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第十六話 ジャスティンの真意

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 ダンスではちっとも心が浮かなかった。
 二人が踊り終わっても音楽は続いている。
 緩急や楽団員の交代はあるかもしれないが、夜通し音色が流れ、演奏が途切れることはないだろう。
 人が集中するダンスホールから壁の方へと外れて、改めて向き合った。

「エリー」

 ジュリアンはそれきり続けて何を言うわけでもなく、口を噤んだ。
 繋いだままの手を中々離そうとはしない。
 エレノアの方も、自分から離す気分にはなれなかった。

(けどいつまでもこうしてるわけにはいかないってわかってる)

 思い切って手を引き抜いて、ぺこりと頭を下げた。
 決心が鈍る前に踵を返そうとした矢先、会場内に新たに入場してきた二人を目にしたエレノアは見事に固まった。

「エレノアお嬢様久しぶりの夜会はどうですか?」
「とても興奮するわ! オーホホホホ!」
「そうですかエレノアお嬢様、ええ、そうですよね燃えてしまったメイフィールド家の屋敷を離れて以来ですからね。今夜は楽しんで下さいね、エレノアお嬢様」
「もちのろん。オーホホホホ!」

(…………。な、ななな何やってるのジャスティンたち!? あっもしかしてあれってまさかの囮作戦!? 今日だったの!? いやだけど待って、確かに名前は貸すって言ったけどもっ、あれじゃああんまりだと思うーーーーッ!!)

 わなわなと震えるエレノアの視線の先では、ジャスティンが余す所なく大根役者っぷりを発揮していた。

(ミレーユさんも、私の性格設定……!)

 唖然愕然慄然に棒立ちになるエレノアがハッとしてジュリアンを見ると、彼はやけに冷ややかな眼差しで同じ所を見ていた。

(え、どうしよう。こんなジュリアンの目って初めて見るんだけど!? 絶対その目あれが偽エレノアだって気付いてるわよね。ジャスティンも不自然過ぎだし! あんなのじゃ犯人も引っ掛からな……え? 犯人? ええええッ!)

 そうだった、目的は犯人のおびき寄せだったと思い至り頭を抱えたくなったエレノアは、急いで自分の思考を整理する。
 ジャスティンたちがここにやって来て一芝居を打っていると言う事は、犯人もここに来ると踏んでいるのだ、或いはもう来ているかもしれない。
 つまり、この夜会はちょっといやかなりデンジャラス!!

(わあああん、二人の動向を探ってた見張りはどうしたのよーー! 上手く躱されたのもしかしてえええ! それにそれにアメリアが一生懸命内装考えてピンカートン家が力を入れてるこの夜会に何て事してくれるのよーーーーッ!! でも私にとっても犯人確保に好都合で二人を追い返せないのがジレンマッ!!)

 故に見て見ぬふりをするしかない。
 ピンカートン夫妻からはようやく手がかりが見つかって、今詳しく調べていると報告を受けていたが、こうして動いているジャスティンたちの方が一足先に色々と突き止めていたに違いない。
 何か進展があれば報告をくれると約束してくれたジャスティンだが、まだ何もない。
 しかしエレノアはどうして教えてくれなかったのかと責める気持ちは湧かない。
 今も彼が伏せているのは、まだ伏せておくべきだからと判断したからだ。
 昔から、彼の判断をエレノアが疑った事はなかった。

(そうだわ、アメリアにも早く知らせないと!)

「エリー」

 友人の所に行こうとしていたエレノアはその声にぎくりとした。
 我が家の元顧問がごめんなさいとまで思った。
 にっこりとするジュリアンからは、何故か「ここで失礼します」と改めて言えない雰囲気が漂っている。今の彼から「やっぱりお別れはなしで」と言われたら何となく自分断れないと思うエレノアだ。ノーと言えない伯爵令嬢の出来上がりだ。

(どきどき。一体何を言うつもり?)

 どきどきと自分で言うくらいにはエレノアは動揺しているのだった。

「君にだけは教えるけど、あのエレノアは偽者だよ」

(な、何だそっちね……。だけどやっぱりバレてた! でもでもっジュリアンはこの件とは無関係だし偽者でも別に支障はないわよね。ああでも怒ってこの偽者め成敗してくれるッとか突っ走られても作戦頓挫して困るから、私が見張っておかないといけないのかも?)

 エレノアはジュリアンの気持ちを確かめておこうと、若干まごつきながらも彼の手に質問を書く。

 ――怒ってますか?

「多少は。でもワーグナー弁護士の事だから重要な目的があるんだろう。だから邪魔はしない」

 杞憂だったかとエレノアはホッとした。

「だけどねエリー! 僕は彼を少し見損なったよ。エレノアを演じさせたいならもっと別の……たとえばそうっエリーなんかぴったりだと思うんだけどっ」

(ひいぃっ……!)

 君が本物だとでも言わんばかりの剣幕に、エレノアは内心竦み上がった。

(探偵から「犯人はお前だ!」って指を突きつけられた犯人の気分!)

 もしかしたら彼は侍女エリーの正体に気付いていて敢えて知らないふりをしているのでは……とまで考えてしまった。しかしそんな事をする性格ではないしメリットもないのだと思い直す。

「こほん、ごめんちょっと取り乱した。勘違いしないで、君に怒ってるわけじゃないから」

 こくこくと首を振れば、弁解するように気弱な顔だったジュリアンはいつもの柔和な顔に戻った。
 とっくに別れ話は済んでいるのに未だに二人して同じ場所に留まっているせいか、彼は所在なさそうにして何を言ったらいいのかわからない、というような顔をした。

「ええと、それじゃあね、エリー」

 しばしして、ジュリアンはそれだけを告げた。
 ついに訪れた瞬間に、エレノアは自分が石にでもなったように動けなくて、頷くだけでも随分な気力労力を要した。
 彼は背を向け潔くその場を立ち去っていく。
 その姿が完全に会場内に紛れて見えなくなってから、エレノアはポツリと呟いた。

「さよなら、ジュリアン」

 きっとお試しはどこまで行ってもお試しだった。あっさりしていたのがいい証拠だ。自分は彼が出会い通り過ぎる中の一人。
 いつまでも彼が消えた方を見つめていた自分は、思った以上に未練たらしい女だったらしい。溜息が零れ落ちる。

「こんなんじゃ駄目だわ。……って、アメリアの所に行かないと」

 トボトボと一人、盛り上がりつつある会場内を歩き出した。




 ジャスティンとミレーユは会場内で散々目立ってから、

「私少し疲れたわ。オーホホホホ!」
「それでは休憩に行きましょう。事前にエレノアお嬢様のために一部屋用意してもらっておりました!」
「手際がいいわね。じゃあ案内して。オーホホホホ!」

 とあっさり引っ込んだ。
 実は招待状もヴィセラスから融通してもらっていたので、なるべくひと気の少ない屋敷の一室を用意してもらうのも造作なかった。侵入脱出両面がしやすい一階にしたのも、臨機応変に対応するためだ。
 メイドに案内してもらい、ダンスホールからはやや離れた屋敷一角の部屋まで歩いたジャスティンは、ミレーユを先に中へ入れるとメイドにチップを渡して「お嬢様は非常にお疲れのようだから、なるべく近付かないように」と告げておいた。無論同僚たちにもそう伝えてくれるようチップを上乗せして頼んだ。
 ホクホク顔のメイドが出て行ったのを確認して静かに扉を閉めたジャスティンは、ここでようやく一息つけた思いがした。彼はさっさとソファに腰かけてしまったミレーユへと疲れた目で小言をぶつける。

「全く君ねえ、お嬢様はあんなじゃないよ。初め度肝を抜かれてどうしようと思ったけど、途中で不自然な軌道修正はかえって怪しまれるから止めなかったんだ」

 ソファの上で楽な姿勢で火照った顔をあおぐミレーユが片眉を上げた。

「印象付けるためには仕方がなかったのよ。どうせ奴らは本物の性格を知らないでしょうから、あれくらいしないとお嬢様って生き物だって思ってもらえないわよ」

 それは随分な偏見だったが、実際会場内では……。

「なあおいあれが標的のエレノア嬢か。やっぱ貴族の令嬢ってあんななんだな」
「ああ、連れてく時はさっさと眠らせるのがベストだな」
「そうだな暴れられても困るからな。傷一つ付けるなって厳命されてるしな」

 身なりを整え何食わぬ顔で参加していた犯人たちが人々の合間に囁いていた。

「――あとは、ここで犯人たちが接触してくるのを待てばいいわけね」

 ミレーユが寛いでいる傍ではジャスティンがクローゼットを開けて中を確認している。
 犯人たちが来た時はこの中に潜んでチャンスを窺うつもりなのだ。

「ミレーユ、この件が片付けば宰相がお嬢様を狙う事はもうないと思うか?」
「長い目ではわからないけど、当分はってとこかしら」

 黒幕は宰相だ。
 しかし、ここに来てもそれがまだどの王子のための画策なのかがわからなかった。
 王家には四人の王子がいるが、宰相は未だ誰を推すかを表明していない。
 もっとも、有力視されて現在派閥同士でバチバチと睨み合っているのは第一王子と第二王子だったが。

「ところで前から訊きたかったんだけど、あなたってどうしてここまでメイフィールド家のために尽力するの? もう顧問じゃないんでしょ?」
「ああそれは……お嬢様には昔命を救ってもらった恩義があるんだ。本当は七、八年前じゃなく十年以上前に一度会ってるんだよ。まあ向こうはそんなつもりはなかっただろうし、覚えてはいないだろうけど」
「何だ、ようやく合点いったわ。あなたが熱心なのは恩返しなのね」

 ジャスティンは「そうだ」と大きく首肯する。
 そんな彼の脳裏には、ある夜の出来事が蘇っていた。
 昔、彼は欺瞞ぎまんと暴力に満ち満ちた掃き溜めのような場所に居た。
 決して心から笑えず、長く暗い隧道トンネルを延々と歩かされ、一向に届かない出口の先の小さな光を追い求めるような生き方しかできない、そんな場所だった。日常には理不尽な死が溢れ、僅かな利のために仲間だった者が翌日には敵に回るような抗争と闘争の日々だった。
 暮らしていたのは広い王都の一角ではあった。王城のある中央区やその周辺の貴族街からは遠く離れた隅の隅ではあったが。
 確か第三王子辺りの主導による王都整備の計画によって、ここ何年かで格段に治安は良くなったようだが、当時の王都はスラム界隈とは言えかなり酷かった。
 裏切り者の額に開いた小さなどす黒い穴を見下ろして、いつか近いうちに自分も似たような死を賜るのだろうとぼんやりと思って生きてきた。

 そんな諦観人生の隧道トンネルの壁を打ち破って彼を光の中に引っ張り出してくれたのは、他ならぬエレノアだったのだ。

 裏切られた夜、命を取られる前に辛うじて夜闇に紛れ、足を踏み入れた事もないきらやかしい場所まで逃げて倒れ込んだどこかの家の茂み。
 当初は知らなかったがそこはメイフィールド家の王都の屋敷タウンハウスの庭先だった。
 怪我と空腹と悔しさに疲れ死にたくないと訴える心はボロボロで、人目のない場所で無様にも声を押し殺して泣いた。
 そんな中、ふと頭を撫でられ、驚いて見やれば自分を気遣う一人の小さな少女が茂みに体を突っ込んでこちらに手を伸ばしていた。屋内からの仄かな明かりに照らされる髪はピンクブロンド。
 今思えば、見知らぬ大人の男の頭を無警戒に撫でるなど、到底褒められたものではなかったが、愛らしい様子に撥ねのける気にもなれず、庭に猫を見かけてこっそり捜しにきたと教えてくれた少女のお転婆に苦笑すらしてしまった。大人しく撫でられているうちに、暗く荒れていた気持ちはいつの間にか凪いでいた。

 少女の打算のない大胆で温かな優しさに触れ余計に涙が出た。

 子供の前で泣く自分を不思議と恥だとは思わなかった。

 小さな温かい手が、これまでの悪い部分を全部清めてくれたと言っても過言ではなかった。

 彼女はまた、こちらの動けない様子を心配し、屋敷の大人に助けを求めてくれた。あのご時世、敷地内とは言え夜の庭先に子供一人で出ていた事が露見すれば叱られるだろうに、少しも厭わずに。
 きっと自分は幸運だったとジャスティンは思う。
 そのまま道端に放り出されてもおかしくなかった。実際王都のほとんどの貴族たちは浮浪者をそう扱っていたのだ。しかし淡々としてはいたが事情を聞き終えたメイフィールド伯爵は食事を与えてくれ、手当てもしてくれ、読み書きができると知ると伝手で仕事を紹介してもくれたのだ。
 やるやらないは自由だと言われたそれは探偵業で、後に今のジャスティン・ワーグナーに辿り着くための足掛かりとなった仕事でもあった。
 その点でメイフィールド伯爵には勿論感謝している。

 ただ、あの夜からずっと、ジャスティンの一番で永遠の恩人はエレノアだ。

 単に頭を撫でられただけ。
 人間傍から見ればほんの些細な事が、時に大きな救いになったりするものなのだ。

 かつての自分のような下層民が物を乞いに、或いは盗みに貴族の屋敷に忍び込む事は珍しくない。エレノアはきっとそんな中の一人だと思っているに違いない。幼かったという事もある。訊ねた試しはなかったが、故におそらく大して記憶には残っていないだろう。
 彼女があの浮浪者とジャスティンを同一線で結び付ける事はきっとない。
 だがそれでいい。
 自らがどう心を尽くすかが大切だからだ。

「いつかお嬢様の役に立ちたいと思って猛勉強したんだ。あの子のおかげなんだよ。今のジャスティン・ワーグナーがあるのは。顧問としてメイフィールド伯爵に拾い上げてもらえたのは偶然だったけど」

 ミレーユは呆れたように眉尻を下げた。
 彼の忠誠にも似た感情へと、そして偶然などではないのだと彼が思い至らない盲目さに。
 行方不明のメイフィールド伯爵はきっと、彼と娘の繋がりを簡単なものと捉えてはいなかった。
 その上で彼を近づけた。将来的に娘のためになるとでも思っていたに違いない。

 事実、現在そうなった。

 先見の明と言うのか根回しというのか青田買いというのか、の伯爵は抜け目のない人物だったとする報告書をミレーユは実家で見た記憶がある。
 そうでなければいくら好き合っていたとしても、時として覇王の緑の問題を孕み、混沌に繋がる可能性のある最古の王朝の流れを汲む一族の娘を妻になど迎えられないだろう。

 ――覇王の緑。

 その瞳の持ち主が現れる時は、変光星のように世界が目まぐるしく動く時と、養父フォグフォード卿に教えられたミレーユだ。
 これは口承によるもので書物には残されていない知識のひとつ。
 きっとエレノア自身はまだ知らない、その身に流れる血の秘密だ。
 あの愛らしい少女がこのまま何も知らないまま、一人の娘として穏やかに暮らせればそれが一番いいとミレーユは思う。
 けれど時に、周囲の欲が彼女を放っておかないだろう。

「ジャスティンあなたって、妬けるほどにお嬢様が大好きよねえ」
「そりゃあね」

 それは決して恋ではない。
 けれど時として恋以上に深い。

 騎士が唯一無二の主君に向けるのにも似た愛だ。

 ミレーユは少しだけ、そんな強い気持ちをてらいもなく爽やかに肯定してしまえる青年を、少し妬ましく、そしてとても羨ましく思うのだった。




 偽エレノア退場劇の一部始終を見ていたアメリアは「うわあ~」とあからさまにドン引いた声を出した。
 横では合流していたエレノアが引き攣った苦笑いを浮かべている。

「ジャスティンたち専用の休憩室ってどこの部屋かしら。アメリアは何か聞いてる?」
「いいえ。ですから二人の後を追いましょ」
「あ、そうよね。場所だけは最初に把握しておかないと駄目よね」

 この予想外の状況を知らせておきたいクレマチスは会場にはいなかった。どこかで裏方の仕事をしているのだろう。どこにいるのかわからないので、とりあえずはジャスティンたちを追うのが先と頷き合った。
 急ぎ連れ立って廊下に出ていくそんな少女二人をヴィセラスが遠目に眺めていた。
 ようやく妹と一緒に社交義務から解放され、彼もこの夜会を楽しもうと思っていたところだったのだが……。

「やれやれ、仲が良いのは宜しいんだが、じゃじゃ馬二頭で手綱を締める役がいないってのはどうなんだ?」

 ボケとボケ、ツッコミとツッコミしかいないようなものだ。

「そういや、ジュリアンはどうした? エリーと一曲しか踊らないうちに解散とか、喧嘩でもしたか?」

 キョロキョロと友人を捜して歩いたヴィセラスは、広い会場の壁際にその姿を見つけて眉をひそめた。

「おいおい何だありゃ、ふらふらじゃねかよ。随分飲んでるな」

 友人は珍しく前後不覚も時間の問題と言った様子で壁に寄り掛かって、酒のグラスを呷っていた。
 何か自棄酒を飲みたくなるような出来事でもあったのだろう。

「ま、十中八九エレノアに関係する事だろうな。はー、あのまま放置すればハイエナ女共からいいように既成事実を作られて苦労する羽目になるよなー」

 世の中あの手この手で意中の相手を落としにかかる女性をヴィセラスは何人も見て来た。
 普段は抜け目のない友人も、あの状態では判断力もだいぶ落ちるだろう。
 酔っぱらいの相手は心底面倒だが仕方がないと、ヴィセラスは割り切った。

「ジュリアン、もう止せ飲み過ぎだ」
「あ~ヴィセラス~、ヴィーじゃないか~」
「ヴィーはやめろ。ペットの名前みたいだろ」
「あははヴィー、僕はね~振られたよ~エリーに~」

 ああ、だからか……とヴィセラスは得心がいった。

「はあぁー……ったく世話が焼ける。お前ちょっと来い」
「もっと飲ませてよ~」

 片側から脇に手を差し入れて支えズリズリと強引に歩かせる……というか引き摺る。
 横でジュリアンはぶーぶー何か文句を言っていたが問答無用でホールから連れ出した。
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