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四章 雪闇ブラッド
君を救うために嫌いな呪いを
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どうして血塗れなんだとか。
そう言う言葉は消えた。
自分と同じ黒い髪。
血に塗れたその子は、まるで。
地獄に落ちた堕天使のようだった。
それくらい美しかった。
そして、あらゆる吸血鬼を惑わすような匂いを放っていた。
まるで周囲を魅了する禁断の果実のような。
その血液に舌を這わせて味わってみたい。
でも、そんなことをしてはダメだ。
この場に僕ら以外の吸血鬼がいなくて良かった。
並の吸血鬼なら吸血衝動を抑えきれなくなるレベルだ。
理久は自身の体に手を当てる。
時計が出現し、秒針を巻き戻していく。
するとみるみるうちに体が治る。
これが理久の呪いの力。
相手から時を奪い、自身の時を巻き戻す。
理久にしか出来ない荒仕事。
しかし、もっと凄いのは天使だった。
腹に穴が空いているのに肉が再生している。
じゅくじゅくと音を立てて。
その様子に、吸血鬼と似たものを感じた。
けど、この子が吸血鬼では無いことはわかっていた。
と言うより、知っていた、が正しいだろうか。
この子は前魔王、イザベラの子。
呪いを持たない一般人のはずだけど。
ここに来る最中呪われでもしたのだろうか。
雪はその子の再生能力に驚いている。
お前だって似たようなもの持っているくせに。
ただ、苦しそうな顔をして、呻き声をあげているから。
初めての回復で、さらに、痛みが緩和されないのだろうと。
劣等生である僕も最初経験した痛みを思い出してしまったのだから。
魔が刺したのだ。
本来はこんな言い方するものでは無いと思うけど。
今は後悔しているから。
その時に手を伸ばさなけば、今こんな感情に駆られることがなかっただろうと。
おそらく凪は放っておいてもそのまま自力で再生した。
そうわかってしまうのだ。
そしたらきっと、僕らの接点だってもっと少なくなった。
こんなに愛しく思う前に離れられた。
だからと言って、あの頃に戻っても。
きっと僕は同じ事をするに違いないだろうけど。
なんとなく、そんな予感がしてしまうのだ。
傷口に触れる。
わずかに発光する。
少しでも痛みを和らげる為に。
僕に痛みの半分を流し込む。
いや、半分じゃあ、ダメか。
全部僕に移してしまおう。
少しずつ、僕の体に痛みを流し込んでいく。
天使の中の痛覚という痛覚を全て僕に。
まるで輸血するかのように。
すると、その子は少しずつ落ち着いた顔になっていった。
だんだん、寝息が穏やかになって、落ち着いて。
その代わりに僕は、想像を絶するような痛みに襲われたけど。
その場で喚き散らしてしまいたくなるような。
死にたくなるような。
そんな痛み。
そう言う言葉は消えた。
自分と同じ黒い髪。
血に塗れたその子は、まるで。
地獄に落ちた堕天使のようだった。
それくらい美しかった。
そして、あらゆる吸血鬼を惑わすような匂いを放っていた。
まるで周囲を魅了する禁断の果実のような。
その血液に舌を這わせて味わってみたい。
でも、そんなことをしてはダメだ。
この場に僕ら以外の吸血鬼がいなくて良かった。
並の吸血鬼なら吸血衝動を抑えきれなくなるレベルだ。
理久は自身の体に手を当てる。
時計が出現し、秒針を巻き戻していく。
するとみるみるうちに体が治る。
これが理久の呪いの力。
相手から時を奪い、自身の時を巻き戻す。
理久にしか出来ない荒仕事。
しかし、もっと凄いのは天使だった。
腹に穴が空いているのに肉が再生している。
じゅくじゅくと音を立てて。
その様子に、吸血鬼と似たものを感じた。
けど、この子が吸血鬼では無いことはわかっていた。
と言うより、知っていた、が正しいだろうか。
この子は前魔王、イザベラの子。
呪いを持たない一般人のはずだけど。
ここに来る最中呪われでもしたのだろうか。
雪はその子の再生能力に驚いている。
お前だって似たようなもの持っているくせに。
ただ、苦しそうな顔をして、呻き声をあげているから。
初めての回復で、さらに、痛みが緩和されないのだろうと。
劣等生である僕も最初経験した痛みを思い出してしまったのだから。
魔が刺したのだ。
本来はこんな言い方するものでは無いと思うけど。
今は後悔しているから。
その時に手を伸ばさなけば、今こんな感情に駆られることがなかっただろうと。
おそらく凪は放っておいてもそのまま自力で再生した。
そうわかってしまうのだ。
そしたらきっと、僕らの接点だってもっと少なくなった。
こんなに愛しく思う前に離れられた。
だからと言って、あの頃に戻っても。
きっと僕は同じ事をするに違いないだろうけど。
なんとなく、そんな予感がしてしまうのだ。
傷口に触れる。
わずかに発光する。
少しでも痛みを和らげる為に。
僕に痛みの半分を流し込む。
いや、半分じゃあ、ダメか。
全部僕に移してしまおう。
少しずつ、僕の体に痛みを流し込んでいく。
天使の中の痛覚という痛覚を全て僕に。
まるで輸血するかのように。
すると、その子は少しずつ落ち着いた顔になっていった。
だんだん、寝息が穏やかになって、落ち着いて。
その代わりに僕は、想像を絶するような痛みに襲われたけど。
その場で喚き散らしてしまいたくなるような。
死にたくなるような。
そんな痛み。
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