どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

かっこ悪いとこ見せたくなかったのに

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ひょいひょいと身軽に乗り移っている。
あと地面まで5メートル。
次の枝を見繕っていたその時。
ポキ、バキバキ。
嫌な音が聞こえた。
だんだんとバランスが崩れていく。
あれ、おかしいな。
人間、本当にピンチの時は体が硬直するというのは事実だったようで。
ゆっくりと降下していく体。
何もかもが遅く見えるのに体は動かない。
死の足音が耳元で聞こえる。
あーぁ、なんでこんな事しちゃったんだろう。
猿も木から落ちるように、失敗する事なんて誰にでもあって。
そんなのは知っていたはずなのに。
呆気なく失敗して死にかけて。
本当にやってる事がバカの極みすぎて笑えてくる。
闇奈、治療してくれるかな。
吸血鬼ではあるから血を飲めば回復するけれど。
凪の血は吸いたくないな。
まだかっこつけていたいとか、死にかけてるのに思ってる。
恐らく俺はこれくらいでは死なないだろうな。
体は壊れるけれど、再生出来ないわけではないから。
最低限の肉体の回復と魔力で体を覆うバリアの形成。
今俺が生きる為に最低限実行しなきゃいけないもの。
どちらも魔力を大量に消費する。
普段であれば事前に大量の血液を摂取しているから。
容易に実行出来るけれど今はそういう訳ではない。
必要以上に血液を摂取していない今は間に合うかどうかすらわからない。
最悪、バリアのみ形成して凪に運んで貰えば。
あとは闇奈が俺を治療してくれるだろう。
けれどそれは嫌だから。
だから必死に魔法を使おうと魔力を練った。
しかしいくら練ろうとも魔法は発動しない。
本来魔法とは集中力が必要なものだ。
だからだろうか。
焦っている状況だからか、魔法が発動する気配が全くなかった。
(これで俺の人生終わっちゃうのかな)
ふとそんな考えが頭に過ぎる。
だって、普通の人間だったら死んじゃうじゃん、こんな状況。
かっこ悪いなぁ。
今まで背丈に合わない事をしてきたからだろうか。
血影家の当主として。
闇奈とは違い教育にも何もかも徹底させられた。
髪が白いから。
それだけの理由だ。
先祖返りとかどうでも良かったのに。
大人達の都合で闇奈とは離され、当主としての教育が始まった。
人格から行動まで。
爪先から頭まで。
どこまでも徹底して仕込まれる。
クリスについて纏めた本を毎日読まされた。
話し方までは真似られなくとも、行動パターンや性格を頭に入れて置く為。
血影家として相応しい人間になるため。
血影家は吸血鬼という種族の中でトップレベルだ。
だから全部トップレベルで出来なくちゃいけない。
そんな事を思い出しながら、ゆっくりと目を閉じていく。
どうせ死ぬなら、死ぬ瞬間目を開けていたくなかったからだ。
「危ないっ!!」
凪の声が聞こえて、体を強い風が包み込んだ。
近くで荒い呼吸が聞こえる。
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