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二章 美空ミカエル
勇者、颯太
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そう言うと、彼はそうか、と言って、僕の手におさまった。
僕の手には美しい剣が握られていた。
白銀の刀身に、純金で飾られた柄。
エクスカリバーの力は、僕に異常な程相性が良くて。
勇者なんて生物は皆こんな気持ちなのかと思った。
それくらい体に馴染んだから。
何もかも手にしたような万能感。
そうは言っても、僕のように手にしてすぐ使えるようになる勇者なんていない。
じゃあ、こんな感情味わえないのか。
かわいそうだな、なんて他人事みたいに思った。
逆に言えば強者は常にこの感覚を体験しているわけだけど。
まぁ、良いや。
余計なことを考えるのだるくなってきた。
少し走ってみれば風のように。
視界に映る景色は倍速再生しているようかのように過ぎていく。
早送り、早送り人生。
共有できるはずのないこの感覚が気持ちよくて。
でも、先輩だけなら、きっと共有できるよね?
全能感が凄くて、笑みが溢れる。
これならきっとアテネに勝てる。
だってこんな凄い力持ってないもの。
こんなの人間の力じゃない、なんて僕の中の何かが叫ぶ。
でも、そんなの初めからじゃないか。
その癖何悲観してんだよ。
この世に生を受けた瞬間から。
呪われた時から。
僕はとっくに人間じゃない何かになっていたんだ。
そんなことを今更噛み締めてどうするの?
無意味な事はやめてしまえよ。
昔から化物と言われてきただろう?
今更何言ってるんだよ。
だからこんなに怯えていたのに。
他人と関わらないようにしてきたくせに。
はぁ、なんて溜め息を吐く。
僕は化物だ。
怪物だ。
それがどうした?
人を捨てたって構わない。
そもそも人外と争っているのに人でいる必要があるのかな、なんて考える。
うん、一切ないね。
そもそもさ。
「そんな必要ありませんよね。そもそもそんなルール存在しませんし」
そう言って扉を切る。
鍵がかかっていて邪魔だった。
それだけ。
正攻法で開けるより、切っちゃった方が早いじゃん。
ペロリ、と上唇を舌で舐めて、そうまとめる。
実際そうだもん。
それに、扉を切るときの感触が、奏多の剣を借りたときに似ていて。
少しだけ気分が上がった。
あぁ、嬉しいな。
強くなれたみたいで。
人々の表情だって、初めは敵意剥き出しだった癖に。
剣を見たらすぐに尊敬するような顔になって。
人間って本当に単純だ。
見かけだけに騙されて。
僕の手には美しい剣が握られていた。
白銀の刀身に、純金で飾られた柄。
エクスカリバーの力は、僕に異常な程相性が良くて。
勇者なんて生物は皆こんな気持ちなのかと思った。
それくらい体に馴染んだから。
何もかも手にしたような万能感。
そうは言っても、僕のように手にしてすぐ使えるようになる勇者なんていない。
じゃあ、こんな感情味わえないのか。
かわいそうだな、なんて他人事みたいに思った。
逆に言えば強者は常にこの感覚を体験しているわけだけど。
まぁ、良いや。
余計なことを考えるのだるくなってきた。
少し走ってみれば風のように。
視界に映る景色は倍速再生しているようかのように過ぎていく。
早送り、早送り人生。
共有できるはずのないこの感覚が気持ちよくて。
でも、先輩だけなら、きっと共有できるよね?
全能感が凄くて、笑みが溢れる。
これならきっとアテネに勝てる。
だってこんな凄い力持ってないもの。
こんなの人間の力じゃない、なんて僕の中の何かが叫ぶ。
でも、そんなの初めからじゃないか。
その癖何悲観してんだよ。
この世に生を受けた瞬間から。
呪われた時から。
僕はとっくに人間じゃない何かになっていたんだ。
そんなことを今更噛み締めてどうするの?
無意味な事はやめてしまえよ。
昔から化物と言われてきただろう?
今更何言ってるんだよ。
だからこんなに怯えていたのに。
他人と関わらないようにしてきたくせに。
はぁ、なんて溜め息を吐く。
僕は化物だ。
怪物だ。
それがどうした?
人を捨てたって構わない。
そもそも人外と争っているのに人でいる必要があるのかな、なんて考える。
うん、一切ないね。
そもそもさ。
「そんな必要ありませんよね。そもそもそんなルール存在しませんし」
そう言って扉を切る。
鍵がかかっていて邪魔だった。
それだけ。
正攻法で開けるより、切っちゃった方が早いじゃん。
ペロリ、と上唇を舌で舐めて、そうまとめる。
実際そうだもん。
それに、扉を切るときの感触が、奏多の剣を借りたときに似ていて。
少しだけ気分が上がった。
あぁ、嬉しいな。
強くなれたみたいで。
人々の表情だって、初めは敵意剥き出しだった癖に。
剣を見たらすぐに尊敬するような顔になって。
人間って本当に単純だ。
見かけだけに騙されて。
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