どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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三章 雫ポイズン

毒を飲む

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薄れていった。
それが怖くて、眠りたくないと思ったけれど、この肉体は浅ましく睡眠を貪ろうとする。
そんな睡眠ばかりをとってどうするのだと叫んだところで無駄なだけだ。
次第に、私の脳裏に残るのはあの美しい白い鱗のみとなった。
それだけが私の脳裏に焼き付いて離れなかった。
 
そんな日々もいくつ過ぎ去り、何度季節を見送った後だろうか。
人が私に毒を与えた。
それも強力な毒だ。
最初、私は飲み込んだ物が毒だなんて認識できなかった。
ただいつも通り明かりが見えたから、また何か放り込まれたのかと口を開けただけなのだから。
ドバドバと流し込まれる液体。
舌へぴりつくような感触を感じて慌てて口を閉じたが、もう遅かった。
喉を流れるその刺激に耐え切れずに、全身でのたうちまわった。
いくらのたうちまわったところで痛みは一切消えてくれやしない。
喉を焼いて、臓器を蝕むその毒に、私は対抗するすべをまだ持っていなかった。
苦しむほか出来る事なんて全く無くて。
どうやら、人は私を処分したかったらしい。
しかし、私は死ななかった。
浅ましくもこの体は死を拒んだ。
生き残った。
もうぐちゃぐちゃの体で、生きたいと願ってしまった。
毒が体をいくら蝕んでも、私の体は適応して、それすらも自らの糧にしてしまう。
その様子を見ていた人間の顔が恐怖でゆがんだ。
苦しみの末に見た自身の鱗は美しく白く輝いていた。
あの日自分が見た美しい鱗になったように見えたのだ。
もうその持ち主の事は思い出せないくせに。
懐かしいものに会えた喜びで、頬に気持ち悪い液体が伝う。
私は歓喜した。
ずっと求めていたものが目の前にあるのだから。
これで私は満たされると思った。
長きにわたる空虚な感じもやっと終わると思った。
しかし、その喜びも長続きしなかった。
時が経つに連れて、自身の鱗の輝きが失われてきたのだ。
まるで風化していくように。
それを見た私はひどく悲しんだ。
己の身を引き裂かれたような痛みを感じた。
与えられた宝物を盗られたような気分だった。
もう一度毒を飲めば、鱗の輝きは戻るのだろうか?
そう考えた私は次から次へと人間を飲み込んだ。
喰らえば喰らう程私の力は増すばかりだ。
それを脅威とみなした人間は私に毒を盛る。
その繰り返し。
本来なら負の連鎖のはずのそれは、今や幸福の連鎖になっていた。
意味の逆転。
完全に狂ってしまった己の脳はまるでドラック中毒者のようでいかれきっている!!
最初は飲み込むことすら困難だった。
 
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