6 / 425
一章 颯太アテネ
第六話
しおりを挟む
首が胴体から離れる。
血飛沫が宙を舞う。
人の意識は5秒間、首がとれてからあるらしい。
颯太の頬に液体が伝う。
涙だと認識できたのは、泣き声のようななにかが聞こえた気がしたから。
なんで泣いているの?
僕にはさっぱりわからないよ。
喜び?いや、あれは悲しみだ。
それじゃあ、まるで………
好きな人を殺してしまったかのようじゃあない
か………
僕の意識は緩やかに消えていく。
まぁ、これでも僕の物語は多分終わらないけど。
僕を終わらせてくれるのは………
凪の首が飛んだ。
わかってたことだけど、何故か涙が止まらない。
止まってほしいのに。
いくら泣いたって、止まってくれない。
なんだかんだ言って、防がれると思ってたから。
これじゃあ、駄目だよ……
これからの僕は独りだ。
心の支えにしてた部分もあったし。
だから、泣いてるの?
それとも、嬉しくて?
自分の強さが証明出来たから?
……多分どれも違う気がした。
胸が、苦しい。
やっぱり、恋をしてたのかもしれない。
最初の結論が正しくて。
周りの意見なんてどうでも良くて、この人はどうしたら笑ってくれるのかって。
そんな事を考えた時だってあったし。
そういうものなのかな……
どこが好きとかじゃなく、この人を幸せにしたいって思えた事。
それが恋なのかもしれない。
凪の体を見る。
すると、
「え?」
黒いもやが体を包み込み、なにかが起こっている。
「待って……体すら残らず消えてしまうんですか?」
頭のなかに女の声が響く。
「あはは、まーた死んじゃったのかぁ。あのこのこと気に入っちゃった?」
「別に……違うけど。というかさぁ、君、だれ?」
「え?私の事忘れちゃったの……チッ、あの野郎、私の大切で大事な凪奪っといてしかも、記憶まで消しやがるなんて………」
目の前のおんなは僕によく似ていた。
違うのは髪の長さのみ。
「まーあ、今のところはいいわ。とりあえず凪はね、颯太の手により死んでしまいました。」
「まぁ、それは知ってるけど。」
「なら、話は早いね。まぁ、あなたはいつも通り生き返るのよ。」
そうだろうなぁ、なんて思った。
今までこういったことは無かった訳だけれども、生き返ってきたわけだし。
想像出来たことだ。
「僕のお願いは叶わないって訳か………」
「凪の願い事って?」
「んーっとね、死ぬことだよ。」
「ふーんって、えぇぇぇぇえ!」
すごい驚くなぁ………
「いや、だってこれまでやなことばっかだったしさ、いい加減飽きちゃったの。」
「まだ数年ぽっちしか生きてない若造の癖に?」
「……若造で悪かったね。」
確かにまだ数年ぽっちしか生きてないけどさ。
それに、5年分くらいの記憶だってないわけだし。
けどさ、何故かわからないけど、憎しみとか、そういった感情ばっかが常にあるんだ。
王族との戦いの時も、急に爆発してたし。
あとからどうにか逃走できる程度の理性が残ってくれたから良かったけど、一歩間違えてたらあの場にいた全員を皆殺しにしてた。
これ以上生きてたって、きっとだれかを傷つける。
なら、早めに消えてしまった方が良いじゃないか。
そう思って、何回も試してみたけど全部失敗しちゃって。
そんな時に現れてくれたから。
「………はぁ……あのねぇ凪?そう簡単に死のうなんて思っちゃ駄目だよ?これからきっと良いことあると思うし。」
「ただの気休めでしょ?」
「あぁもう!あいつとの約束はいいの!?」
「あいつって誰なんだよ!」
少し考える素振りをしてからそいつは言う。
「名前はしゃくだから教えてあげないけど、凪のためだけにほんとーに特別に、記憶の一部だけ見せてあげる。」
そういうと、光を生み出した。
森のなか。
幼い僕が、見知らぬ誰かと一緒にいる。
「わぁーっ、綺麗だねぇ。」
光が宙を舞っている。
「綺麗でしょ?僕もそう思ったから凪に見せてあげよーって思ったの!」
笑いながら僕の手を取る。
「僕には凪の呪いが効かないんだからさ、もう泣かないでよ。ね?他のどんなやつが凪を馬鹿にしたって僕が全員蹴散らしてあげる!」
笑いながら、けど、目は全然笑ってなくて。
確か、僕は大切な人がみんな死んでしまうんだって泣いてたところを見つかったんだっけ。
あぁ、名前は思い出せないけど、僕はこの言葉に救われたんだよ。
まるで王子様みたいで。
僕を、呪いから救いに来てくれたかのような。
顔にもやがかかっている。
なんで忘れてたんだろう。
「こいつにまた会いたいのなら、15歳まで生きることよ!そしたらきっと出てくるから!」
そんな声が聞こえた気がした。
血飛沫が宙を舞う。
人の意識は5秒間、首がとれてからあるらしい。
颯太の頬に液体が伝う。
涙だと認識できたのは、泣き声のようななにかが聞こえた気がしたから。
なんで泣いているの?
僕にはさっぱりわからないよ。
喜び?いや、あれは悲しみだ。
それじゃあ、まるで………
好きな人を殺してしまったかのようじゃあない
か………
僕の意識は緩やかに消えていく。
まぁ、これでも僕の物語は多分終わらないけど。
僕を終わらせてくれるのは………
凪の首が飛んだ。
わかってたことだけど、何故か涙が止まらない。
止まってほしいのに。
いくら泣いたって、止まってくれない。
なんだかんだ言って、防がれると思ってたから。
これじゃあ、駄目だよ……
これからの僕は独りだ。
心の支えにしてた部分もあったし。
だから、泣いてるの?
それとも、嬉しくて?
自分の強さが証明出来たから?
……多分どれも違う気がした。
胸が、苦しい。
やっぱり、恋をしてたのかもしれない。
最初の結論が正しくて。
周りの意見なんてどうでも良くて、この人はどうしたら笑ってくれるのかって。
そんな事を考えた時だってあったし。
そういうものなのかな……
どこが好きとかじゃなく、この人を幸せにしたいって思えた事。
それが恋なのかもしれない。
凪の体を見る。
すると、
「え?」
黒いもやが体を包み込み、なにかが起こっている。
「待って……体すら残らず消えてしまうんですか?」
頭のなかに女の声が響く。
「あはは、まーた死んじゃったのかぁ。あのこのこと気に入っちゃった?」
「別に……違うけど。というかさぁ、君、だれ?」
「え?私の事忘れちゃったの……チッ、あの野郎、私の大切で大事な凪奪っといてしかも、記憶まで消しやがるなんて………」
目の前のおんなは僕によく似ていた。
違うのは髪の長さのみ。
「まーあ、今のところはいいわ。とりあえず凪はね、颯太の手により死んでしまいました。」
「まぁ、それは知ってるけど。」
「なら、話は早いね。まぁ、あなたはいつも通り生き返るのよ。」
そうだろうなぁ、なんて思った。
今までこういったことは無かった訳だけれども、生き返ってきたわけだし。
想像出来たことだ。
「僕のお願いは叶わないって訳か………」
「凪の願い事って?」
「んーっとね、死ぬことだよ。」
「ふーんって、えぇぇぇぇえ!」
すごい驚くなぁ………
「いや、だってこれまでやなことばっかだったしさ、いい加減飽きちゃったの。」
「まだ数年ぽっちしか生きてない若造の癖に?」
「……若造で悪かったね。」
確かにまだ数年ぽっちしか生きてないけどさ。
それに、5年分くらいの記憶だってないわけだし。
けどさ、何故かわからないけど、憎しみとか、そういった感情ばっかが常にあるんだ。
王族との戦いの時も、急に爆発してたし。
あとからどうにか逃走できる程度の理性が残ってくれたから良かったけど、一歩間違えてたらあの場にいた全員を皆殺しにしてた。
これ以上生きてたって、きっとだれかを傷つける。
なら、早めに消えてしまった方が良いじゃないか。
そう思って、何回も試してみたけど全部失敗しちゃって。
そんな時に現れてくれたから。
「………はぁ……あのねぇ凪?そう簡単に死のうなんて思っちゃ駄目だよ?これからきっと良いことあると思うし。」
「ただの気休めでしょ?」
「あぁもう!あいつとの約束はいいの!?」
「あいつって誰なんだよ!」
少し考える素振りをしてからそいつは言う。
「名前はしゃくだから教えてあげないけど、凪のためだけにほんとーに特別に、記憶の一部だけ見せてあげる。」
そういうと、光を生み出した。
森のなか。
幼い僕が、見知らぬ誰かと一緒にいる。
「わぁーっ、綺麗だねぇ。」
光が宙を舞っている。
「綺麗でしょ?僕もそう思ったから凪に見せてあげよーって思ったの!」
笑いながら僕の手を取る。
「僕には凪の呪いが効かないんだからさ、もう泣かないでよ。ね?他のどんなやつが凪を馬鹿にしたって僕が全員蹴散らしてあげる!」
笑いながら、けど、目は全然笑ってなくて。
確か、僕は大切な人がみんな死んでしまうんだって泣いてたところを見つかったんだっけ。
あぁ、名前は思い出せないけど、僕はこの言葉に救われたんだよ。
まるで王子様みたいで。
僕を、呪いから救いに来てくれたかのような。
顔にもやがかかっている。
なんで忘れてたんだろう。
「こいつにまた会いたいのなら、15歳まで生きることよ!そしたらきっと出てくるから!」
そんな声が聞こえた気がした。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—
水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。
幼い日、高校、そして大学。
高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。
運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」
学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。
生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。
静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。
しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。
「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」
玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。
それから十年後。
静は玲に復讐するために近づくが…
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む
木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。
その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。
燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。
眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。
それが妹の名だと知っても、離れられなかった。
「殿下が幸せなら、それでいい」
そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。
赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎月影 / 木風 雪乃
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる