どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

第十話

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ただ何とも言えない、やり切れない気持ちを処理するように飲んでいる。
凪以外の血なんてただ不味いだけで、飲んでも胃から逆流することなんてわかっているのに。
ただヤケになってひたすら飲んで、飲んで、吐いて。
胃の中を空っぽにしながらストレス発散をする。
「勝利確定宣言とか本当うざい…。わかってる…、分かってるけどさ。改めて言う意味ある?」
気持ちなんて初めからわかっていた。
それなのにさ、改めて言うことある?
勝利宣言してくるなんてさ。
誰を愛しているかなんて最初から知っていた。
理解していたさ。
一番近くで見ていたら、理久の事が好きなんて、簡単に気付いてしまって。
その事実に気づいた瞬間、胸がどうしようもなく締め付けられてしまって。
初めはそれでも良かったのに。
ただ想うだけで満足していたのに。
欲望が膨らんでしまったんだ。
「ね、雪。僕達ずっと一緒にいようよ!!こんなに仲が良いんだからさ!」
そう言いながら俺の手を握って微笑む凪に。
あぁ、それでもいいや、なんて思ってしまって。
欲張ってしまったのだ。
仲良しこよしの温い関係。
どこまで行っても生産性なんて皆無なそんな関係。
ぬるま湯を低温で加熱しているような物よりも、もっと熱い関係を望んでしまっただけ。
変化を望んでしまったんだ。
あぁ、ばかみたい。
望みなんてしなければそのままでいられたかもしれないのに。
どうしようもなく苦しいこの思いを飼い殺す事もなかったのに。
他者の介入とはいえ、結局どちらも終わってざまぁないねというだけ。
阿保を煮込んで処理したような物語。
高みを望んだ吸血鬼はどちらも失い地べたを這いつくばった。
太陽に阻まれて灰と化した。
ただ、それだけ。
笑える話だ。
きっと昔なら遠くから見るだけで満足できたと言うのに。
年を重ねる度にどんどん僕は変わってしまったようで。
凪から許可を貰って血を飲んだ時の感覚が忘れられない。
今も脳みそに焼き付いて離れない。
まるでいけない事をするかのように、部屋に鍵をかけて。
二人で合わせて笑って。
貧血気味になるからと、ベッドの上に二人移動して。
互いの息が交差して。
上気した頬に手を当て、喉元に顔を埋める。
どく、どくと胸の音が聞こえる。
牙をゆっくりと、深く首に落とし、その時ビクリと反応するから、そっと背を撫でる。
大丈夫だよ、なんていうように。
それに凪はこくりと頷いて目をぎゅっと瞑るんだ。
濃密な時だった。
『食事』という名のついたその行為はどこか禁忌のような気がして。
それでいて、甘い。
そんな俺にとっての蜜が。
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