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番外編 姉のために男装して騎士団に入ったら男色王太子に気に入られて暴かれた新キャラの話1
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彼ルイス・マクドナルドは剣士だ。
時に魔法も使う。
国民を護るために魔物と戦うのが彼のような魔法剣士の、王宮騎士の務め。
他の騎士達の例に漏れず彼は王宮騎士団の一員として勇敢に戦う事を自らの使命としている。
因みに彼が所属するのは王宮に幾つもある騎士団の中の一つ「下弦の月騎士団」と言う組織だ。
魔物討伐以外には、主に王太子の警護が任務。
「――皆っ、敵の間合いの外まで下がっていろ!」
王族の居住区へと通じる回廊を臨む王宮の広場で、ルイスは血管を浮かせて叫んだ。
今の王都は現在進行形で数十年に一度あるかないかという災禍の最中、大規模な魔物の襲来という異常事態に直面していた。
王都の各所に大なり小なりの魔物の集団が現れ暴れているらしいとの報告は既に魔法通信などで受け取っている。その場所その場所で戦況の不利有利が異なり、なるべくなら不利な場所へと急ぎ仲間を連れて援軍に出ようかという矢先、魔物の中でも一際厄介な相手がこの王宮にまで到達したのだ。
それは理性を持たない凶悪なドラゴンで、本能のままに破壊に走る。
人間社会においては害悪にしかならない最も忌むべき魔物の一つ。
応戦したのは言うまでもないが、正直勝てるかどうかはルイス自身でも未知数だった。
確実に勝てるとすれば同僚に一人だけそんな騎士がいる。
まだ大人と言うにはあどけない顔をした黒髪の少年騎士エドウィンだ。
生憎彼は一番初めに他の現場に向かったのでここにはいない。下弦の月騎士団以外の王宮所属の他の騎士団もそれぞれ大半が出払っていて頼れる実力者も不在。
よって、彼ルイス・マクドナルドが全力で食い止めなければならなかった。
因みに現在警護対象の王太子は御身の安全のためと避難させているので傍にはいない。ルイスよりも腕の立つベテラン騎士達が無理矢理引っ張っていっ……しかと気を引き締めて随行しているので心配はしていない。
まあ、警護対象の癖に自らも騎士団の一員であり毎日騎士達と共に鍛練に参加する武道派で、矜持の高い王太子がすんなり敵前逃亡に近いそれに従うかはわからない。
今頃はいい加減に放せとぶちギレて自分も戦うと暴れているかもしれない。仮にそうなってもとりあえず騎士達の方は避難のために動いたのだから彼らの職務怠慢にはならないだろう。
と、そんな事よりもまずはこちらだ。
ドラゴンは居合わせたルイスの部下達とルイスとでじりじりと体力を削ってやったとは言え、弱らせたと断じるには不十分だ。動きにはまだ脅威がある。牙や爪や尾を振り回し騎士を中々寄せ付けない。しかし防御も手堅い敵の懐に入り込んで攻撃をしなければ逆に騎士達の方がじり貧になるだろう。
怪我人ばかりの周りを確認したルイスは自分がやるほかないと悟った。
ここで彼が命を躊躇えばどのみち警護対象を含めた大事な人を護れないかもしれないのだ。王宮の無力な使用人などは早々に防衛戦を突破したドラゴンの餌食になるだろう。
だからこそ彼は腹を括って相討ち覚悟で最後の力を振り絞った。
「ぐうっ……!」
予想通りドラゴンの鋭い鉤爪が彼ルイスの胸に深々と食い込んだ。
ドラゴンの硬い鱗を砕きその下の肉を断ったルイスの剣が手から滑り落ち、カラランと耳障りな音を立てる。
「隊長おおおっ!」
ルイスの事だ。
十五で入団しておよそ三年、十八歳になった彼は若くして騎士団に幾つかある小さな隊の一つを任せられるまでになっていた。
彼よりも年上の部下達が彼らだって満身創痍ながらも案じてくれているのか、或いは手遅れだと悟っての絶望か、悲鳴染みた声を上げる。
大半がドラゴンの太い脚に踏み砕かれ土が剥き出した石畳。そこに倒れ込んだルイスは口元を緩めていた。
ドラゴンは動かず屹立している。今にも動いて彼を食べてしまうように皆には見えるのかもしれない。
「心配、しなくて、いいよ」
口からごふごふっと血を吐きながら、精一杯笑ってやった。
「あれは、もう、死んでる、から」
言い終わったのと同時に動かなかったドラゴンの首が動いた。
ズリリと横にスライドしてあっという間に落ちた。首に続いて胴体がくずおれる。
暫し辺りは水を打ったように静まり返っていた。
勝利した現実にようやくハッとして我に返った騎士達の誰かが「倒した……」と掠れた声で呟いて、それが呼び水となって歓喜の声に変わる。
(ああ……駄目だな、感覚がなくなっていく……)
視界も霞んできた。
痛みを感じなくなりつつある。
ルイス・マクドナルドは思う。この人生では大事な人を今度こそ護れたんだろうかと。
既に有効な手は打ったから、彼の大切な女性にもう災難は訪れないはずだ。
大事な大事な彼の姉に。
そのためにそれまでの生活をがらりと変えて、男所帯の下弦の月騎士団になんて入ったのだ。
「ヒーラーッ、いないのか!? 早くルイス隊長を治療しろっ!」
「隊長しっかりして下さいっ! もうすぐ他の隊が来ますから! そうすれば治療ができますから!」
彼の周りに足を引き摺った騎士達が集まって怒声を上げている。
この隊のヒーラーはまだ未熟で、彼のこの深刻なレベルの怪我を治癒はできないし、そもそも負傷してヒーラー自身が動けない。
目を閉じたらこのまま目覚めないだろうと、それくらいはルイス本人にもわかった。
だからこそ、この場の部下達に願いを託したかった。
「皆には、私の姉さんを、宜しく、頼みたい……。あの人は、優しくて、そしてとても、寂しがり、だ、から……」
「隊長喋らないで下さい!」
ふと、沢山の足音が聞こえた気がした。最早意識朦朧で夢か現か定かではなかったが。
「ルイス! 今助ける!」
知っている誰かの声がして、だけどもう考えられなかった。
(ごめんね姉さん。ここで死んじゃう私はあなたに迷惑をかけるかもしれない。魔法の解けた私の死体が検められれば、もう隠し立てはできない。ドラゴンを倒した功績を考慮してあなたに害は及ばないと願いたい。そうじゃなければこの国を呪ってやるんだから。どうか神様、最愛の姉さんに幸せな未来を――…………)
ルイス・マクドナルドは蒼白な顔色で目を閉じた。
「――まさかそんな、ルイスが……女、だと?」
到着した有能なヒーラーに治療はされるも意識のない一人の騎士。
傷の具合を確かめるのが必要で一部を裂かれた衣服の下に見えた真実。
彼を、いや「彼」だと思っていたその者を囲んでいた男達の中から愕然とした呟きが落ちた。
今や「彼女」と認識されるその者を抱き起こす金髪の若い男は信じられない面持ちになっていた。金髪は王家に多い髪の色だ。
「た、隊長が……女!? し、しかしわしは隊長と風呂を共にしたぞ!? あの時は確かに男の体だった!」
「おれも着替えた時に見えたけど、隊長は確かに男だったぜ。なのにどうして女に……? もしや幻惑か何かの魔法で男と偽ってたのか?」
口々に動揺を見せる同じ隊の面々も事実を知らなかったらしい。
各人の証言より導き出されたシンプルな結論として、ルイスは魔法で男性と偽って過ごしていたとなった。
その場の誰も異論は唱えなかった。
即席だが高度な治癒魔法を施されたルイスを抱えて座り込む男は、性別が露見した今ではもう女性でしかない血だらけの体を抱き締める。治癒魔法では流れ出た血液までは消えないのだ。消えてしまったらそれはまた治癒とは別の魔法になる。
ルイスは男達があと少しここへの到着が遅れていたなら助からなかっただろう。
抱き締めてみれば男の思っていた以上に華奢だった。
「そうだったのか。お前はずっと一人でひた隠してきたのか……。何かワケがあって男装していたんだろうに、どうして露見するのをわかっていて、実力が上のドラゴン相手に無茶をした? どうして己の身を護るために逃げなかった?」
致命傷になり得た大きな傷は治癒され何とか命は取り留めたものの、失われた血までは戻らない。絶対の安静と静養は必要不可欠だ。
「騎士の使命? 仲間を護るため? お前自身が死んでしまっては元も子もないだろうに。俺がどれだけ案じたか、わかるか?」
意識のないルイスは当然無反応だ。いつもなら愛想良くへらへらと笑って丁寧な所作と言葉を口に男の不機嫌をからかう、それが慇懃無礼でフレンドリーな騎士ルイス・マクドナルドの姿だ。
くそっ、と吐き捨て我が事のように歯噛みした男はドラゴンを退けた英雄も同然な彼女を抱き上げて歩き出す。
「殿下! 運ぶなら私共が!」
「不要だ。俺が運ぶ」
「しっしかし、ルイスは女性だったのですよ!?」
腹心からの懸念するような眼差しに男――王太子アーチボルトは片方の眉を微かに上げる。身内や親しい友人からはアーチーなどと呼ばれている。
「それが?」
「え、ええと、殿下は女性がお嫌いなのでは? いつも触れられただけでも相手の手を切り落とす勢いで激怒なさっておられたでしょうに」
そうだ。王太子アーチボルトは基本的に女は好かない。
それでも昔は公的なダンスパートナーなどの女性は拒絶しなかったし、毛嫌いまではいかなかったので試しに何人かと付き合ってみた経験もある。
世間ではアーチボルトはゲイだと思われているが、実際の彼はどちらも行ける口だった。
ただ、彼が二十歳の時に単なる第一王子から王太子へと冊封されてからは、王太子妃の座を狙う狡猾な女性達が押し寄せるようになってとうとう本気で嫌気が差したのだ。ぶりっこで傲慢な貴族の女などはとりわけ鳥肌が立つ。
そんなわけで、王太子になっておよそ五年、女性嫌いなアーチボルトのために、この下弦の月騎士団には男性しか在籍していない。
そんな風に彼を取り巻く環境もあり、現在の彼の恋の対象は専ら男性だ。
彼は同い年の腹心に野性味のある麗しい流し目を送りながら唇の片端を吊り上げた。その王家特有の赤瞳はいつになく柔らかい。腹心は妻一筋の既婚者なので別段ドキリとしたりはしないが社交界の令嬢なら卒倒したかもしれない。
一つ言っておくと、アーチボルトは冷笑の男だ。
彼が優しく微笑むのは恋人か猫の前でだけと決まっている。
「どうもルイスは別なようだ」
彼は呆気として絶句する腹心はもう無視して連れてきたヒーラーに残りの怪我人を治すよう命じると、随行の騎士を引き連れ颯爽とその場を後にした。
彼の大事なものをその両腕に……。
「――ルイス!」
アーチボルトが腹心を含めた数人の騎士と共に王宮の回廊に差し掛かった時だ。
男にしては高めの声が掛けられた。
アーチボルトは不機嫌な顔で振り返る。もうその時には相手はすぐ傍に駆け寄って来ていた。
「……エドウィンか」
「殿下っ、聞きましたっ、ルイスはっ、ルイスはどんな状態なのですか!?」
少年は少年の戦闘を終えて走って来たのかもしれない。黒髪が見事に乱れている。これでは令嬢人気の高い噂の美少年も形無しだなとアーチボルトが薄く思う前で、必死な形相で訴えてくる少年騎士は意識のないルイスを覗き込む。
普段からルイスとこの少年騎士エドウィンは仲が良かった。
良すぎるのではないかというくらいによく一緒にいるのだ。だからわざわざ騎士団の中で隊を分けてなるべく引き離すようにしたのだが、ほとんど意味はなかった。
今も最愛の恋人でも見るような目で心配している。
アーチボルトはエドウィンへと知らず知らず半眼を向けていた。
「こいつはやらんぞ」
「は? 何を意味不明なことを言っているのですかこんな時に」
躊躇なく本気で不快を示したエドウィンに、アーチボルトは彼を従える立場にもかかわらず少したじろいだ。
いつもは節度を持って控えめなのに時々相応しい場面で彼はこんな強い態度を取ってくる。まさにこの場がいい例だ。正論と同義の態度なので不敬だと糾弾するのもアーチボルトの狭量さを露呈させるだけなので余りしたくない。
こんな風になったのもエドウィンを取り巻くうつけ共のせいだとアーチボルトは内心苦々しく思う。
そのうつけ共とは政治的には同じ派閥なのたが、最近少しやりにくい。
彼らとエドウィンとはかなり親しいようなので心配するのはわかるが、とにかく目が怖いのだ。
この少年に不埒な思惑で指一本でも触れたら殺すという圧力を感じるのだ。
目の前にいなくても日頃何故か悪寒を感じるので、生き霊にでもなって見張っているのかもしれないとも本気で思う。主にこのエドウィンを優秀な人材だからとアドレア公爵令嬢の元から騎士団に引っ張ってきた辺りからずっと……。
何かとてつもなく大きな誤解をされているような気がするのだ。
「それで、ルイスの手当てはどうなってるんです? 優秀なヒーラーが必要ならすぐにレティ……ああいえ公爵令嬢かそれかクラウスさ……公爵令息をお呼びしますが。お二人は魔法に関しては格別の才能をお持ちですし」
「お前……」
いちいち言い直すのも何度聞いただろうか。もういっその事、エドウィンの二人へのプライベートでの呼び方「レティ」と「クラウスさん」と呼んでしまえとアーチボルトはイライラしながら思ったが口には出さない。その指摘だって「こんな時に」と絶対咎められるに違いないからだ。
彼は気を取り直して咳払いする。
「安心しろ。ルイスの傷は癒したからもう命に別状はない」
その瞬間、エドウィンはその場にへたり込んでしまった。
「よかっっったあぁ~~、王宮にドラゴンが行ったって聞いて急いで戻って来ましたけど、ルイスが怪我をしたと聞いた時はどうして私も王宮に残らなかったのかって後悔しました。ルイスに何かあったら……もう、ホントに……っ」
俯いて両手を握り締める様を見下ろして、アーチボルトは溜息をついた。
「確かにお前がいたならドラゴンにも苦戦しなかったかもな。だがもう過ぎた事だし、そもそも現場にお前を行かせたのは俺だから、お前が責任を感じる必要はない。立て。ルイスを寝かせるからお前も付いて来い」
「はい……」
エドウィンはのろのろと起き上がる。こういうところは従順だ。彼は先は最愛の恋人を見る目と称したがよく観察すれば兄を案じる弟のような顔付きでルイスを見つめる。正確にはルイスは女だったので姉をと表現するのが適切か。
「あの、ところでどこの部屋に行くのですか? 私ら騎士団の部屋は方向が違いますよ?」
「俺の部屋だ」
「へえ、殿下の、へえー…………まさか火事場の貞操泥棒なんてしないよね?」
アーチボルトは瞬いた。何やら一瞬エドウィンの目が据わったように見えたが錯覚だろうか。最後の台詞も聞こえなかった。
因みに他の騎士達はエドウィンの態度には何も言わない。下手に関わらない方が身のためだと知っているからだ。どうして関わらない方が身のためなのかは……。
「エドウィン、何か不都合でも?」
「いいえ、大きくてふっかふかの殿下のベッドはさぞかしいーい寝心地でしょうね、と。なので、ルイスの看病は私が殿下のお部屋に泊まり込んでします」
アーチボルトは黙した。前後での文脈の繋ぎがおかしい。そこは置いておくにしても、エドウィンの思い遣りは同僚に対して些か過ぎる気がする。しかし軍医に定時置きの診察をさせるつもりなので一晩中二人きりにするわけではない。彼はややあってわかったと了承した。
そうして歩き出そうとした刹那、変わらずルイスを抱き上げて先頭を行くアーチボルトの爪先スレスレに雷が落ちた。
魔法の雷撃だ。
「殿下!」
「動かないで下さい!」
エドウィンやこの場にいる騎士達がアーチボルトを護るように囲んだ。とりわけエドウィンは勇敢にも彼の前に出る。下手人は前方にいるのだ。ちょうど柱だけで壁のない回廊から壁はあるが窓のない屋内廊下に入った位置に佇むため、影になっていてシルエットだけしか見えないが、確実にいる。
もしも相手が無許可の侵入者だとすれば、魔物達の襲撃に何らかの目的がある可能性も考慮しなければならない。
アーチボルトは王太子。次の国王だ。魔物襲来の混乱に乗じて彼を害しようとする計画だとすれば厄介だ……と騎士達は等しくそう判断したらしく、警戒してピリピリした空気が広がった。そうでなかったとしても魔物の襲撃はまだ全ての戦場で片が付いたわけではないだろうし、前方の相手の正体を暴かなければ王宮内の治安にも関わる。気を抜いている暇はなかった。
雷撃は小さなものだったが直撃すれば結構痛かったに違いない。
加えて、アーチボルトには故意に自分を狙ったものだとわかった。
威力からして当たったとしても死にはしないが彼はひしひしと殺意同然のものは感じていたのだ。しかも心当たりのある敵意だ。
「これは……――またか」
彼はげんなりとして深く嘆息した。実はこんな状況は初めてではない。
「エドウィン、下がれ」
「しかし殿下」
「下がれ、平気だ。こうなるとお前が近くにいる方がむしろ俺の身には危険だ」
「はい……? それはどういう意味です?」
エドウィンは困惑を露わにする。けれどアーチボルトが黙して答えないでいるとすぐに疑問などどうでもよくなったのか少し不安そうにルイスを見やった。
……どう見ても警護対象よりも同僚の方を護りたげだ。
エドウィンが動かないので多少不満ではあったが仕方なくアーチボルトから動いて前に出た。あ、ルイスと小さな抗議染みた声を上げたエドウィンが付いて来ようとする。
「エドウィン、そこから動くな」
少し荒いアーチボルトの命令に少年騎士は渋々従った。
一方、後ろではエドウィン以外の騎士達も躊躇うような気配を醸す。自分達もその場に留まるべきなのか判断がつかないらしい。アーチボルトとしてはどちらでもよかったので敢えて何も言わなかった。
それよりも注意を向けるべくは前方だ。
「おい不審者、いい加減出てこい。お前の最愛の弟分にいつまで気を張らせておくつもりだ」
暗がりから、ふ、ははっ、と小さく笑う声が上がる。
「不審者? あなたに言われたくはないですよ、アーチボルト殿下」
「あれ? 今の声って……?」
エドウィンが首を傾げて呟く。
アーチボルトが声の出所をじっと睨むと、視線の先の声の主が軽やかなステップを踏んでくる。明るみに出たその顔にエドウィンがすっとんきょうな声を出す。
「やっぱりクラウスさん、あいや、様!?」
どうしてここに、と驚きを隠せない少年に、たったの今現れた銀の髪をした青年はその薄い青色の瞳をそれまでとは全く別種の類いに綻ばせた。
時に魔法も使う。
国民を護るために魔物と戦うのが彼のような魔法剣士の、王宮騎士の務め。
他の騎士達の例に漏れず彼は王宮騎士団の一員として勇敢に戦う事を自らの使命としている。
因みに彼が所属するのは王宮に幾つもある騎士団の中の一つ「下弦の月騎士団」と言う組織だ。
魔物討伐以外には、主に王太子の警護が任務。
「――皆っ、敵の間合いの外まで下がっていろ!」
王族の居住区へと通じる回廊を臨む王宮の広場で、ルイスは血管を浮かせて叫んだ。
今の王都は現在進行形で数十年に一度あるかないかという災禍の最中、大規模な魔物の襲来という異常事態に直面していた。
王都の各所に大なり小なりの魔物の集団が現れ暴れているらしいとの報告は既に魔法通信などで受け取っている。その場所その場所で戦況の不利有利が異なり、なるべくなら不利な場所へと急ぎ仲間を連れて援軍に出ようかという矢先、魔物の中でも一際厄介な相手がこの王宮にまで到達したのだ。
それは理性を持たない凶悪なドラゴンで、本能のままに破壊に走る。
人間社会においては害悪にしかならない最も忌むべき魔物の一つ。
応戦したのは言うまでもないが、正直勝てるかどうかはルイス自身でも未知数だった。
確実に勝てるとすれば同僚に一人だけそんな騎士がいる。
まだ大人と言うにはあどけない顔をした黒髪の少年騎士エドウィンだ。
生憎彼は一番初めに他の現場に向かったのでここにはいない。下弦の月騎士団以外の王宮所属の他の騎士団もそれぞれ大半が出払っていて頼れる実力者も不在。
よって、彼ルイス・マクドナルドが全力で食い止めなければならなかった。
因みに現在警護対象の王太子は御身の安全のためと避難させているので傍にはいない。ルイスよりも腕の立つベテラン騎士達が無理矢理引っ張っていっ……しかと気を引き締めて随行しているので心配はしていない。
まあ、警護対象の癖に自らも騎士団の一員であり毎日騎士達と共に鍛練に参加する武道派で、矜持の高い王太子がすんなり敵前逃亡に近いそれに従うかはわからない。
今頃はいい加減に放せとぶちギレて自分も戦うと暴れているかもしれない。仮にそうなってもとりあえず騎士達の方は避難のために動いたのだから彼らの職務怠慢にはならないだろう。
と、そんな事よりもまずはこちらだ。
ドラゴンは居合わせたルイスの部下達とルイスとでじりじりと体力を削ってやったとは言え、弱らせたと断じるには不十分だ。動きにはまだ脅威がある。牙や爪や尾を振り回し騎士を中々寄せ付けない。しかし防御も手堅い敵の懐に入り込んで攻撃をしなければ逆に騎士達の方がじり貧になるだろう。
怪我人ばかりの周りを確認したルイスは自分がやるほかないと悟った。
ここで彼が命を躊躇えばどのみち警護対象を含めた大事な人を護れないかもしれないのだ。王宮の無力な使用人などは早々に防衛戦を突破したドラゴンの餌食になるだろう。
だからこそ彼は腹を括って相討ち覚悟で最後の力を振り絞った。
「ぐうっ……!」
予想通りドラゴンの鋭い鉤爪が彼ルイスの胸に深々と食い込んだ。
ドラゴンの硬い鱗を砕きその下の肉を断ったルイスの剣が手から滑り落ち、カラランと耳障りな音を立てる。
「隊長おおおっ!」
ルイスの事だ。
十五で入団しておよそ三年、十八歳になった彼は若くして騎士団に幾つかある小さな隊の一つを任せられるまでになっていた。
彼よりも年上の部下達が彼らだって満身創痍ながらも案じてくれているのか、或いは手遅れだと悟っての絶望か、悲鳴染みた声を上げる。
大半がドラゴンの太い脚に踏み砕かれ土が剥き出した石畳。そこに倒れ込んだルイスは口元を緩めていた。
ドラゴンは動かず屹立している。今にも動いて彼を食べてしまうように皆には見えるのかもしれない。
「心配、しなくて、いいよ」
口からごふごふっと血を吐きながら、精一杯笑ってやった。
「あれは、もう、死んでる、から」
言い終わったのと同時に動かなかったドラゴンの首が動いた。
ズリリと横にスライドしてあっという間に落ちた。首に続いて胴体がくずおれる。
暫し辺りは水を打ったように静まり返っていた。
勝利した現実にようやくハッとして我に返った騎士達の誰かが「倒した……」と掠れた声で呟いて、それが呼び水となって歓喜の声に変わる。
(ああ……駄目だな、感覚がなくなっていく……)
視界も霞んできた。
痛みを感じなくなりつつある。
ルイス・マクドナルドは思う。この人生では大事な人を今度こそ護れたんだろうかと。
既に有効な手は打ったから、彼の大切な女性にもう災難は訪れないはずだ。
大事な大事な彼の姉に。
そのためにそれまでの生活をがらりと変えて、男所帯の下弦の月騎士団になんて入ったのだ。
「ヒーラーッ、いないのか!? 早くルイス隊長を治療しろっ!」
「隊長しっかりして下さいっ! もうすぐ他の隊が来ますから! そうすれば治療ができますから!」
彼の周りに足を引き摺った騎士達が集まって怒声を上げている。
この隊のヒーラーはまだ未熟で、彼のこの深刻なレベルの怪我を治癒はできないし、そもそも負傷してヒーラー自身が動けない。
目を閉じたらこのまま目覚めないだろうと、それくらいはルイス本人にもわかった。
だからこそ、この場の部下達に願いを託したかった。
「皆には、私の姉さんを、宜しく、頼みたい……。あの人は、優しくて、そしてとても、寂しがり、だ、から……」
「隊長喋らないで下さい!」
ふと、沢山の足音が聞こえた気がした。最早意識朦朧で夢か現か定かではなかったが。
「ルイス! 今助ける!」
知っている誰かの声がして、だけどもう考えられなかった。
(ごめんね姉さん。ここで死んじゃう私はあなたに迷惑をかけるかもしれない。魔法の解けた私の死体が検められれば、もう隠し立てはできない。ドラゴンを倒した功績を考慮してあなたに害は及ばないと願いたい。そうじゃなければこの国を呪ってやるんだから。どうか神様、最愛の姉さんに幸せな未来を――…………)
ルイス・マクドナルドは蒼白な顔色で目を閉じた。
「――まさかそんな、ルイスが……女、だと?」
到着した有能なヒーラーに治療はされるも意識のない一人の騎士。
傷の具合を確かめるのが必要で一部を裂かれた衣服の下に見えた真実。
彼を、いや「彼」だと思っていたその者を囲んでいた男達の中から愕然とした呟きが落ちた。
今や「彼女」と認識されるその者を抱き起こす金髪の若い男は信じられない面持ちになっていた。金髪は王家に多い髪の色だ。
「た、隊長が……女!? し、しかしわしは隊長と風呂を共にしたぞ!? あの時は確かに男の体だった!」
「おれも着替えた時に見えたけど、隊長は確かに男だったぜ。なのにどうして女に……? もしや幻惑か何かの魔法で男と偽ってたのか?」
口々に動揺を見せる同じ隊の面々も事実を知らなかったらしい。
各人の証言より導き出されたシンプルな結論として、ルイスは魔法で男性と偽って過ごしていたとなった。
その場の誰も異論は唱えなかった。
即席だが高度な治癒魔法を施されたルイスを抱えて座り込む男は、性別が露見した今ではもう女性でしかない血だらけの体を抱き締める。治癒魔法では流れ出た血液までは消えないのだ。消えてしまったらそれはまた治癒とは別の魔法になる。
ルイスは男達があと少しここへの到着が遅れていたなら助からなかっただろう。
抱き締めてみれば男の思っていた以上に華奢だった。
「そうだったのか。お前はずっと一人でひた隠してきたのか……。何かワケがあって男装していたんだろうに、どうして露見するのをわかっていて、実力が上のドラゴン相手に無茶をした? どうして己の身を護るために逃げなかった?」
致命傷になり得た大きな傷は治癒され何とか命は取り留めたものの、失われた血までは戻らない。絶対の安静と静養は必要不可欠だ。
「騎士の使命? 仲間を護るため? お前自身が死んでしまっては元も子もないだろうに。俺がどれだけ案じたか、わかるか?」
意識のないルイスは当然無反応だ。いつもなら愛想良くへらへらと笑って丁寧な所作と言葉を口に男の不機嫌をからかう、それが慇懃無礼でフレンドリーな騎士ルイス・マクドナルドの姿だ。
くそっ、と吐き捨て我が事のように歯噛みした男はドラゴンを退けた英雄も同然な彼女を抱き上げて歩き出す。
「殿下! 運ぶなら私共が!」
「不要だ。俺が運ぶ」
「しっしかし、ルイスは女性だったのですよ!?」
腹心からの懸念するような眼差しに男――王太子アーチボルトは片方の眉を微かに上げる。身内や親しい友人からはアーチーなどと呼ばれている。
「それが?」
「え、ええと、殿下は女性がお嫌いなのでは? いつも触れられただけでも相手の手を切り落とす勢いで激怒なさっておられたでしょうに」
そうだ。王太子アーチボルトは基本的に女は好かない。
それでも昔は公的なダンスパートナーなどの女性は拒絶しなかったし、毛嫌いまではいかなかったので試しに何人かと付き合ってみた経験もある。
世間ではアーチボルトはゲイだと思われているが、実際の彼はどちらも行ける口だった。
ただ、彼が二十歳の時に単なる第一王子から王太子へと冊封されてからは、王太子妃の座を狙う狡猾な女性達が押し寄せるようになってとうとう本気で嫌気が差したのだ。ぶりっこで傲慢な貴族の女などはとりわけ鳥肌が立つ。
そんなわけで、王太子になっておよそ五年、女性嫌いなアーチボルトのために、この下弦の月騎士団には男性しか在籍していない。
そんな風に彼を取り巻く環境もあり、現在の彼の恋の対象は専ら男性だ。
彼は同い年の腹心に野性味のある麗しい流し目を送りながら唇の片端を吊り上げた。その王家特有の赤瞳はいつになく柔らかい。腹心は妻一筋の既婚者なので別段ドキリとしたりはしないが社交界の令嬢なら卒倒したかもしれない。
一つ言っておくと、アーチボルトは冷笑の男だ。
彼が優しく微笑むのは恋人か猫の前でだけと決まっている。
「どうもルイスは別なようだ」
彼は呆気として絶句する腹心はもう無視して連れてきたヒーラーに残りの怪我人を治すよう命じると、随行の騎士を引き連れ颯爽とその場を後にした。
彼の大事なものをその両腕に……。
「――ルイス!」
アーチボルトが腹心を含めた数人の騎士と共に王宮の回廊に差し掛かった時だ。
男にしては高めの声が掛けられた。
アーチボルトは不機嫌な顔で振り返る。もうその時には相手はすぐ傍に駆け寄って来ていた。
「……エドウィンか」
「殿下っ、聞きましたっ、ルイスはっ、ルイスはどんな状態なのですか!?」
少年は少年の戦闘を終えて走って来たのかもしれない。黒髪が見事に乱れている。これでは令嬢人気の高い噂の美少年も形無しだなとアーチボルトが薄く思う前で、必死な形相で訴えてくる少年騎士は意識のないルイスを覗き込む。
普段からルイスとこの少年騎士エドウィンは仲が良かった。
良すぎるのではないかというくらいによく一緒にいるのだ。だからわざわざ騎士団の中で隊を分けてなるべく引き離すようにしたのだが、ほとんど意味はなかった。
今も最愛の恋人でも見るような目で心配している。
アーチボルトはエドウィンへと知らず知らず半眼を向けていた。
「こいつはやらんぞ」
「は? 何を意味不明なことを言っているのですかこんな時に」
躊躇なく本気で不快を示したエドウィンに、アーチボルトは彼を従える立場にもかかわらず少したじろいだ。
いつもは節度を持って控えめなのに時々相応しい場面で彼はこんな強い態度を取ってくる。まさにこの場がいい例だ。正論と同義の態度なので不敬だと糾弾するのもアーチボルトの狭量さを露呈させるだけなので余りしたくない。
こんな風になったのもエドウィンを取り巻くうつけ共のせいだとアーチボルトは内心苦々しく思う。
そのうつけ共とは政治的には同じ派閥なのたが、最近少しやりにくい。
彼らとエドウィンとはかなり親しいようなので心配するのはわかるが、とにかく目が怖いのだ。
この少年に不埒な思惑で指一本でも触れたら殺すという圧力を感じるのだ。
目の前にいなくても日頃何故か悪寒を感じるので、生き霊にでもなって見張っているのかもしれないとも本気で思う。主にこのエドウィンを優秀な人材だからとアドレア公爵令嬢の元から騎士団に引っ張ってきた辺りからずっと……。
何かとてつもなく大きな誤解をされているような気がするのだ。
「それで、ルイスの手当てはどうなってるんです? 優秀なヒーラーが必要ならすぐにレティ……ああいえ公爵令嬢かそれかクラウスさ……公爵令息をお呼びしますが。お二人は魔法に関しては格別の才能をお持ちですし」
「お前……」
いちいち言い直すのも何度聞いただろうか。もういっその事、エドウィンの二人へのプライベートでの呼び方「レティ」と「クラウスさん」と呼んでしまえとアーチボルトはイライラしながら思ったが口には出さない。その指摘だって「こんな時に」と絶対咎められるに違いないからだ。
彼は気を取り直して咳払いする。
「安心しろ。ルイスの傷は癒したからもう命に別状はない」
その瞬間、エドウィンはその場にへたり込んでしまった。
「よかっっったあぁ~~、王宮にドラゴンが行ったって聞いて急いで戻って来ましたけど、ルイスが怪我をしたと聞いた時はどうして私も王宮に残らなかったのかって後悔しました。ルイスに何かあったら……もう、ホントに……っ」
俯いて両手を握り締める様を見下ろして、アーチボルトは溜息をついた。
「確かにお前がいたならドラゴンにも苦戦しなかったかもな。だがもう過ぎた事だし、そもそも現場にお前を行かせたのは俺だから、お前が責任を感じる必要はない。立て。ルイスを寝かせるからお前も付いて来い」
「はい……」
エドウィンはのろのろと起き上がる。こういうところは従順だ。彼は先は最愛の恋人を見る目と称したがよく観察すれば兄を案じる弟のような顔付きでルイスを見つめる。正確にはルイスは女だったので姉をと表現するのが適切か。
「あの、ところでどこの部屋に行くのですか? 私ら騎士団の部屋は方向が違いますよ?」
「俺の部屋だ」
「へえ、殿下の、へえー…………まさか火事場の貞操泥棒なんてしないよね?」
アーチボルトは瞬いた。何やら一瞬エドウィンの目が据わったように見えたが錯覚だろうか。最後の台詞も聞こえなかった。
因みに他の騎士達はエドウィンの態度には何も言わない。下手に関わらない方が身のためだと知っているからだ。どうして関わらない方が身のためなのかは……。
「エドウィン、何か不都合でも?」
「いいえ、大きくてふっかふかの殿下のベッドはさぞかしいーい寝心地でしょうね、と。なので、ルイスの看病は私が殿下のお部屋に泊まり込んでします」
アーチボルトは黙した。前後での文脈の繋ぎがおかしい。そこは置いておくにしても、エドウィンの思い遣りは同僚に対して些か過ぎる気がする。しかし軍医に定時置きの診察をさせるつもりなので一晩中二人きりにするわけではない。彼はややあってわかったと了承した。
そうして歩き出そうとした刹那、変わらずルイスを抱き上げて先頭を行くアーチボルトの爪先スレスレに雷が落ちた。
魔法の雷撃だ。
「殿下!」
「動かないで下さい!」
エドウィンやこの場にいる騎士達がアーチボルトを護るように囲んだ。とりわけエドウィンは勇敢にも彼の前に出る。下手人は前方にいるのだ。ちょうど柱だけで壁のない回廊から壁はあるが窓のない屋内廊下に入った位置に佇むため、影になっていてシルエットだけしか見えないが、確実にいる。
もしも相手が無許可の侵入者だとすれば、魔物達の襲撃に何らかの目的がある可能性も考慮しなければならない。
アーチボルトは王太子。次の国王だ。魔物襲来の混乱に乗じて彼を害しようとする計画だとすれば厄介だ……と騎士達は等しくそう判断したらしく、警戒してピリピリした空気が広がった。そうでなかったとしても魔物の襲撃はまだ全ての戦場で片が付いたわけではないだろうし、前方の相手の正体を暴かなければ王宮内の治安にも関わる。気を抜いている暇はなかった。
雷撃は小さなものだったが直撃すれば結構痛かったに違いない。
加えて、アーチボルトには故意に自分を狙ったものだとわかった。
威力からして当たったとしても死にはしないが彼はひしひしと殺意同然のものは感じていたのだ。しかも心当たりのある敵意だ。
「これは……――またか」
彼はげんなりとして深く嘆息した。実はこんな状況は初めてではない。
「エドウィン、下がれ」
「しかし殿下」
「下がれ、平気だ。こうなるとお前が近くにいる方がむしろ俺の身には危険だ」
「はい……? それはどういう意味です?」
エドウィンは困惑を露わにする。けれどアーチボルトが黙して答えないでいるとすぐに疑問などどうでもよくなったのか少し不安そうにルイスを見やった。
……どう見ても警護対象よりも同僚の方を護りたげだ。
エドウィンが動かないので多少不満ではあったが仕方なくアーチボルトから動いて前に出た。あ、ルイスと小さな抗議染みた声を上げたエドウィンが付いて来ようとする。
「エドウィン、そこから動くな」
少し荒いアーチボルトの命令に少年騎士は渋々従った。
一方、後ろではエドウィン以外の騎士達も躊躇うような気配を醸す。自分達もその場に留まるべきなのか判断がつかないらしい。アーチボルトとしてはどちらでもよかったので敢えて何も言わなかった。
それよりも注意を向けるべくは前方だ。
「おい不審者、いい加減出てこい。お前の最愛の弟分にいつまで気を張らせておくつもりだ」
暗がりから、ふ、ははっ、と小さく笑う声が上がる。
「不審者? あなたに言われたくはないですよ、アーチボルト殿下」
「あれ? 今の声って……?」
エドウィンが首を傾げて呟く。
アーチボルトが声の出所をじっと睨むと、視線の先の声の主が軽やかなステップを踏んでくる。明るみに出たその顔にエドウィンがすっとんきょうな声を出す。
「やっぱりクラウスさん、あいや、様!?」
どうしてここに、と驚きを隠せない少年に、たったの今現れた銀の髪をした青年はその薄い青色の瞳をそれまでとは全く別種の類いに綻ばせた。
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