I-State (侵略国家)

エス

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VS北夕鮮・尖閣諸島編

第56話:志思累々①

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――――ちくしょう、間に合わなかった!

カズマは、血に染まり倒れていったワタルの姿を見ながら、歯嚙みをした。

ボサボサ頭の男がワタルに背後から接近していた事に――カズマは気づいていた。

 

折り畳み十字手裏剣を投げて、他の味方に当たらない様に弧を描き、ボサボサ頭の男の身体を狙う

……という時間的余裕も、僅かだが、あったのだ。

だが、先ほどよりも近い場所にいる敵、つまりボサボサ頭の男に当てるには……
乱戦中の4名の味方を迂回して、ボサボサ頭の男に当てるには……

さっきよりも、急激なカーブを描くように十字手裏剣を飛ばす必要がある。

それは、俺には……難しい。

狙いを外して、味方に当てる事など……決して許されない!

 

……だから、躊躇してしまった。

結果、ワタルは刺されて――血に染まり、倒れてしまった。

いや、もし投げてワタルに当たってしまったら……狙った通りに十字手裏剣が飛んで行っても、ワタル自身が、俺の予想外の動きをしたら……?

 

――1人反省会は、後だ!

今は、確実にできる事を積み上げる。

扱いが難しい弧を描く十字手裏剣よりも、扱いやすい直線軌道の棒手裏剣で!

棒手裏剣はまだストックがあるが、無くなったら……石、を投げる。見つかりやすいけど。

 

――カズマの視界に、ワタルを刺して身体を翻し、再びオウカに仕掛けようとするボサボサ頭の姿が映った。

だが……遠い!

オウカ自身が迎撃してくれる事を信じる……しかない!

カズマは、視線を別の方向へと向けた――

 

――――敵の援軍2人。

実力を低く偽って手こずってしまうと、さらに敵の援軍が来てしまう可能性が高まる。

……仕方ない。

ある程度、実力を解放するか。

-ギィンッ- -ドウッ-

オウカは、無精ヒゲの男が振り下ろす斬撃を右手の日ノ国刀で受け――同時に右脚での前蹴りを叩き込んだ。

うっ、と呻き声を上げて 倒れていく男。

 

――――その光景を認識しつつ、オウカの背後から接近するボサボサ頭の男。

オウカの右脚は、前蹴りの体勢のまま、空中にある。

――背後から、オウカの背中へと刺突が繰り出される!

 

-ヒュアッ-

男は……目を疑った。

この少女へ背後から放った、右手に握った太極剣での刺突。

仮に、察知できたとしても、片脚が宙に浮いたままの身体の自由を欠く体勢……。

避ける事は、敵わぬ。

我が太極剣の切っ先は、少女の背中を抉る!

 

――!?

まるで蜃気楼の様に、少女の背中を通り抜けた――?

――そう思った瞬間、その姿は視界から消えた。

ゾッ、とした。

背筋が凍った。

どこだ?どこにいる!?

……右斜め後ろ……背面に……誰かがいる……こっちを見ている……。

――ヤバい!

 

迎撃すべく振り返ろうとした瞬間、右手に握っているはずの太極剣が……やけに軽いことに気付く。

不可解。

ボサボサ頭の男の視界に、奇妙な物体が飛び込んでくる。

空中に浮いた太極剣――その柄を握ったままの……手首?

なんで俺の太極剣と 誰かの手首が、あんなところに浮いてんだ?

俺がこの右手で、今現在も しっかり握って――

 

ちらっ、と視線を落とすと、右手首から――血が噴き出していた。

右手首から先が、消失していた。

「……え……あ、があぁぁぁ……!?」

斬られたのか――?

事態を理解すると同時に、右手首から発せられる激痛。

 

同時に、背中に衝撃が走った。

オウカの左拳が、男の背面――肝臓部分へと叩き込まれていた。

男は、数メートルたっぷり前方へと飛ばされ……うつ伏せに倒れた無精ヒゲの男の身体、の上に積み重なる様に、うつ伏せに 倒れた。

びくんびくん、と数回 痙攣した後、男は意識を失った。

 
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