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四章 雪闇ブラッド
第十五話
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理久をそっとどけて。
僕に抱き着いてくる。
「…、急にどうしたの?美空。ちょっとくすぐったいかも」
「寂しかったです。会えなかったから。学園に来たはずなのに、同じとこにいなくて。遠くにいて。すごく悲しくなって。もう会えないのかなとか嫌な事考えてしまって。…、今日から三週間よろしくお願いしますね」
そういって鼻先を擦りつけてきた。
本当に嬉しそうで。
全身を使って甘えるその様は、まるで動物の愛情表現のようだった。
そうすることでしか甘えることができなくて。
窓から白い何かがふわりとやってくる。
「あ、雪だ。今年初めての雪じゃない?きれいだね。雪を天使の羽なんて表現した人がいたみたいけど、その通りみたい」
「ほんとですね。あ…、冷たいです。…、俺、雪に触れたの初めてかも」
指先に乗った白い雪が体温に融けて、じわりじわりと水に成っていく。
形を失って液体と化していく。
ふわふわとしていたそれは、水滴へと様変わりした。
それが酷く残酷なものに思えてしまうのはなぜだろう。
変わることでしか、この世界で存在することを許されない、とでも言いたげな気がするのは。
「ん…、寒。誰、窓開けたのさ。閉めるよーって、雪好きなの?そんな見てさ。寒いだけなのにー」
それを見ていた理久がそう言って、魔法で何かを練る。
指先から白い何かが舞い上がる。
キラキラとした何かをまとって形造る。
それは二匹の雪うさぎだった。
白い雪に赤い実の瞳。
そして葉の耳。
どこか自信満々に見えた。
今すぐにでも走り出してしまいそう。
魔法で作られたそれは、とても完成度が高かった。
なぜかその時、頭が少し痛くなって、何か浮かび上がる。
「雪は冷たいね。まるで空から来たみたい」
「…、俺はそっちの雪じゃないもん。そっちだと消えちゃうじゃないか」
そんな会話が頭の中で再生された。
(何だ?今の記憶は…。聞き覚えがあるような、無いような)
懐かしいような気がするけど、そんな思い出あったかな。
それにあの子は、昨日転校してきた子に似ていたような。
黙りこんでしまった僕の顔を見ながら美空が言う。
「…?どうしたんですか?凪先輩。急に黙ってしまったようですが、何かありました?」
「何でもないよ。大丈夫」
美空にそう返したのは何となく。
そう返した方がいい気がしたから。
正直に返してまた溜め込んだらどうしようと思ったから。
いろんな考えが頭の中を舞う。
でも、仕方がないじゃないか。
美空は、僕に他の男との思い出を語られる事を嫌う。
だから出来る限り語らない。
そういう風にしたのは、ミカエルの一件から。
あの時、美空の心情をすべてぶちまけられた瞬間。
あの時から、僕は美空とどう接すれば良いのかわからなくなっている節がある。
傷つけたくないから避ける。
それは優しさとは違うような気がするけど。
美空は外に出さないから。
僕に抱き着いてくる。
「…、急にどうしたの?美空。ちょっとくすぐったいかも」
「寂しかったです。会えなかったから。学園に来たはずなのに、同じとこにいなくて。遠くにいて。すごく悲しくなって。もう会えないのかなとか嫌な事考えてしまって。…、今日から三週間よろしくお願いしますね」
そういって鼻先を擦りつけてきた。
本当に嬉しそうで。
全身を使って甘えるその様は、まるで動物の愛情表現のようだった。
そうすることでしか甘えることができなくて。
窓から白い何かがふわりとやってくる。
「あ、雪だ。今年初めての雪じゃない?きれいだね。雪を天使の羽なんて表現した人がいたみたいけど、その通りみたい」
「ほんとですね。あ…、冷たいです。…、俺、雪に触れたの初めてかも」
指先に乗った白い雪が体温に融けて、じわりじわりと水に成っていく。
形を失って液体と化していく。
ふわふわとしていたそれは、水滴へと様変わりした。
それが酷く残酷なものに思えてしまうのはなぜだろう。
変わることでしか、この世界で存在することを許されない、とでも言いたげな気がするのは。
「ん…、寒。誰、窓開けたのさ。閉めるよーって、雪好きなの?そんな見てさ。寒いだけなのにー」
それを見ていた理久がそう言って、魔法で何かを練る。
指先から白い何かが舞い上がる。
キラキラとした何かをまとって形造る。
それは二匹の雪うさぎだった。
白い雪に赤い実の瞳。
そして葉の耳。
どこか自信満々に見えた。
今すぐにでも走り出してしまいそう。
魔法で作られたそれは、とても完成度が高かった。
なぜかその時、頭が少し痛くなって、何か浮かび上がる。
「雪は冷たいね。まるで空から来たみたい」
「…、俺はそっちの雪じゃないもん。そっちだと消えちゃうじゃないか」
そんな会話が頭の中で再生された。
(何だ?今の記憶は…。聞き覚えがあるような、無いような)
懐かしいような気がするけど、そんな思い出あったかな。
それにあの子は、昨日転校してきた子に似ていたような。
黙りこんでしまった僕の顔を見ながら美空が言う。
「…?どうしたんですか?凪先輩。急に黙ってしまったようですが、何かありました?」
「何でもないよ。大丈夫」
美空にそう返したのは何となく。
そう返した方がいい気がしたから。
正直に返してまた溜め込んだらどうしようと思ったから。
いろんな考えが頭の中を舞う。
でも、仕方がないじゃないか。
美空は、僕に他の男との思い出を語られる事を嫌う。
だから出来る限り語らない。
そういう風にしたのは、ミカエルの一件から。
あの時、美空の心情をすべてぶちまけられた瞬間。
あの時から、僕は美空とどう接すれば良いのかわからなくなっている節がある。
傷つけたくないから避ける。
それは優しさとは違うような気がするけど。
美空は外に出さないから。
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