288 / 425
四章 雪闇ブラッド
複雑な気持ち
しおりを挟む
再発防止しないんだろう。
まるで見られたいとでも言いたげに。
見られて褒められたいとでも言いたげに。
別に良いかと蓋をして、ベッドに潜り込む。
深く考えたらダメな気がして。
誕生日の時くらいにしかもう実家に帰っていない。
実家には気づいたら全く寄り付かなくなってきた。
帰ったって悲しい気持ちになるだけだし。
あとはどうしても僕が必要な時にしか。
僕が帰らなくては行けない時にしか帰ってない。
自分で買った家は柔らかいベッドがあって。
あの家にはガサガサした質素なベッドでしかないのに。
体を重力に任せて、ベッドに全身を放りこんだ。
凄い居心地が良くて。
そのまま眠りについた。
それが一番良い気がして。
微睡の中、凪の顔を思い浮かべた。
期待はこれで最後にするから。
きっと凪の中の俺は女の子の形をした生き物なんだろうなと。
勝手に椅子に座りながら思う。
本を読んでいる凪を見つめながら。
魔王城の部屋の中。
俺はそう思った。
まだ過去の回想中である。
理久のために用具を準備しながら。
スケート場にいるけれど。
頭の中は過去の思い出の追憶中。
あの時。
あんな風に宣言した後、凪は言った。
あぁ、と思いつきを話すように、そういえばとか切り出して。
軽い調子で言ったのだ。
そうそう、
「私じゃなくて俺で良いし。あの時の口調のままで良いよ。むしろその方が好きかな」
と笑いながら言った。
そう言った凪は本気で言っているんだってことは見て取れて。
そっか、としか返せなかったけれど。
こいつ本当は俺の正体に気づいているんじゃと思ったけれど。
俺の事を気遣う姿勢のままだから。
あぁ、こいつまだ俺の事女だと思っているのかと。
そんな風に思い直してみたり。
少し笑いそうになるけれど。
けれど優しいのは事実だから。
ほんの少しだけ惹かれてみたり。
そんな自分に対して何やってるんだと呆れてみたり。
凪の気遣いは些細なものだったけど、俺の心を溶かすにはぴったりだったみたいで。
俺が座る椅子には常にクッションをひいていたり。
俺が少しでも居やすいように室温に気を使ったり。
興味あるんだって言ったものを取り寄せてくれていたり。
「お前って女子にモテるだろ」
そう言うと、凪は首を傾げて、
「どうせ来るんだったらさ、いい気持ちでいてほしいじゃん。つまりそういうこと。モテたことなんてないし、咲以外の女子と関わったことなんてない」
そう言ってみせた。
きっと女だったら惚れてるんだろうなと思うような動作をするので。
その度に複雑な気持ちになるから。
惚れてしまいたくなるから。
でも、俺が女だから優しくしてるんだろとか思っちゃうから。
わざと雑な動作をしてみる。
まるで見られたいとでも言いたげに。
見られて褒められたいとでも言いたげに。
別に良いかと蓋をして、ベッドに潜り込む。
深く考えたらダメな気がして。
誕生日の時くらいにしかもう実家に帰っていない。
実家には気づいたら全く寄り付かなくなってきた。
帰ったって悲しい気持ちになるだけだし。
あとはどうしても僕が必要な時にしか。
僕が帰らなくては行けない時にしか帰ってない。
自分で買った家は柔らかいベッドがあって。
あの家にはガサガサした質素なベッドでしかないのに。
体を重力に任せて、ベッドに全身を放りこんだ。
凄い居心地が良くて。
そのまま眠りについた。
それが一番良い気がして。
微睡の中、凪の顔を思い浮かべた。
期待はこれで最後にするから。
きっと凪の中の俺は女の子の形をした生き物なんだろうなと。
勝手に椅子に座りながら思う。
本を読んでいる凪を見つめながら。
魔王城の部屋の中。
俺はそう思った。
まだ過去の回想中である。
理久のために用具を準備しながら。
スケート場にいるけれど。
頭の中は過去の思い出の追憶中。
あの時。
あんな風に宣言した後、凪は言った。
あぁ、と思いつきを話すように、そういえばとか切り出して。
軽い調子で言ったのだ。
そうそう、
「私じゃなくて俺で良いし。あの時の口調のままで良いよ。むしろその方が好きかな」
と笑いながら言った。
そう言った凪は本気で言っているんだってことは見て取れて。
そっか、としか返せなかったけれど。
こいつ本当は俺の正体に気づいているんじゃと思ったけれど。
俺の事を気遣う姿勢のままだから。
あぁ、こいつまだ俺の事女だと思っているのかと。
そんな風に思い直してみたり。
少し笑いそうになるけれど。
けれど優しいのは事実だから。
ほんの少しだけ惹かれてみたり。
そんな自分に対して何やってるんだと呆れてみたり。
凪の気遣いは些細なものだったけど、俺の心を溶かすにはぴったりだったみたいで。
俺が座る椅子には常にクッションをひいていたり。
俺が少しでも居やすいように室温に気を使ったり。
興味あるんだって言ったものを取り寄せてくれていたり。
「お前って女子にモテるだろ」
そう言うと、凪は首を傾げて、
「どうせ来るんだったらさ、いい気持ちでいてほしいじゃん。つまりそういうこと。モテたことなんてないし、咲以外の女子と関わったことなんてない」
そう言ってみせた。
きっと女だったら惚れてるんだろうなと思うような動作をするので。
その度に複雑な気持ちになるから。
惚れてしまいたくなるから。
でも、俺が女だから優しくしてるんだろとか思っちゃうから。
わざと雑な動作をしてみる。
0
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—
水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。
幼い日、高校、そして大学。
高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。
運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
君に不幸あれ。
ぽぽ
BL
「全部、君のせいだから」
学校でも居場所がなく、家族に見捨てられた男子高校生の静。
生きる意味を失いかけた時に屋上で出会ったのは、太陽に眩しい青年、天輝玲だった。
静より一つ年上の玲の存在は、静の壊れかけていた心の唯一の救いだった。
静は玲のことを好きになり、静の告白をきっかけに二人は結ばれる。
しかしある日、玲の口から聞いた言葉が静の世界を一瞬で反転させる。
「好きになられるからあいつには近づかない方がいいよ。」
玲に対する感情は信頼から憎悪へと変わった。
それから十年後。
静は玲に復讐するために近づくが…
王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む
木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。
その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。
燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。
眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。
それが妹の名だと知っても、離れられなかった。
「殿下が幸せなら、それでいい」
そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。
赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎月影 / 木風 雪乃
奇跡に祝福を
善奈美
BL
家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。
※不定期更新になります。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる