どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

第十三話

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そう思ってしまうほど、俺達の思いは重いものとなっていた。
だって悲しませたくないんだ。
涙が落ちるのが嫌なんだ。
「…、それでもいやや。僕は凪の笑う顔とか、あのころころ表情が変わるとこが好きなんや。だから廃人なんて…」
「そうかそうか。勝手に語ってなよ」
闇奈の意見なんてものも正直どうでも良かった。
闇奈はまだよく理解していないのだ。
一人の寂しさだとか、孤独だとか。
どうしても埋められない喪失感だとか。
「ま、仮に理久に協力した奴がいたとしても、俺らが勝てる訳ないし、意味ないよ。協力するってことはそいつも消したい記憶があったって事だし。てか記憶魔法使えるやつなんて存在するのかなぁ。なかなかいないと思うけど」
「…、初対面からリスタート。これまた嫌な事することなるんやな。最悪や」
窓に浮かぶ月を見ながら、闇奈は言った。
俺もおんなじ気持ちだよ。
そんなの嫌だよ。
だけど避けられないみたいでさ。
だから今はただひたすら耐えるしかないんだ。

さて、問題です。
まるでクイズ番組のような文言が頭の中に浮かぶ。
まぁ、実際クイズ番組のそれなんだけど。
朝起きたら理久が抱き着いていた。
むにゃむにゃ言いながらがっちりこっちをホールドしてくる。
若干痛いような、そんな気がする。
しっかり抱き枕にされてしまっている。
ここから出られない。
雫はなんかこっち見てる。
ドン引きしながら。
扉の前で固まっている。
けど、その手に枕が握られているのを確認できた。
そして、理久を羨ましそうに見つめている。
理久と雫のどちらを変態認定すべきなんだろう。
雫はまだ未遂だもんなぁ。
でも実行しようとしている時点で有罪なのか?
「二人とも変態で良いと思いますよ。久しぶりです凪先輩。元気にしていましたか?窓をちゃんと閉めているなんて偉いですね。さすがです。さすが俺の凪先輩」
「そこまでさも当然のように入ってくる美空も変態認定で良いかな?うん。ちゃんと閉めてたんだけどさぁ」
今日は美空がやって来る日。
この学園に入学してから初めて会う美空は、少し大人びていた。
生徒会に加入している生徒はそれぞれ特別な制服が贈られる。
美空は天使というあだ名も相まって、白の長袖のセーラー服を着ている。
リボンの部分は青。
金髪を後ろで結び、垂らしている。
「あ…、この制服初めて見せるんですけど…、似合ってますか、俺」
「すごい似合ってるよ」
そう言うと嬉しそうにほほを赤く染める。
その様子を見ていた雫があ、ずるいと言っていた。
今回美空がやってきたのは、トップクラスの権限を使ったから。
学園トップレベルの生徒は、実力を試しにここへやって来る事を許されているのだ。
学園本土で暴れられるより、離れにあるこの孤島で暴れられた方が楽という学園側の事情もあるのだろうけど。
ある生徒は、他人に教えられるかどうかで、再度自分の実力を確認しに。
もしくはこの孤島に眠るといわれている幻の剣を手に入れに。
この孤島にエクスカリバーが眠っているという噂がある。
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