どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

目覚めた

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施術だといえばきっと理久も納得するだろう。
ゆっくり、少しずつ流し込む。
許容量を見極めるように。
点滴のスピードを早めたり、緩めたりするみたいに。
人間は脆い。
壊れやすい。
だから丁寧に扱う必要がある。
まるで宝物を扱うように。
そうやって世話をしている僕の姿を周りの魔族が見たらきっと。
腰抜けだとか馬鹿にされるだろう。
それぐらい奇妙で、おかしくて。
異端な姿なのだ。
それが何となく分かるから。
魔王城に住む、もしくは仕える者は大抵人間皆殺し派だ。
魔族こそが優秀という価値観を持つものばかりの城。
魔族の方が遥かに進んだ文明を持つからと生まれた驕り。
それが歳を食う程にどんどん大きくなっていって。
ごくごく、と補給用ゼリーを飲みながら思う。
もしも、この子を魔族が見たらどうするんだろう。
そんなの答えはわかり切っている。
殺すの一択だ。
殺せなければ処刑道具にでもするのかな。
ずっとずっと永遠に苦しませる。
魔族は人間に大きな恨みを持っているから。
その根本的にあるものはわからないけど。
とても根深いことがわかる。
もしも凪を見つけたのが、共存派であれば別だろうけど。
魔王城に属する魔族なら。
きっと、そんな目に合わせるんだろうな、と簡単に想像できる。
(でも、どうして理久はこの子を助けたんやろ。理久は人間を殺す事が一番だって。いつも言ってたのに)
理久にしては珍しい。
本当に。
気まぐれかな?
それとも。
思いついた可能性を否定する。
そんなの絶対にありえないから。
中立派は僕と奏多ぐらいで。
それくらい珍しい。
雪がどうしてそっちなのかはわからないけど。
雪の考えていることは僕にだってわからない。
軽薄で、明るくて、わかりやすそうなのに。
腹の中は一切わからない。
それが雪なのだ。
僕がなぜ中立なのかは。
争いがあまり好きではないからだ。
人と争う、なんて行為は互いを傷つけ合うし、何よりも多くの命が失われるから。
そういうのは見ていて心がいたむ。
でも、そんなのは、建前で、本音は...。
「...っ!!だ、誰?僕は死んだはずなのに。え?どうして大きいの?なんで?あれ?」
動揺している。
疑問が確信に変わる。
やっぱりそうだったんだ。
初めてだったんだ。
怖がられないように、ふわりと笑みを浮かべながら話しかける。
こういう癖も嫌だな。
本心ではとても怯えている癖に。
取り繕う殻がとても上手に作れているんだ。
「多分お前呪われたんよ。僕は闇奈。ここは魔王城。僕は魔王様の側近や」
そう話しかけると、赤と青のオッドアイが揺れる。
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