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四章 雪闇ブラッド
誕生日会
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始まっていればご丁寧に僕専用の席が準備されていると言うわけではなくて。
ただ周りの使用人と同じ所に座らされるだけ。
特別扱いされるわけではなくて。
それが妙に現実味を帯びているような気がして。
軋む椅子にクッションなんて敷いてあるわけが無く。
座り心地は最悪だった。
硬くて冷たい椅子が僕に現実を教えているようで。
それに対して、雪が憤る。
「なぁ、父さん、母さん。どうして闇奈だけ別の席なんだよ!!俺達双子だろう?俺だけが誕生日じゃねーじゃん。それに他の家の子も一緒に祝ってたし!」
そう雪が叫ぶ。
理不尽に対して抵抗するように。
瞳は怒りに震えている。
あぁ、そんなことしなくて良いのに。
そんなことすればするほど怒りを買うのに。
「他所は他所。うちはうちなの。まさかあなた。自分が血影家の人間だって事。忘れたんじゃあないわよね?」
そう見下ろす母の目は、今まで雪を見ていた目とは違った。
値踏みするような。
そんな視線。
息をする事すら許されないような、そんな空間。
苦しくて仕方ない。
見下して、価値なんてないとでも言いたげな。
雪は身じろいで、でも、だって、と。
言葉にならない何かを発している。
そんな雪に畳み掛けるように、
「血影家は代々純血を継ぐために、近親婚を繰り返したの。より濃い血こそが素晴らしい子を産むと信じて。その結果があなたよ、雪」
そう母が言いながら涙を流した。
「酷いわ。それなのにそんな子になっちゃって。お母さんショックよ」
そう母が言うと、雪は目を見開いた。
驚いたのだろう。
それくらい衝動的な言葉なのだから。
血影家としての責務。
それを負わされることも決まったようなものなんだから。
なんとなく僕は気づいていたけれど。
それがはっきりと言葉になった瞬間だった。
「闇奈はあくまで付属品。一応母親だから愛情を注いでいたけれど。もう良いのね。これからは雪だけに愛を注ぐわ」
そう、心底嬉しそうに笑ったのだ。
本当に幸せとでも良いたげに。
それが全てだと言いたげに。
慈愛のこもった瞳は雪だけに注がれて。
僕なんて一切映っていなくて。
まるで僕はこの場にいないとでも言いたげに。
なら、僕は?
僕ってなんなの?
僕の存在って血影家にとって一体なんなの?
そう言いたくなったけどどうにか抑えた。
周囲の使用人達が可哀想にと言いたげな視線が僕に付きまとう。
やめてよ。
やめてよ、そんな目で見ないでよ。
憐れむような目で僕を見ないでほしい。
まるで自分が可哀想な存在だと思ってしまうから。
思ってしまったら我慢できなそうだから。
涙を一生懸命堪えた。
泣いたらそこでおしまいだろうから。
ただ周りの使用人と同じ所に座らされるだけ。
特別扱いされるわけではなくて。
それが妙に現実味を帯びているような気がして。
軋む椅子にクッションなんて敷いてあるわけが無く。
座り心地は最悪だった。
硬くて冷たい椅子が僕に現実を教えているようで。
それに対して、雪が憤る。
「なぁ、父さん、母さん。どうして闇奈だけ別の席なんだよ!!俺達双子だろう?俺だけが誕生日じゃねーじゃん。それに他の家の子も一緒に祝ってたし!」
そう雪が叫ぶ。
理不尽に対して抵抗するように。
瞳は怒りに震えている。
あぁ、そんなことしなくて良いのに。
そんなことすればするほど怒りを買うのに。
「他所は他所。うちはうちなの。まさかあなた。自分が血影家の人間だって事。忘れたんじゃあないわよね?」
そう見下ろす母の目は、今まで雪を見ていた目とは違った。
値踏みするような。
そんな視線。
息をする事すら許されないような、そんな空間。
苦しくて仕方ない。
見下して、価値なんてないとでも言いたげな。
雪は身じろいで、でも、だって、と。
言葉にならない何かを発している。
そんな雪に畳み掛けるように、
「血影家は代々純血を継ぐために、近親婚を繰り返したの。より濃い血こそが素晴らしい子を産むと信じて。その結果があなたよ、雪」
そう母が言いながら涙を流した。
「酷いわ。それなのにそんな子になっちゃって。お母さんショックよ」
そう母が言うと、雪は目を見開いた。
驚いたのだろう。
それくらい衝動的な言葉なのだから。
血影家としての責務。
それを負わされることも決まったようなものなんだから。
なんとなく僕は気づいていたけれど。
それがはっきりと言葉になった瞬間だった。
「闇奈はあくまで付属品。一応母親だから愛情を注いでいたけれど。もう良いのね。これからは雪だけに愛を注ぐわ」
そう、心底嬉しそうに笑ったのだ。
本当に幸せとでも良いたげに。
それが全てだと言いたげに。
慈愛のこもった瞳は雪だけに注がれて。
僕なんて一切映っていなくて。
まるで僕はこの場にいないとでも言いたげに。
なら、僕は?
僕ってなんなの?
僕の存在って血影家にとって一体なんなの?
そう言いたくなったけどどうにか抑えた。
周囲の使用人達が可哀想にと言いたげな視線が僕に付きまとう。
やめてよ。
やめてよ、そんな目で見ないでよ。
憐れむような目で僕を見ないでほしい。
まるで自分が可哀想な存在だと思ってしまうから。
思ってしまったら我慢できなそうだから。
涙を一生懸命堪えた。
泣いたらそこでおしまいだろうから。
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