110 / 425
二章 美空ミカエル
理想と現実の狭間
しおりを挟む
「良いじゃん。颯太。それに、颯太はアテネになるんでしょ?」
いつの間にか手にしていた剣で、先輩を斬った。
先輩はそんな人じゃない。
違う。
僕にアテネになるんでしょなんて言わないの。
「酷いなぁ、颯太。僕を切るなんて。そんなに僕のこと嫌い?」
そう言って先輩の体が痙攣する。
嫌いなわけがない。
大好きだよ。
大好きだから違いに気づいちゃったんだよ。
「先輩は僕にアテネになることを強制しません」
そう言うと、目の前にいる偽物が笑う。
「嘘つき」
あはは、なんて言って僕の事を見つめる。
「本当は、そう言って欲しいくせに。だってその方が楽でしょ?言い訳できて」
脳のねじがおかしくなっていく気がする。
ギリギリと、何かが狂っていく。
「そんなこと思ってません!僕は...僕は...!!」
「言葉では幾らでも取り繕えるよね」
そう言う先輩を剣で切り裂く。
これは偽物だ。
本物はこんなこと思ってない。
「本物って何だろうね。そう言う意味じゃ君も偽物のくせに」
偽物の声が頭に響く。
黙れよ。
「本物か。その本物も同じこと思ってたらどうする?偽物の颯太よりも本物のアテネと一緒にいたい、とか」
目の前に、先輩の死体に群がる人達が出現する。
その容姿がどこか僕に似ているような気がして、吐き気がしてきた。
やめろよ。
僕はそんなに汚くない。
そんなみっともなく先輩を求めてなんかいない。
「君はこいつらと同類だよ。醜く先輩を求めてる。そんなのに意味ってある?好かれるの?」
「うるさい!黙れよ!僕はそんなんじゃない!!こいつらとは違うんだ!」
それをただ、作業のように切り捨てる。
切り捨てて否定する。
そうでもしないと壊れてしまいそうだった。
気が狂っておかしくなってしまいそうだった。
本当は。
「本当は本心を見てみぬふりしたいだけの癖に」
そうだよ。
僕は、そんなの否定したいんだよ。
そんなことないって言いたいんだよ。
でも、それが正しいんだ。
どんな形でも先輩を求めてる。
きっと、どこまでも醜くなっても、どこまでも汚れても。
それでも先輩を求めているんだ。
気がつけば、何にも感じなくなった。
本心を認めてしまえば、何もかも楽になった。
いつの間にか手にしていた剣で、先輩を斬った。
先輩はそんな人じゃない。
違う。
僕にアテネになるんでしょなんて言わないの。
「酷いなぁ、颯太。僕を切るなんて。そんなに僕のこと嫌い?」
そう言って先輩の体が痙攣する。
嫌いなわけがない。
大好きだよ。
大好きだから違いに気づいちゃったんだよ。
「先輩は僕にアテネになることを強制しません」
そう言うと、目の前にいる偽物が笑う。
「嘘つき」
あはは、なんて言って僕の事を見つめる。
「本当は、そう言って欲しいくせに。だってその方が楽でしょ?言い訳できて」
脳のねじがおかしくなっていく気がする。
ギリギリと、何かが狂っていく。
「そんなこと思ってません!僕は...僕は...!!」
「言葉では幾らでも取り繕えるよね」
そう言う先輩を剣で切り裂く。
これは偽物だ。
本物はこんなこと思ってない。
「本物って何だろうね。そう言う意味じゃ君も偽物のくせに」
偽物の声が頭に響く。
黙れよ。
「本物か。その本物も同じこと思ってたらどうする?偽物の颯太よりも本物のアテネと一緒にいたい、とか」
目の前に、先輩の死体に群がる人達が出現する。
その容姿がどこか僕に似ているような気がして、吐き気がしてきた。
やめろよ。
僕はそんなに汚くない。
そんなみっともなく先輩を求めてなんかいない。
「君はこいつらと同類だよ。醜く先輩を求めてる。そんなのに意味ってある?好かれるの?」
「うるさい!黙れよ!僕はそんなんじゃない!!こいつらとは違うんだ!」
それをただ、作業のように切り捨てる。
切り捨てて否定する。
そうでもしないと壊れてしまいそうだった。
気が狂っておかしくなってしまいそうだった。
本当は。
「本当は本心を見てみぬふりしたいだけの癖に」
そうだよ。
僕は、そんなの否定したいんだよ。
そんなことないって言いたいんだよ。
でも、それが正しいんだ。
どんな形でも先輩を求めてる。
きっと、どこまでも醜くなっても、どこまでも汚れても。
それでも先輩を求めているんだ。
気がつけば、何にも感じなくなった。
本心を認めてしまえば、何もかも楽になった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—
水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。
幼い日、高校、そして大学。
高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。
運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」
学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。
生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。
静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。
しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。
「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」
玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。
それから十年後。
静は玲に復讐するために近づくが…
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む
木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。
その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。
燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。
眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。
それが妹の名だと知っても、離れられなかった。
「殿下が幸せなら、それでいい」
そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。
赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎月影 / 木風 雪乃
白い部屋で愛を囁いて
氷魚彰人
BL
幼馴染でありお腹の子の父親であるαの雪路に「赤ちゃんができた」と告げるが、不機嫌に「誰の子だ」と問われ、ショックのあまりもう一人の幼馴染の名前を出し嘘を吐いた葵だったが……。
シリアスな内容です。Hはないのでお求めの方、すみません。
※某BL小説投稿サイトのオメガバースコンテストにて入賞した作品です。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる