凡人は美形悪役に転生するもんじゃない

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6 目指すは帝国の明星

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「グリーン、改めてもう一度、明日の話を聞かせてくれないか?」

 妙なやる気に満ちた目をする俺へとグリーンは少し臆したようにしたが、これも敬愛する主君の命とすぐさま説明に口を開いた。
 そうして明日の段取りを頭に入れてきちんと食事を摂って、今夜はお開きとなった。俺の促しで各自の部屋に戻るのに席を立つ。
 部屋が別々と言っても同じフロアの隣室同士。グリーンなんかは夜の見張りとして同室で控えますってまだ主張してきたが、むしろ病的に主君命のグリーンといる方が危ないだろ。にべもなく却下した。
 不思議とブラッキーはごねなかったが、部屋に入る間際に真面目な顔でこう言われた。

「スカイラー、夕食時に飲まなかったからって、くれぐれも寝酒はするなよ?」
「あのなぁ、そんな心配されなくても、俺にとって明日はある意味大事な日だからさっさと寝るよ」
「ふぅん? ならいいけど~。ちゃーんと良い子は早く寝るんだぞ?」
「ハハハお前がな!」

 軽口を叩く割にブラッキーはどこかホッとして見えた。何だ? やっぱりよくわからない奴だよな。あ、もしや俺を飲酒禁止の20歳未満だと思っているとか?
 こんな艶めく麗しい未成年がいて堪るかよ。大人の色気だっての。なーんて言ってもまだ21だが。大体この世界に前世のようなアルコールの年齢制限があるのかも怪しいしな。
 そういえばブラッキーは何歳だっけ。
 悪役キャラ以外のプロフィールにはそんなに詳しくないんだよな。やっぱ主人公だからと憧れはしたが年とかそこまで興味もなかったからさ。少なくともスカイラーより年上ではなかったと思う。同い年でもなかったよな。
 多分19か20? んー、20歳かなぁ?

「なあブラッキーっていくつ?」
「20だよ。あんたの一個下。何か唐突だなぁ。ま、興味持ってもらえて嬉しいけど」
「ふーん……って俺の年知ってんのか」
「へへっそりゃあ?」
「当っ然でしょう! 私はスカイラー様のご生誕日も一秒だって忘れたことなどありませんよ! 公務でお祝いできなかった時には私一人で盛大に祭壇を作ってお祝い申し上げておりました!」

 グリーンよ、さすがにそこまでされると引く……。スカイラーは知らなかったんだろうか。この腐れ幼馴染みの瑕疵すら無視できるくらいに大切だったのかもしれないが。
 気を取り直して部屋に入ろうとすると、まだグリーンが質問を投げてきた。

「あっスカイラー様、お引き止めして申し訳ありませんが、参考までに先ほど仰っていたあいどると言うのは何か教えて頂いても?」
「ああ、んーと、花形舞台役者みたいなものだ」
「えっ花形役者ですか!? 群集嫌いのスカイラー様がそれをすると!?」
「ハハハ頭を打って心を入れ替えた俺は一味違うぞ。大勢の観客の前での笑顔は余裕だ」
「きっと私は変な夢を見ているのかもしれませんね。これは夢、これは夢」

 失礼な側近だな。前世ではプロにこそなれなかったが、地元のイベントなんかで観客を前にしたステージで踊ったことはあるんだよ。複数でではあるが。
 それににこりと愛想を振り撒くのも接客のバイトで鍛えられていたからさもない。

「う、嘘だろ……無表情・蔑みが売りのあんたみたいなのが、本当の本当に皆に向けて明るい笑顔を振り撒けるのか!? 自分の心を傷付けてまで一体何の試練を己に課してるんだスカイラー!」
「んな胸糞キャラで売ってないし、俺がまるでマゾみたいな変な設定を盛るな!」

 グリーンは「起きなさい起きなさい」と自分の頬を引っ張ってこの上なく混乱いや錯乱しているし、ブラッキーも衝撃の余り猜疑的になっている。
 全く、この二人には俺の方針を直接その目で見てもらうのが一番だな。

「とにかく明日な、お休み~」

 きっとスカイラーが愛想を振り撒くなんて想像もできないんだろうな。そんなわけで試しに愛想を振り撒くように微笑んでヒラリと手を振ってから部屋に入った。二人は思い切りポカーンとしていたな。まあ明日は俺も精一杯やるから特等席でとくと見ていてもらおうか。





 翌朝、ラーンダムの町広場には急な役所からの伝達にもかかわらず大勢の住民が集まってきていた。
 昨日までとは違って表情に鬱々としたものは見えない。朝目覚めて久しぶりにスッキリした気分だったからだろう。
 現在、始業の鐘はとっくに鳴り終わっている。
 鐘音には最早少しも魔力は含まれていなかった。

「町全体の午前の仕事も学校も取りやめにして、一体何を発表するんだろうねえ?」
「どうやらここ暫くの皆の体調不良について話があるようだよ。思えば、今日は随分と体が軽く気分が良い」
「あら、そういえばうちもね。今朝は調子が戻ったみたいなのよ。寝込んでいたうちの人も顔色が良かったもの」

 ご近所同士でやってきた者たちは自らや家族の体調にも言及し出す。
 役人らが姿を現すまでには、彼らの間でも推測ができ上がっていた。

「おお、やっと町長がお出まし……ん? 一緒にいる若い男たちは誰だ?」
「あらあらまあまあ、誰かは知らないけどとてもハンサムな人たちね!」
「ねえ、あの銀髪の綺麗な人、皇子殿下に似てない?」

 町長は同行者らと共に広場中央に設置された簡単なステージに上ると、町に起きた事のあらましを滔々と語り始めた。やはり説明は今日まで町のために奔走していた町長からの方が住民たちも信頼して耳を傾けるだろう、と広場に来る直前に同行者から綺麗な微笑みで促されたのでそうなった。いつもなら話が長い校長先生同然に住民たちには飽きられる町長先生の話も、今回だけは皆真剣に聞き入りステージを注意深げに見上げていた。

 ただ、視線の先は町長ではなかったが。

 今回の町全体での症状は、現地民では対応するにも限界があった。そもそもの原因がわからない以上状況を改善できるはずもなかったのは明白だ。予防もできず対症療法しか取れず後手後手で悪化するだけだった町の淀み。
 町議会を重ねて開いたものの打てる手はなく、町長は悩んだ末にラーンダムを含めたこの地域の町や村一帯を大きく管轄する更に上の役所への嘆願書をようやく送ったばかりだった。余談だがその更に上になると帝国貴族が出てくる構図になっている。

 悩んだのは、下手にラーンダムの異常を知らせた結果疫病ではないかと疑われ町を隔離や封鎖される畏れがあったからだ。疫病の類いではないのは、人の行き来の多い周辺の町村には今までも影響がないことからわかっているが、上の役人や世間がそこを納得するかはまた別の問題だ。不当な対策を迫られる可能性は皆無ではなかった。

 しかし、結局嘆願はしたものの、何らかの返答を得て状況が改善されるまでには更なる時間が掛かり、その間にも床に臥せる住民の数は増すだろう。町が町として機能しなくなればその時こそ最悪のシナリオを歩むかもしれないと、町長を初め町役人の間でもそんな危機感が密かに広まり焦りを滲ませていた時だ。

 そこに颯爽と現れて、頼んでもいない間にさくっと見事に解決したのが、――――俺たちだ!!

 ステージ上の俺、ブラッキー、グリーンを紹介した町長の言葉に、広場からはすぐに歓声が上がった。

 住民たちは自分たちの体調が昨日までとは打って変わって改善している実感もあってだろう、大いに合点し納得し感謝感激しよくぞ来てくれたと沸いた。沸かないわけがないだろ。ふふん想定通りだな。

 町を災いから救ってくれた、と俺たちを英雄視しないわけがないんだ。

 更には、是非お言葉をと町長から慇懃に促されるに当たり、俺のご身分は俺の思う以上にと~~~っても有効に働いてくれた。

 何しろ見た目にも美しい帝国の皇子様だ。脇にはこれまた見目の素晴らしく宜しい青年二人が控えている。
 もう何かを発する前から大注目されていたのはステージ上からだとよくわかっていた。

「町長からの紹介に与ったスカイラー・ヘルスだ。各地の異常を追っていた結果、偶然にもこの町を救えたことを光栄に思う。ラーンダムの皆よ、今やこの町の災難は去った、どうかもう怯えず伸び伸びとしてより良い気持ちで生活を送ってくれ」

 元凶で黒幕だが現地民はそれを知らないし、俺はこの帝国の超絶美形皇子。朗らかな第一声を聞き、あたかもその美声が夢心地になる即効性のヤバいクスリかのように多くの女性陣は目がとろんだ。はいこれスカイラー効果です、テストに出まーす。
 多分聴衆の半分は視覚聴覚を襲った衝撃的な美の暴力に揉みくちゃにされてこっちの話をほとんど聞いていなかったんじゃなかろうか。
 俺は魅了系統の魔法は一切行使していないが、これも天から恵まれた魅了体質なんだろうな。詳しく調べたらわかりそうだ。芸能人とかでもそこに立っているだけで妙にオーラある~ってのと同じだ。
 間借り中の俺でさえこれだから、仮にスカイラー本人が誰かを本気で落としにかかったらきっと逃れられる奴はいないだろうな。
 ククク、中身がこの俺でもハーレムはきっと夢じゃない。

 だがしかし、現状周りには男しかいない……っ。

 ま、こっちの世界に来て日が浅いしこれからだこれから、うん。
 聴衆の反応に調子に乗った俺が「重ねて言うがもうこの町は安全だ。ラーンダムの皆には異常のなかった以前のように安心して過ごしてほしいと、心から俺は願っている!」と満面の笑顔を見せ付ければ、老若男女問わずにうっとりされた。

「何事も気持ちが、ハートが大事だからな。ここに集いし皆よ、帝国に必要不可欠なこの町ラーンダムの繁栄と発展を頼んだぞ。俺は帝都からラーンダムを見守っているからな!」

 台詞そのものは傲岸不遜なスカイラー皇子っぽくしたが、指ハートを作ってウインクを飛ばせば漫画みたいにバッタバッタと卒倒された。
 あれー、闇魔法は解除したはずなんだがなー。

 横では湿った音がして、視線だけを向けるとグリーンの顔が血塗れだった。しかも少し血走った眼で俺を見ているときた。何のホラーゲームだよっ。実直な秘書ってキャラも崩壊甚だしいなおい。
 噴出した鼻血を押さえたグリーンと反対側の隣りでは、半眼になったブラッキーがじとーっと睨んでくる。赤い瞳がメラメラと嫉妬の炎に燃えている。
 要約すれば二人共に全っ然面白くなさそうにしていた。

 ふっ、この美貌をお前ら二人だけに独占させるかよ。

 世界が世界ならスカイラーは絶対武道館ライブだってしていた男だぜ。
 あとハリウッドの赤絨毯の上を沢山のフラッシュの中歩いただろうな。

 俺は月天宮を出てきた当初の、秘密裏に解除してしまおうって方針だった時とは考えを180度変えたんだ。
 新生スカイラーな俺は、生き残りのためにも華々しく活躍して皇帝になってやろうってさ。悪役死亡エンドで終わるつもりはない以上、帝国民からの人気を高めておいて損はない。

 その手法がアイドルに倣っているだけだ。

 油断ならない天敵はブラッキーだが、厄介な政敵とも俺は渡り合わないとならないようだからな。

 皇太子の座を争う、腹違いの兄弟たちと。

 まあそれも俺が闇魔法を仕掛けた本人だと絶対に世間にバレないって前提条件付きだが。バレたら全てが水の泡で、帝国各地で俺への謀反が起きそうだ。

 俺たちが広場を後にする間も声援は凄まじかった。晴々とした表情の民衆が俺たちに……と言うか主に皇子たる俺に感謝の言葉を叫んでいた。
 終いにはスカイラー皇子万歳コールにまで発展したよ。
 それは暫く止まなくて、俺は内心声援のでかさに臆してしまいそうになりながらも、別の部分じゃ満更でもなく感じていた。
 へへへ、と自然と頬が緩んだ。

 俺が憧れ夢見たステージにも匹敵する場所がそこにはあった。エンターテイメントとは違うが、苦しんでいた人々を救ったんだって達成感とか満足感を実感して胸が熱かった。

 しかしなあ、本音を言うとちょっと気まずくもあったんだ。

 ステージ上ではブラッキーとグリーンの支えがあったからこそだとちゃんと告げたはずなんだが、俺ばかりに声援が集まってしまってまるで彼らの手柄までを俺が独り占めしているみたいだった。

 一方、今夜はラーンダムを挙げて俺たち三人を正式に歓待したいと町長からは言われていて、どうせならそこで二人の有能さをアピールしようと思ったのと、人脈作りのためにも受けた方が良いですよとグリーンから助言されたのとで、晩餐の招待を受けた。

 夜までは時間もあるし、一旦休憩しようと宿に戻ってから一応二人には広場でのことを謝っておいた。
 部屋前の廊下で唐突に過ぎたのかもしれない、二人からは失礼にも度肝を抜かれたって顔で固まられたっけ。
 俺が謙遜するとはマジに露ほども思っていなかったらしいな。ハハハ。

「へへっ、気にすんなって、スカイラー万歳!」
「あのなぁ、俺は真面目にだな」
「くっ、先を越されました。私からもっ、スカイラー様万歳!」

 こっちはこれでも真剣なんだぞと内心少し腹を立てていると、今度はグリーンからも万歳コールが上がったから小さく溜息をついて天井を仰いだ。何だかな、一人で変に気に病んでいたのが馬鹿らしくなった。

 だが不思議と居心地は悪くない。

 真面目なんだか不真面目なんだかよくわからない天敵と側近は、俺を間に奇跡的な化学反応みたいに絶妙に調和するんだよ。

 そう考えたら明確な理由もわからず可笑しさが込み上げてきて小さく笑ってしまった。

「二人共、今回も助かった。協力してくれてどうもありがとうな。次も宜しく頼む」

 それぞれに握手を求めると、彼らは姿勢を正してしかと俺の手を握り返そうとして、どちらが先かの順番で揉めた。
 全く……。

「お前ら少しは譲り合いの精神を育めよ」

 俺は揃ってこいつにだけは無理と抗議してくる二人の手首をがしっと掴むとその手を重ねさせた。

「「ぬあーっ!?」」

 最高級に嫌がる悲鳴が上がったが、俺が素早く二人の手を上下から両手でサンドイッチにしたのでどちらも手を引けなくてもっと嫌そうにしつつ、器用に戸惑った。

「スカイラー?」
「スカイラー様?」
「お疲れ俺たち、次からも頑張るぞ俺たち、エイエイオー! ってな?」

 掌を重ねて気合いを入れ互いにエールを送る、スポーツなんかで仲間内でよくやるあれだ。今は下からも敢えて手を添えたがな。

「ほら、二人もエイエイオーだ」

 こういうのをやったことがなく慣れないのか戸惑いを滲ませた二人だが、俺に倣って「エイエイオー?」とそれぞれ俺に確かめるような目を向けながら掛け声を口にしてくれた。
 何だかんだで憎めない奴らだよなホント。

 町長主催の晩餐では、急遽準備を言い渡されたに違いなかったろうに、料理人のスキルの賜か、帝都の高級レストランで饗されていると言われても誰も疑わないだろう皿が並んだ。この地は名産品のワインだけじゃなく食材も豊富なんだな。良いことだ。寝込んでいた町の人たちも良い食材で栄養をしっかり摂れば回復だって早いだろう。
 うおーっ、うんっまっっ!!
 俺は最高の気分で晩餐を楽しんだ。

 勿論、名産品のワインも出された。赤も白もあるって言うから両方共頂いたが、名産なだけあって美味!と叫びそうになったくらいにまさに美味だった。
 ただ何故かグリーンはやたらと俺に水を飲ませようとしてきたし、ブラッキーは諦めたように呆れ顔をしていたがその中には案じる色もあった。

 何か問題でもあるのか? こーんなに美味いのに。

 敢えて問題を挙げるとするなら、眠いっ……んーー……。

 …………。




 ……夜風が頬に当たって、ふと目を開ければブラッキーの背中だった。

 ブラッキー越しに歩行の規則的な振動が伝わってきてまた眠くなってくる。
 頭を少しズラして親しい気配のする方を見やれば、案の定すぐ横でグリーンが心配そうな顔でいた。俺が目を覚ましたのを即座に悟ってずいっと怖い顔を寄せてくる。

「もうっスカイラー様はお酒に弱いんですから、沢山飲んでは駄目ですと事前に申し上げていましたのにっ」
「あー……はは、そういえば言われたかもー」
「言われたかも、ではありません! 私たちが近くにいたから良かったものの、もしも外で一人で酔い潰れたりなんてした日には……あああああっ、とても恐ろしく大変なことになるんですからねっ!」

 グリーンは心配と憤りで顔を真っ赤にした。
 ふふっホントにな、こうやって身近にこの身を真剣に気に掛けてくれる奴がいなかったら、スカイラーはもっと早い段階で憎しみに呑まれて事を起こしていたかもしれない。それこそブラッキーが出立前でまだ未熟だったりしたら闇のティーンエイジャー皇帝として君臨していたかもな。

「えーと、迷惑掛けて悪かったよ」
「スカイラー、あんたみたいに綺麗なのは不埒な輩に手籠めにされちゃうんだからな~? これからは酒に弱いのを自覚してもっと警戒心を持てよな」

 ブラッキーもお説教に参戦だ。
 言い訳になるが、俺はスカイラーが下戸に近いって知らなかったんだよ。知っていたら自制した。
 二人にはそこまでは言えないが、そうなんだよ。
 おんぶされて密着しているせいでブラッキーの声が後ろなのにとても近い。
 だから、グリーンには聞こえなかったろう言葉も聞き取れた。

「……さもないと今度こそマジで襲うからな」

 今度こそ?
 こいつのニュアンスだと今夜のことのみをカウントしている感じじゃないよな。
 前にも似たようなことがあったのか……?
 俺にはわからないし、何となく聞けなかった。
 だから眠くてよく聞こえなかったふりをした。
 そうして無言でいたら、段々とまた睡魔に忍び寄られて陥落した。
 何故だか落ち着かないこの酔いは、暫く醒めなそうだ。





 宿で一晩ぐっすり眠って、ワインが良質だったおかげか二日酔いもなかった翌日。
 さて、一つ片付いても俺たちはサクサクと次に向かわないとならない。
 そんなわけで、朝のうちにラーンダムを発った。また何か魔法的な異常が起きたら連絡をくれるようにと町長や男性役人には伝えた。まあだがぶっちゃけもう起きないとは思う。ラーンダムに幸あれだ。

 その後、各地の仕掛けを無効化していった結果、着実に俺スカイラー皇子の支持は増えていった。

 まさに急上昇と言ってもいい。ちょっと予想の上を突っ走っている。
 既に帝国中央たる帝都周辺ではある程度の権力を握っていたこの悪役皇子は地方ではまだ少し弱かったんだが、俺は正直そこまでの人気を意図していたわけじゃないから棚ぼたと捉えている。グリーンから言わせれば当然中の当然だそうだが。

 そんな話が帝都の社交界に届かないはずもなく、政敵たちは悔しげにハンカチを噛んで引っ張っただろう。

 きっとあいつ……一番の政敵の異母兄なんて特にな。
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