どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

第九話

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別に他の方法でも得る事は可能だ。
可能なんだけど。
「…、スリープ。ごめんね闇奈。お前には刺激が強かった。…、安らかに眠れ」
理久が闇奈を寝かせた。
俺はそっと黙祷をささげた。
安らかに眠れ、闇奈。
今はもう起きるな。
「雪、お前は血を吸うだけだよね?よ、余計な事しないよね…?」
「キスは起きてる時にしたい。欲を言えばキスしてって強請られたい」
「若干変態くさいけど、まぁよし」
首に舌を這わせる。
少し凪が声を上げる。
そこの部分だけテラテラと輝いた。
ここで唾液をきちんと分泌するかしないかでは痛みがかなり違う。
口を合わせて、牙を少しずつ埋め込んでいく。
柔らかな肌を固い牙で貫いていく。
まるでピアスで開けるみたいだと思った。
牙からは快楽物質が分泌されるから、一切痛みは感じない。
気持ち良くなるだけだ。
だから一時期俺らはドラック扱いされた。
牙が頸動脈まで到達すると、凪の血液が流れ込む。
甘味があって、酸味もある不思議な味を口に含めば含むほど、幸福感が増す。
脳みそに快楽物質が分泌されていくような気がする。
こうやって好きな人の血を吸う瞬間が幸せだ。
凪以外の血を吸いたくなくて、ずっと薬で我慢していた。
ずっと乾いていたんだ。
いま、乾きが静かに満たされていくような気がした。
こうやって直接吸うのは久しぶりだ。
もっと、もっとと体が求めているからか。
次から次へと欲求が溢れてくる。
細胞単位で混ざり合うこの感覚がたまりなくて。
止まれないよ。
きっと、今の僕の姿は赤子に等しい。
赤子が乳を求めるように、血を求めている。
狂ったように吸うことしかできない。
そんな僕はきっと過去に縋りつく弱虫なのだろう。
その通りだけども。
あは、なんて思った。
だって、縋らなきゃ生きられないじゃないか。
一人で生きていけるほど強くできていないんだ。
俺は結局弱いから。
強くなれなかったんだから。
力なんていくつ強くしても、心はいつまで経っても弱いままなんだよ。
言い訳ばっか並べ立てて、自分を守る。
「…、そろそろ帰る。俺がこいつ連れ帰るからさ、心配しなくていいよー」
「りょーかい。ね、凪の事諦めた?」
ニヤニヤしながら分かりきった事を聞く。
答えなんてわかってんでしょ。
そんなの、決まっている。
「諦める気ねーよ。ばーか」
そう言ってやれば、はぁいとだけ理久は返した。
にやついたその顔がいつまでたっても離れてくれなくて。
部屋に戻って、血を一気に飲んだ。
アルコールを大量摂取する大人のように。
過剰摂取したところで何一つ変わらない事なんて頭の隅で理解していながらも止める気なんてない。
やけ酒と似たようなものなんだ。
どうせ吐き出すのにね。
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