どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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三章 雫ポイズン

同情

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「いや別にしようとなんて思ってないし!?まったく失礼だなぁ」
頭の中に浮かんだ妄想に対して声を出しながら否定した。
案内してもらった部屋は、あまり明かりがなく、全体的に暗い部屋だった。
その部屋の中心に金属で出来た箱が一つ。
蛇責めは、まるで箱が大切だと言いたげに置いてあった。
けれど、大切なのは箱じゃない。
中身だ。
蟲毒というものを知っているだろうか。
空腹状態の毒を持つ虫や蛇を一つの入れ物に入れ、中で共喰いをさせて一番強い物を作るというもの。
この蛇責めでも時々行われていた。
魂を受肉させた蛇はその度に毒を喰らい、自身の毒の強化と、自身の補強を行っていた。
箱を開ける。
中は空だった。
何も入っていない。
そう、本来ここにいるはずの凶悪な神蛇も。
「この中に入っていた蛇をどこにやったの?」
「絵美と共に生まれるはずだった子の卵に溶かしていれた。魂は受肉したが意識はあの子がもったまま。早く取り込まれれば良いのに、未だに共存している」
やっぱりか。
ウツボのような人魚…。
元々別の呪いにまとわりつかれておくはずだった魂に、無理矢理別の魂を融合させたのか。
処刑道具が肉体を持てば高い殺傷能力を持つことが出来る。
元の魂が取り込まれた場合、それは処刑道具と化し、主の意のままに力をふるう。
しかし、元の魂が処刑道具を完全屈服させた場合は、その力を自由に扱う事ができる。
そう。
いわゆるハイリスク・ハイリターンなのだ。
「まったく…、我ら人魚の国が世界を支配するために産み出したのに。このままではメイサイ王国との戦争に負けてしまう。早くあの失敗作を呼び戻さなくては」
メイサイ王国との戦争。
何を考えているんだこの人魚は。
メイサイ王国は颯太と美空の存在で、かなり戦力を増している。
更に今は奏多が滞在している。
どうやったって勝てるはずがないのに。
「最悪失敗作単騎で戦場に投下し、あいつを暴走させて蛇責めを目覚めさせればいい。毒を撒き散らせばメイサイも無傷ですまないだろう」
命を何だと思っているんだろう。
一番最初にそう思った。
どうでも良いと思ってる。
これじゃあ、雫は救われない。
「…、そうかそうか。分かったよ。じゃあ僕、雫の所へ行くから」
救われないとは思うけど、凪の隣は僕のものだ。
だから最初にそれを返してもらう。
その後、事情を話して学園でかくまう。
美空を動かせばどうとでもなるし、人魚の国が仮に攻めてきたら、奏多が蹴散らせば良い。
その為にあいつはいるようなものなのだから。
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