どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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三章 雫ポイズン

処刑器具

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保管しているのは飲むためなのだろう。口に
含んで、『海の悪魔』へと与えるためなのだろう。
でもきっと飲む本人も苦しくなる行為だと思った。
少しだけ、同情してしまった。
ノートには金の作り方が書いてあった。
「金を抽出する時は、大きな器に内側に膜を張り、中を海水で満たす事。そして金を魔力で抽出し、固体へ変えてから、余った液体と分離させる。液体は、有害な物と無害な物に分離すること。有害な物は瓶に詰めて、無害な物は海へ戻す」
手順通りに行うと、少しずつ金が大きくなり、比例するように毒が量産された。
その一つ一つを棚に詰める。
ふと、棚を見ると瓶が五本ほど消えた。
きっと魔法で取り出したのだろう。
ある程度大きくなった金はパイプに落とす。
その作業を繰り返しながら、思考をまとめる事にした。

あの人魚は恐らく王族だ。
身なりは整っていたし、金を要求する、という物が、人魚の国が最近金の世界有数の出荷国となった事と関連している。
そうなると雫は王族だ。
しかし、家族からは疎まれているようだった。
同じ家には住めない。
きっとこの家は手作りなのだろう。
所々、修理の跡や、作り方などが書かれた本があった。
他にも、雫は海の魔物狩りもしているようだった。
そういう物を見ると、雫は家族から家族ではなく奴隷として扱われているように感じた。
雫の部屋の本の中から、魔族の国の本が出てきた。
そこには、はるか昔に起こった事について軽く記されていた。
有名な話だ。
魔族であれば誰でも知っている話。
「もしもこの人間の世界にあったオリジナルの処刑道具が、僕ら人魚のところにもあったのだとしたら、どんな物なのだろう?」
と書かれていた。
それを見て、ある事を思い出した。
人魚と魔族のゆいいつの共通点。
それは二つとも卵から生まれるという物。
もし、昔魔族で行われていた実験が、人魚に応用されていたとしたら。
通信魔法で颯太に電話をかける。
「もしもし…ってなんでお前そんなところにいるんですかっ!?今学園にいるはずじゃ…」
「それどころじゃない。おい、颯太。今すぐ人魚の国に与えた処刑道具を調べろ」
「なんでお前の言う事を聞かなくちゃ…」
「…、お前の大好きな先輩に関係している事だよ」
そう言った瞬間に血相を変えて調べ始めた。五分ほどして戻ってきて、調べた結果を教えてくれた。
「本当、人使い荒いですね…。人魚の国へ渡したオリジナルの処刑道具、ありましたよ。立った一つですけど…」
その名は蛇責め。
別名『薔薇の牢獄』です。
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