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四章 雪闇ブラッド
ヴァンベリー
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けれどとても美味しかった。
今までで最高に。
いつも飲んでいるはずなのに。
何だかおかしいな。
なぜか違く感じた。
食器が違うから?
そういう些細な違いじゃない気がする。
それとも家族といるわけではないから?
そんな機会今までも何度もあった。
それとも。
それとも。
紅茶から口を離す。
目の前に座る男の顔を見る。
どうしたの?とでも問いかけるような視線をこちらに投げかける。
優雅に紅茶を嗜みながら。
余裕ぶって、どこか理久と似た雰囲気を纏っている。
凪と一緒に飲んでいるからだろうか。
その理由がやけにしっくりきた。
そっか。
何だか、闇奈に対する想いだとか。
そういうものが全てしっくりきたような気がした。
「この紅茶。凄く美味しい。紅茶淹れる才能もあるのかもな」
そう言って、紅茶の入ったカップを戻す。
ありがとう、と凪は返す。
穏やかな午後の昼下がり。
二人きり。
紅茶を嗜みながら過ごす時間。
それはとても豪華で、些細な魔法の時間。
普通であればありえないような、そんな時間。
ケーキの皿を一つ手に取って、手前に置く。
アフタヌーンティのようにケーキが積み立てられて棚からケーキを取り出した。
白く輝くクリームの上に、苺が乗っている。
キラキラと苺が輝いている。
そして、赤いソースがかけられている。
少し種子のようなものが混じっているように見えた。
苺は紅く、血のように輝いている。
目についたこの苺。
これは、
「ヴァンベリー?吸血鬼領でしか取れない苺じゃん。どうして...」
魔界の中でも一番特別で。
高貴で。
俺ら吸血鬼には一番馴染みのある果実。
ヴァンベリー。
それは吸血鬼領でしか栽培できない特別な苺である。
味はまるで血のようで。
齧ると中から大量の果汁が弾ける。
初めは酸味があるくせに、段々甘くなって。
どこか中毒性があるような味。
外見も紅く輝く血のような色をしている。
まるで血の宝石のようだ。
血を果汁として閉じ込めて。
皮で大事に大事に守っている。
そんな果実。
だから吸血鬼に好まれるのは当然で。
初めは吸血鬼領に突然発生したとかそういう感じだったと思う。
自然の力って偉大だと感じた。
吸血鬼領でしか栽培できない理由はおそらく。
吸血鬼領の特殊な環境ゆえであろう。
吸血鬼は日光に弱い。
人間にとっては肌を黒くする程度の紫外線であってもダメで。
少しでも紫外線が当たるとその部分が黒変していき、最後は灰になってしまう。
さらに灰になる時燃えてしまうから。
再生能力の高い吸血鬼であればあるほど苦しんでしまう。
正確に言うと、紫外線に弱い。
それゆえに日の光の元では生きれない。
それゆえに吸血領は常に月が照らしている。
月は沈むこともなく、ずっと吸血鬼領を照らしている。
今までで最高に。
いつも飲んでいるはずなのに。
何だかおかしいな。
なぜか違く感じた。
食器が違うから?
そういう些細な違いじゃない気がする。
それとも家族といるわけではないから?
そんな機会今までも何度もあった。
それとも。
それとも。
紅茶から口を離す。
目の前に座る男の顔を見る。
どうしたの?とでも問いかけるような視線をこちらに投げかける。
優雅に紅茶を嗜みながら。
余裕ぶって、どこか理久と似た雰囲気を纏っている。
凪と一緒に飲んでいるからだろうか。
その理由がやけにしっくりきた。
そっか。
何だか、闇奈に対する想いだとか。
そういうものが全てしっくりきたような気がした。
「この紅茶。凄く美味しい。紅茶淹れる才能もあるのかもな」
そう言って、紅茶の入ったカップを戻す。
ありがとう、と凪は返す。
穏やかな午後の昼下がり。
二人きり。
紅茶を嗜みながら過ごす時間。
それはとても豪華で、些細な魔法の時間。
普通であればありえないような、そんな時間。
ケーキの皿を一つ手に取って、手前に置く。
アフタヌーンティのようにケーキが積み立てられて棚からケーキを取り出した。
白く輝くクリームの上に、苺が乗っている。
キラキラと苺が輝いている。
そして、赤いソースがかけられている。
少し種子のようなものが混じっているように見えた。
苺は紅く、血のように輝いている。
目についたこの苺。
これは、
「ヴァンベリー?吸血鬼領でしか取れない苺じゃん。どうして...」
魔界の中でも一番特別で。
高貴で。
俺ら吸血鬼には一番馴染みのある果実。
ヴァンベリー。
それは吸血鬼領でしか栽培できない特別な苺である。
味はまるで血のようで。
齧ると中から大量の果汁が弾ける。
初めは酸味があるくせに、段々甘くなって。
どこか中毒性があるような味。
外見も紅く輝く血のような色をしている。
まるで血の宝石のようだ。
血を果汁として閉じ込めて。
皮で大事に大事に守っている。
そんな果実。
だから吸血鬼に好まれるのは当然で。
初めは吸血鬼領に突然発生したとかそういう感じだったと思う。
自然の力って偉大だと感じた。
吸血鬼領でしか栽培できない理由はおそらく。
吸血鬼領の特殊な環境ゆえであろう。
吸血鬼は日光に弱い。
人間にとっては肌を黒くする程度の紫外線であってもダメで。
少しでも紫外線が当たるとその部分が黒変していき、最後は灰になってしまう。
さらに灰になる時燃えてしまうから。
再生能力の高い吸血鬼であればあるほど苦しんでしまう。
正確に言うと、紫外線に弱い。
それゆえに日の光の元では生きれない。
それゆえに吸血領は常に月が照らしている。
月は沈むこともなく、ずっと吸血鬼領を照らしている。
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