どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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三章 雫ポイズン

残酷な歴史

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昔々、人の国では処刑道具の研究が盛んだった。
その内の一つが蛇責め。
箱の中に蛇を敷き詰めて、中の人間を喰らわせる方法が取られた。
この道具に魂を込めたオリジナルが存在する。
オリジナルはその体に無限に等しい毒蛇を飼っている。
中に入った者を誰彼構わず食して自身の糧にしてしまうのだ。
まるで肉体を持っているのを恨むように骨一つ残さず喰らうらしい。
この箱が人魚の国へ送られた由縁はひとえに戦力増強のためらしい。
魔物の中には海を渡って来る種もいたようで。
それらを確実に仕留めるために使われていた。
一方、魔族は武具を体内へ埋め込む実験が行われていた。
子供は卵から生まれてくる。
この卵に溶かしたオリジナルを埋め込むという実験。
道具事態に魂が入っているから、いくら溶かしても壊れない。
後は子供が上手く取り込む事を願うだけ。
しかし、この実験は実行されなかった。
あくまで机上の空論として処理された。
人道に反するからだ。
こうした理由で企画書も処分されたはずなのに。
もし、この予想が合っているとすれば、魔力が高いのも納得だ。
魂は喰らえば喰らうほど凶悪で、狂暴となる。
同時に魔力も高まり、残虐性も高まるのだ。
この様にして作られた数々の道具は、今は制御不能となり、使用した者まで喰らおうとするため、今は封印されている。
しかし、僕の予想通りなら、雫は。
(いや、考えるのはよそう。検証してからだ)
丁度良くやって来た人魚に言う。
「ねぇ、君の名前教えて。ついでに城案内して」
「絵美だけど…。はいはい、つれていくわよ。お父様お母様へ見せなくちゃいけないから」
絵美とともに城へと向かっていった。

感想を一言で表すと、成金貴族の城だった。
どこもかしこも金で塗られていて、いかにも財力なんていくらでもあると言いた気な城の中もやはりというもので。
王族の正装を見てゲンナリした。
まだメイサイの方がマシである。
(さて、と。早速検証していきますか。上限5%から20%へ開放、完了。次にこの場にいる全員に操人形発動、完了)
「今すぐ処刑道具のある場所まで案内しろ」
虚ろな目でその場にいる全員が動き出す。
当然だ。
こいつらの脳を今、僕が操っているのだから。
僕の命令を確実に実行するようになっている。
ちなみに、この魔法は相手の尊厳を傷つけるような行為はできない。
だからこの魔法を使ってあんな事やこんな事…、なんて事はできないのだ。
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