせようとしても逃げる隠れるで手の打ちようがない。もういい歳頃なのだが、一向にその気がないとは嘆かわしい……」
「まあまあ、そのうちきっと良い娘さんが現れますよ」
「だといいがなあ」
身内とはいえ暴言とも取られかねない台詞には、この場に他の官吏がいなくて良かったと内心ほっとする雷浩然だ。孫を思ってこその発言なので悪しざまには言えないが、たまにこうして酔って失言をするこの上司には、自覚を持って口を慎んでほしいものだった。
「……彼はあのままで大丈夫ですよ」
微笑を浮かべて言えば、礼部侍郎は「ふむ」と黒山羊のように立派な顎髭を扱いた。
「お主がそう言うのならば、そうなのだろうな。引き続き、子偉殿下を宜しく頼んだぞ。無論史料整理もな」
「心得ております」
雷浩然が畏まって丁寧に応じると、用件はそれだけだったのか彼は「それではな」と言い置いて簾を下ろすと、御者を促し馬車を走らせていった。
「……私が礼部に入った当初は酒を嗜まない方だったのに、人は変わるものだな」
飲まないとやっていられない何かがあるのかもしれない。
四角や円の提灯が揺れ、太い朱色の柱が林立し、凝った格子デザインを施された障子張りの扉や窓が美しい花街は、今夜も客で賑わっている。
肖子豪の馴染みだという妓楼の入口には、質の悪い酔客や暴漢に対処するための男手として、皇宮の門衛よろしく強そうな用心棒が二人も立っていた。きっと中にも控えているのだろう。治安という点ではしっかりしていそうだ。
――すみません、布だるまはお断りなんですよ。
とは言われなかったが、一度男たちに止められたのは紛れもない事実だった。
覆面どころかどう見ても不審者丸出しなので警戒されるのも道理だろう。
幸い一緒にいた肖子豪が馴染みの上客と気付き、通してもらえた。
華美な入口扉を押し開ければ、艶麗で艶美な内装の雰囲気とその広い空間を彩る無数の灯りが出迎えた。入ってすぐの一階部分には多くの卓が置かれ、天井は最上階まで吹き抜けになっている。そこではお客たちが下位の妓女から酌をしてもらっていた。お高い妓女たちは常連やら金持ちやらの相手で上階の個室に出向いているのがほとんどだという。
勿論そこでも飲食可能で、私的な会食や宴席を設ける際は大抵そちらを利用する。
二階三階部分にある個室へと続く回廊へは、一階中央にある大階段や壁際にある幅狭の階段から上がって行ける造りだ。
妓女や客の他、給仕の下男下女が右に左に忙しなく横切っていく。
聞きしに勝る煌びやかさ。
そんな店内を二人と一布だるまが行く。
好奇の目で見られるのは……まあ、当然だった。
(もしかしたらとは薄ら思ってたけど、案の定布だるまで来たよね)
客の男たちや妓女たちからの注目の中、自分の横を歩く肖子偉は布に隠れて顔は見えないが、きっと俯くようにして恥ずかしそうな顔をしているのだろうと思えば、やはり娘を思う父親のように心配になる凛風だ。
彼の姿を視界から外さないようにしながら、先導するようにやや前を歩く肖子豪へと小声で話しかける。
肖子豪もさすがに皇都の妓楼では本名ではなく偽名で通しているらしく、甲乙丙から取って「甲」と名乗っているそうだ。
故に、第二皇子の偽名は「乙」になった。
乙女の「乙」だしぴったりだと密かに凛風が思った事は誰も知らない。
「ねえ子豪にぃ……甲兄さん、子偉で……乙兄さんだけ早く帰した方がいいんじゃない? ここにいたら危険だと思うよ」
「危険?」
「あれよあれよと連れ込まれて手籠めにされちゃうよ」
布だるまを見つめて気がかりそうにする凛風に苦笑を返し、肖子豪はゆるく首を振る。
「いや大丈夫だろ。弟は案外人の気配に敏感で素早いし、普段押しに弱いくせに決めた事は頑固に守り通すからな。あいつもいざという時は男だから心配すんな」
「ええー?」
納得できない心地でいると、衣装の様子から下位ではなさそうな妓女が一人、建物中央に陣取る大階段を下りてきた。
肖子豪の馴染みなのかその女性は彼と二、三言葉を交わすと頷き、艶麗な笑みを浮かべた。次に同行者たちの顔ぶれを確認しようと視線を動かし、布だるまを荷物か何かだと思ったのか普通にスルーして凛風に目を留める。
一瞬、息を呑むような空白があった。
「ちょっ……何この美少年! 可っっっ愛……っ!!」
大興奮して鼻息を荒くすると、凛風を今にも食べそうな勢いで接近して上から下から右から左から熱い視線で嘗め回された。
(あ、涎が……)
「失礼、お姉さんこれを。折角の綺麗な顔が勿体ない事になってます」
そう言って凛風が精緻な花の刺繍のある手巾を差し出せば、その妓女は目の前の手巾と微笑む凛風とを何度か交互に見て、急に口元を押さえて蹲った。
「だ、大丈夫ですか?」
身を屈めて覗き込めば、彼女は自らの鮮やかな赤い手巾で口元を拭っている。その口の付近にぬぐい切れていない赤いものを見て取って、凛風はサッと顔色を変えた。
「吐血!? どこかお体の具合でも!?」
まさか手巾の赤は彼女の血を吸った赤だったのだろうかと、凛風が顔色を失くしていると、肖子豪がひょいと妓女の首根っこを摑んで引っ張り上げた。
「ちょっと甲兄さん乱暴にしたら駄目だよ! 彼女血を吐いて……!」
「あーこいつのこれな、鼻血だわ鼻血。煩悩塗れのな。いつもの事だから大丈夫」
「え、鼻血?」
そうやや脱力して呟けば、立たせてもらった妓女は「驚かせてごめんなさいね」と恥ずかしそうにした。手巾も頻繁に鼻血を噴くから敢えて赤い色の物を使用しているのだとは、この後の宴席で聞いた話だ。
「こいつ美少年には目がないっつーか、どっちも行ける口だから油断するなよ」
「ええと……?」
凛風は何だかよくわからないので曖昧に流しておいた。肖子豪はこの妓女に関わりたくなさそうなオーラをもろに出していたが、本日の目的に彼女の協力は不可欠と考えているようで、嫌そうにしつつも話しかけていた。
「って事で一室頼むな。小風はこういう所初めてだし、控えめでいて情報通やら博識な妓女を何人か寄越してくれ」
「あらまあ! こういうとこ初めてなのあなた!? はいはーいわかったわ。ならあたしもご一緒させてもらおうかしらね!」
「……お前は遠慮してくれ」
都合の悪い言葉は耳に入らない様子の彼女は、上機嫌に「お二人様ね、上にどうぞ」と促してくる。
「その荷物も今運ばせるわね」
そう言ってちょうど通りかかった店の下男を手招いた。
「薄らそうかとは思ってはいたが、完全に荷物認識だな」
「そうだね」
きっと中に人間が居るとは思ってもみないに違いない。
「おいおい三人だって。俺の可愛い弟をスルーするなよ」
「三人……?」
肖子豪の促しに、妓女の睫毛バッチリの両目が布の塊へと向けられた。
そして、真っ赤な唇から素っ頓狂な悲鳴が放たれた。
義父のような仙人でもなく娘のように金兎雲にも乗れない彼は、距離的にどうしても遠方の緑安へ毎日は帰れないので、普段は皇都金安の借家に帰る。
酔客や自分同様遅めの帰宅者たちの中を一人歩いていると、横を通り越して行った貴人用の箱馬車がやや前方で停車した。きっと誰かの迎えだろうと気にせず歩いていると、
「――雷浩然、これ雷浩然」
馬車側面の窓の押し上げられた簾の下から、赤ら顔の知り合いが顔を覗かせた。
「ああ、これは――礼部侍郎。お疲れ様です」
黒く染めているのか白髪が出にくい質なのか、しっかりとした黒い顎髭を蓄えた齢六十に近い痩身の男性だ。
彼は雷浩然が拱手すると、上機嫌に一つ頷いた。
礼部侍郎とは官職名だ。
礼部は科挙や国の儀典を行う中心的な部署で、そこに在籍する中でも侍郎は部署トップの尚書に次ぐ地位にある。
「ちょうどお主と話をしたいと思っていた」
同じく礼部の官吏である雷浩然のその上司は、妓楼での酒席にでも行った帰りなのか吐く息から酒の臭いがプンプンした。
これだけを見れば享楽に耽る不真面目な面が際立つが、自分を雪露宮勤務に推したのは他でもないこの男だ。
「私に話とは?」
「ああいや、大した事ではない。最近の子偉殿下はどのようなご様子かと思ってな。まだその、布に包まっているのか?」
一番初めに訊かれる内容がこれか、と内心溜息をつきたくなった雷浩然だ。
巷での噂とは別に、奇奇怪怪な布だるま皇子の話は朝廷内の官吏の間では専ら有名だ。
噂だけではなくそれもあり、官吏の中には下手に関わらないようにしている者も少なくはないが、この礼部侍郎はむしろその逆で、何かと気に掛けている。
何故なら、彼は肖子偉の――祖父なのだ。
彼は今は亡き黎貴妃の父親にあたる。
つまりは第二皇子の外戚だ。
「多少頻度は減りましたが……」
「そうか。皇城の外の噂は決して看過できないが、少しくらいはその積極性を身に付けてほしいものだな」
同意しづらい意見に、雷浩然は微苦笑するにとどめた。
「嫁の一人でも迎えれば責任感が芽生えて成長するかもしれないが、引き合わせようとしても逃げる隠れるで手の打ちようがない。もういい歳頃なのだが、一向にその気がないとは嘆かわしい……」
「まあまあ、そのうちきっと良い娘さんが現れますよ」
「だといいがなあ」
身内とはいえ暴言とも取られかねない台詞には、この場に他の官吏がいなくて良かったと内心ほっとする雷浩然だ。孫を思ってこその発言なので悪しざまには言えないが、たまにこうして酔って失言をするこの上司には、自覚を持って口を慎んでほしいものだった。
「……彼はあのままで大丈夫ですよ」
微笑を浮かべて言えば、礼部侍郎は「ふむ」と黒山羊のように立派な顎髭を扱いた。
「お主がそう言うのならば、そうなのだろうな。引き続き、子偉殿下を宜しく頼んだぞ。無論史料整理もな」
「心得ております」
雷浩然が畏まって丁寧に応じると、用件はそれだけだったのか彼は「それではな」と言い置いて簾を下ろすと、御者を促し馬車を走らせていった。
「……私が礼部に入った当初は酒を嗜まない方だったのに、人は変わるものだな」
飲まないとやっていられない何かがあるのかもしれない。
四角や円の提灯が揺れ、太い朱色の柱が林立し、凝った格子デザインを施された障子張りの扉や窓が美しい花街は、今夜も客で賑わっている。
肖子豪の馴染みだという妓楼の入口には、質の悪い酔客や暴漢に対処するための男手として、皇宮の門衛よろしく強そうな用心棒が二人も立っていた。きっと中にも控えているのだろう。治安という点ではしっかりしていそうだ。
――すみません、布だるまはお断りなんですよ。
とは言われなかったが、一度男たちに止められたのは紛れもない事実だった。
覆面どころかどう見ても不審者丸出しなので警戒されるのも道理だろう。
幸い一緒にいた肖子豪が馴染みの上客と気付き、通してもらえた。
華美な入口扉を押し開ければ、艶麗で艶美な内装の雰囲気とその広い空間を彩る無数の灯りが出迎えた。入ってすぐの一階部分には多くの卓が置かれ、天井は最上階まで吹き抜けになっている。そこではお客たちが下位の妓女から酌をしてもらっていた。お高い妓女たちは常連やら金持ちやらの相手で上階の個室に出向いているのがほとんどだという。
勿論そこでも飲食可能で、私的な会食や宴席を設ける際は大抵そちらを利用する。
二階三階部分にある個室へと続く回廊へは、一階中央にある大階段や壁際にある幅狭の階段から上がって行ける造りだ。
妓女や客の他、給仕の下男下女が右に左に忙しなく横切っていく。
聞きしに勝る煌びやかさ。
そんな店内を二人と一布だるまが行く。
好奇の目で見られるのは……まあ、当然だった。
(もしかしたらとは薄ら思ってたけど、案の定布だるまで来たよね)
客の男たちや妓女たちからの注目の中、自分の横を歩く肖子偉は布に隠れて顔は見えないが、きっと俯くようにして恥ずかしそうな顔をしているのだろうと思えば、やはり娘を思う父親のように心配になる凛風だ。
彼の姿を視界から外さないようにしながら、先導するようにやや前を歩く肖子豪へと小声で話しかける。
肖子豪もさすがに皇都の妓楼では本名ではなく偽名で通しているらしく、甲乙丙から取って「甲」と名乗っているそうだ。
故に、第二皇子の偽名は「乙」になった。
乙女の「乙」だしぴったりだと密かに凛風が思った事は誰も知らない。
「ねえ子豪にぃ……甲兄さん、子偉で……乙兄さんだけ早く帰した方がいいんじゃない? ここにいたら危険だと思うよ」
「危険?」
「あれよあれよと連れ込まれて手籠めにされちゃうよ」
布だるまを見つめて気がかりそうにする凛風に苦笑を返し、肖子豪はゆるく首を振る。
「いや大丈夫だろ。弟は案外人の気配に敏感で素早いし、普段押しに弱いくせに決めた事は頑固に守り通すからな。あいつもいざという時は男だから心配すんな」
「ええー?」
納得できない心地でいると、衣装の様子から下位ではなさそうな妓女が一人、建物中央に陣取る大階段を下りてきた。
肖子豪の馴染みなのかその女性は彼と二、三言葉を交わすと頷き、艶麗な笑みを浮かべた。次に同行者たちの顔ぶれを確認しようと視線を動かし、布だるまを荷物か何かだと思ったのか普通にスルーして凛風に目を留める。
一瞬、息を呑むような空白があった。
「ちょっ……何この美少年! 可っっっ愛……っ!!」
大興奮して鼻息を荒くすると、凛風を今にも食べそうな勢いで接近して上から下から右から左から熱い視線で嘗め回された。
(あ、涎が……)
「失礼、お姉さんこれを。折角の綺麗な顔が勿体ない事になってます」
そう言って凛風が精緻な花の刺繍のある手巾を差し出せば、その妓女は目の前の手巾と微笑む凛風とを何度か交互に見て、急に口元を押さえて蹲った。
「だ、大丈夫ですか?」
身を屈めて覗き込めば、彼女は自らの鮮やかな赤い手巾で口元を拭っている。その口の付近にぬぐい切れていない赤いものを見て取って、凛風はサッと顔色を変えた。
「吐血!? どこかお体の具合でも!?」
まさか手巾の赤は彼女の血を吸った赤だったのだろうかと、凛風が顔色を失くしていると、肖子豪がひょいと妓女の首根っこを摑んで引っ張り上げた。
「ちょっと甲兄さん乱暴にしたら駄目だよ! 彼女血を吐いて……!」
「あーこいつのこれな、鼻血だわ鼻血。煩悩塗れのな。いつもの事だから大丈夫」
「え、鼻血?」
そうやや脱力して呟けば、立たせてもらった妓女は「驚かせてごめんなさいね」と恥ずかしそうにした。手巾も頻繁に鼻血を噴くから敢えて赤い色の物を使用しているのだとは、この後の宴席で聞いた話だ。
「こいつ美少年には目がないっつーか、どっちも行ける口だから油断するなよ」
「ええと……?」
凛風は何だかよくわからないので曖昧に流しておいた。肖子豪はこの妓女に関わりたくなさそうなオーラをもろに出していたが、本日の目的に彼女の協力は不可欠と考えているようで、嫌そうにしつつも話しかけていた。
「って事で一室頼むな。小風はこういう所初めてだし、控えめでいて情報通やら博識な妓女を何人か寄越してくれ」
「あらまあ! こういうとこ初めてなのあなた!? はいはーいわかったわ。ならあたしもご一緒させてもらおうかしらね!」
「……お前は遠慮してくれ」
都合の悪い言葉は耳に入らない様子の彼女は、上機嫌に「お二人様ね、上にどうぞ」と促してくる。
「その荷物も今運ばせるわね」
そう言ってちょうど通りかかった店の下男を手招いた。
「薄らそうかとは思ってはいたが、完全に荷物認識だな」
「そうだね」
きっと中に人間が居るとは思ってもみないに違いない。
「おいおい三人だって。俺の可愛い弟をスルーするなよ」
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