運命の息吹

梅川 ノン

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12章

番としての二人

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 ルシアが目覚めた時、アレクシーの腕の中にいた。思えば、このように二人で朝を迎えたのは、番になって初めてであった。
 ルシアは改めて、アレクシーの番になったことを自覚し、この人を愛していると思った。思えば、不思議な縁だ。兄上に対する、罪悪感は未だにある。多分それが消えることはないと思う。
 だけど、もうアレクシーから離れることはできない。この人を失くしたら生きてはいけないほどに……。これが運命の人ということか……。お母様がお父様の後を追って逝かれたように……。
 ルシアが考えていると、アレクシーも目覚めたのか眩しそうに眼を開く。
「ルシア、どうしたのじゃ? もう目覚めたのか?」
 ルシアは、返事の代わりにとアレクシーに抱きついた。それはあまりに可愛いらしく、アレクシーはルシアの額に口付けて言う。
「ふふっ、そなたは可愛いな~。十も年上で、三十を過ぎているようにはとても思えん」
「可愛いなどと……おっしゃる通り三十過ぎた男ですのに……」
「そなたは自分の可愛いさが分かっておらん。というか、自分の魅力に気付いておらん」
「私に魅力など……」
 あるはずないと、ルシアは思っている。そもそも国王と王太子が、自分を巡って争ったのも、それが自分の魅力故とは思っていなかった。勿論、オメガとアルファの運命が絡んだゆえの争いではあったが、ルシアに魅力がなければ、フェリックスは、ルシアを番にしていなかっただろう。例え番にしていても、簡単に運命の相手たるアレクシーに譲っただろう。ルシアに魅力があったからこそ、フェリックスも拒んだのだ。ルシアにはそこのところの自覚が皆無だった。
 アレクシーには、そのルシアの自己肯定感の低くさが不思議だった。オメガだからか? いや、自信満々に誘い掛けてくるオメガもいる。
 ではなぜか? やはりこの奥の宮で育ち、外の世界を知らないからか? アレクシーはそれが答えだと思っていた。
 そして、この狭い、狭すぎる世界しか知らないルシアが哀れでならなかった。ルシアを、広い世界に引き出してやりたかった。
 確かに、祖父や父がこの宮で、ルシアを大切に守り、育んだことは理解できる。それでも、やはりルシアに広い世界のあることを教えてやりたかった。それは、運命の相手たる自分の義務とも思えた。
 そして、ルシアにはそれだけの魅力があるとも思っていた。王太子たる己の、いずれは王になる己の伴侶に相応しい魅力。
 つまり、ルシアは王太子妃、将来の王妃になれるだけの資質があると思っている。控えめな中に、やはり祖父の、王の血を継いでいると感じさせる、気品をルシアは持っていた。
 外見の美しさだけでなく、内面も合わせて自分の側にいて決して引けをとらない資質を持っていると、アレクシーは思っている。
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