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二章 美空ミカエル
王子様
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少しずつ飲まれていく足。
すると、突然何かの声が聞こえた。
獣が吠えるような、そんな声。
猛獣が、餌を見つけたことを知らせる咆哮のようなそれ。
振り返ると魔物がいた。
牛のように頭から角をはやしている。
黒い体にボロキレが巻き付けられている。
赤い目がこちらを睨みつける。
牛のような顔は、牛だった。
まるでケンタウロスのような魔物がこちらを静かに見つめている。
こちらを見ながら息を荒々しく吐いている。
手に握っているナイフが光る。
あぁ、死ぬんだと思った。
直感的に感じ取ってしまった。
さっきまで死のうとしていたくせに、途端に怖くなって、泣きたくなって。
本当に哀れな生き物だなと思った。
さっきあんなに決意していたくせに、いざ目の前に迫ってきたらビビってしまうなんて。
救えない生き物だなんて思った。
生存本能なんてものが憎らしく思えた。
ナイフが近づいてくる。
死が迫ってくる。
あぁ、嫌だ。
体の震えが止まらない。
死にたくない、死にたくない、死にたくない。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない。
このまま静かに死んでいれば綺麗だったのに、俺は助けを求める声を出した。
「いや…、嫌だ…。助けて…」
弱弱しい助けを呼ぶ声。
風によってかき消されてしまうそうなほど。
それなのに、気づいてくれた。
俺に、気づいてくれて、凪先輩は助けに来てくれた。
あと、数センチまで近づいてきたナイフが突然弾け飛んだ。
風魔法を圧縮して弾丸のように飛ばしたんだろう。
俺は状況が理解できなくて、固まっていた。
カラン、と音を立てて転がっていく。
その後に続けて、バン、バン、と音がして、魔物は血を吹き出しながら死んだ。
何が起きたのか理解できなかった。
ただ、死なずに済んだという事だけが頭の中に浮かんだ。
途端に酸素が欲しくなって、息が荒れてしまった。
荒くなった呼吸を整えていると、
「大丈夫?けがは無い?…、よかったぁ」
焦ったように俺の事を見て、赤と青の瞳を持つその人はそう言って笑った。
「水の中にいると風邪引いちゃうよ?そんなところにいないでこっちおいで?乾かしてあげる。寒かったね」
そう言って救い上げてくれた。
その人の頭の上には数字が無くて。
それがすごく不思議で。
どうして数字が無いのか聞こうと思ったけど、聞けなくて。
それでも、この人はすごく安心感があったから。
俺は心を許していた。
ピンチのところを救ってもらったのもあるかもしれないけど。
俺の目には王子様に映った。
すると、突然何かの声が聞こえた。
獣が吠えるような、そんな声。
猛獣が、餌を見つけたことを知らせる咆哮のようなそれ。
振り返ると魔物がいた。
牛のように頭から角をはやしている。
黒い体にボロキレが巻き付けられている。
赤い目がこちらを睨みつける。
牛のような顔は、牛だった。
まるでケンタウロスのような魔物がこちらを静かに見つめている。
こちらを見ながら息を荒々しく吐いている。
手に握っているナイフが光る。
あぁ、死ぬんだと思った。
直感的に感じ取ってしまった。
さっきまで死のうとしていたくせに、途端に怖くなって、泣きたくなって。
本当に哀れな生き物だなと思った。
さっきあんなに決意していたくせに、いざ目の前に迫ってきたらビビってしまうなんて。
救えない生き物だなんて思った。
生存本能なんてものが憎らしく思えた。
ナイフが近づいてくる。
死が迫ってくる。
あぁ、嫌だ。
体の震えが止まらない。
死にたくない、死にたくない、死にたくない。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない。
このまま静かに死んでいれば綺麗だったのに、俺は助けを求める声を出した。
「いや…、嫌だ…。助けて…」
弱弱しい助けを呼ぶ声。
風によってかき消されてしまうそうなほど。
それなのに、気づいてくれた。
俺に、気づいてくれて、凪先輩は助けに来てくれた。
あと、数センチまで近づいてきたナイフが突然弾け飛んだ。
風魔法を圧縮して弾丸のように飛ばしたんだろう。
俺は状況が理解できなくて、固まっていた。
カラン、と音を立てて転がっていく。
その後に続けて、バン、バン、と音がして、魔物は血を吹き出しながら死んだ。
何が起きたのか理解できなかった。
ただ、死なずに済んだという事だけが頭の中に浮かんだ。
途端に酸素が欲しくなって、息が荒れてしまった。
荒くなった呼吸を整えていると、
「大丈夫?けがは無い?…、よかったぁ」
焦ったように俺の事を見て、赤と青の瞳を持つその人はそう言って笑った。
「水の中にいると風邪引いちゃうよ?そんなところにいないでこっちおいで?乾かしてあげる。寒かったね」
そう言って救い上げてくれた。
その人の頭の上には数字が無くて。
それがすごく不思議で。
どうして数字が無いのか聞こうと思ったけど、聞けなくて。
それでも、この人はすごく安心感があったから。
俺は心を許していた。
ピンチのところを救ってもらったのもあるかもしれないけど。
俺の目には王子様に映った。
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