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三章 雫ポイズン
ウツボ:ラブ科
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呪い持ちなのだろう。
それも強力な。
「だから人魚の国から追い出された。…、同じ人魚と思えないから。私と双子の兄妹なのに」
双子。
その単語を聞いた時、奏多の事を思い出した。
元気にしているかな。
いや、あいつはいつだって元気か。
ただの戦闘狂で、ただの馬鹿。
「でもさ、雫と君って似てないね。双子のはずなのに、まるで別人だ」
「…、雫は海の悪魔に呪われたから。だから別人なの。あの子の体の半分は悪魔で出来ている。悪魔の好物は毒だから、毎日毒を摂取するのよ。…、一日でも忘れたら、その度に侵食されてしまうから」
悪魔につかれた人魚だなんて珍しい。
悪魔は何かにつくなんてしない。
とりつくなんて事をするのは人間だけだ。
人間の魂は生に貪欲だ。
それは苦しめられ、痛めつけられて死んだ者ほど強い。
でも、そんな魂は現在では探す事が難しいだろう。
だって今では人はそういう行為は魔物にするようになったから。
魔物は、基本不殺の精神を貫いていたが、命の危機に迫った時だけ人の命を奪った。
決まったように一撃で。
人の魂ほど怖い物は無いからだ。
その後、魂を浄化し、暴れることがないようにしていた。
だから雫についているのは相当昔の物だ。
毒という事は、毒に関係した魂だったのかもしれない。
「とりあえず、雫の部屋に案内するから、雫の代わりに金を作ってくれないかしら」
普段なら、断るけれど、今回は引き受けた。
きっと、僕と入れ替わっているのは雫だ。
とにかく彼について詳しく知らない事には対抗策が浮かばない。
だから雫の部屋に案内してもらった。
彼の部屋は、いや、家はサンゴ礁で出来ていた。
中には本がギッシリと詰まっていて、ノートが机上に開いたまま置いてあった。
「金が出来たら、そこのパイプの中に入れて。送ってくれるから」
それだけ言い残すと、人魚は泳いで去っていった。
名前を聞き忘れたなと思ったが、僕も名乗っていないからお互い様だと思った。
本棚に詰まっている本は、魔法についてばかりだった。
部屋にもわずかに魔力の残り香が残っていた。
瓶が並んでいる棚にはどす黒く透き通った液体がそれぞれの瓶に詰まって輝いていた。
蓋を開け、嗅いでみると、刺激臭がして吐き気がした。
これは毒だ。
それもかなり濃度の高い。
どんな生物でも、一口含んだ瞬間に死に至るレベルの毒だ。
それも強力な。
「だから人魚の国から追い出された。…、同じ人魚と思えないから。私と双子の兄妹なのに」
双子。
その単語を聞いた時、奏多の事を思い出した。
元気にしているかな。
いや、あいつはいつだって元気か。
ただの戦闘狂で、ただの馬鹿。
「でもさ、雫と君って似てないね。双子のはずなのに、まるで別人だ」
「…、雫は海の悪魔に呪われたから。だから別人なの。あの子の体の半分は悪魔で出来ている。悪魔の好物は毒だから、毎日毒を摂取するのよ。…、一日でも忘れたら、その度に侵食されてしまうから」
悪魔につかれた人魚だなんて珍しい。
悪魔は何かにつくなんてしない。
とりつくなんて事をするのは人間だけだ。
人間の魂は生に貪欲だ。
それは苦しめられ、痛めつけられて死んだ者ほど強い。
でも、そんな魂は現在では探す事が難しいだろう。
だって今では人はそういう行為は魔物にするようになったから。
魔物は、基本不殺の精神を貫いていたが、命の危機に迫った時だけ人の命を奪った。
決まったように一撃で。
人の魂ほど怖い物は無いからだ。
その後、魂を浄化し、暴れることがないようにしていた。
だから雫についているのは相当昔の物だ。
毒という事は、毒に関係した魂だったのかもしれない。
「とりあえず、雫の部屋に案内するから、雫の代わりに金を作ってくれないかしら」
普段なら、断るけれど、今回は引き受けた。
きっと、僕と入れ替わっているのは雫だ。
とにかく彼について詳しく知らない事には対抗策が浮かばない。
だから雫の部屋に案内してもらった。
彼の部屋は、いや、家はサンゴ礁で出来ていた。
中には本がギッシリと詰まっていて、ノートが机上に開いたまま置いてあった。
「金が出来たら、そこのパイプの中に入れて。送ってくれるから」
それだけ言い残すと、人魚は泳いで去っていった。
名前を聞き忘れたなと思ったが、僕も名乗っていないからお互い様だと思った。
本棚に詰まっている本は、魔法についてばかりだった。
部屋にもわずかに魔力の残り香が残っていた。
瓶が並んでいる棚にはどす黒く透き通った液体がそれぞれの瓶に詰まって輝いていた。
蓋を開け、嗅いでみると、刺激臭がして吐き気がした。
これは毒だ。
それもかなり濃度の高い。
どんな生物でも、一口含んだ瞬間に死に至るレベルの毒だ。
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