どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

会いたくないのにな

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俺は好きだから一人の時に飲んでいる。
コップにストローを刺して、ゆっくりと飲む。
飲み切ってしまったらまた作って飲む。
美味しい物を飲んだり食べたりしたら気分が上がるらしいから。
アイスも取り出して食べてみる。
普段は暴飲暴食なんてしないけど。
沢山食べて、飲んで。
お腹は満たされるのに心は満たされない。
あぁ苦しいな。
いつもならこのくらいで気持ちも回復してるのに。
心だって明るくなるはずなのに。
まだ苦しいだけだ。
部屋の中。
机の上に散乱した飲み物やアイスを眺めながら。
また涙が溢れる。
まただ。
どうしてなんだろう。
良い香りのするアロマを炊いたって。
横になってみたって。
何にも回復しない。
ふと、机の上に置かれた鋏が目につく。
薔薇の飾りのついた綺麗な鋏。
その鋏を手に取る。
鏡の前に立つ。
鏡に映る俺は虚な瞳をしている癖に気持ち悪い作り笑いを浮かべている。
髪の長い女に見える俺。
整った顔とか言われて女の格好も似合うとか言われて。
髪を鋏で挟む。
少し、髪を切る。
床に髪の毛がいくつも散らばる。
ぱらぱらぱら。
俺が女に見えるから?
闇奈は本当の自分を見せていたのに。
俺は偽りの自分を見せていたから?
そう考えて、鋏を切る手が止まらなくて。
一心不乱に髪の毛を切っていく。
あぁ、あぁ。
こんなの失恋した女の子みたいじゃん。
気づいたら鏡の中の自分は元の俺に戻っていた。
女の格好をした血影 雪がそこに立っていた。
あは、なんて笑う。
初めからこうしておけばよかったのに。
落とすとか、そういうの考えなければ良かったのに。
そしたら、凪を。
好きになる事なんてなかったかもしれないのに。
必要以上に近づいてしまったから。
太陽に近づき過ぎてしまったから。
だから恋してしまったんだ。
好きになってしまったんだ。
嫉妬してしまったんだ。
そう認めた瞬間に涙がとめどなく溢れて。
声をあげて泣いた。
そうだよ、失恋したんだ。
失恋したから苦しかったんだ。
悲しかったんだ。
涙も止まらなかったんだ。
そのまま布団の中に入る。
自分の中の気持ちに整理が出来てしまって。
あぁ、苦しいな。
そのまま眠りについた。
散々泣いたからだろうか。
その日はぐっすりと眠ってしまって、いつもより眠り過ぎてしまった。
深く眠り過ぎてしまったせいで、予定の時間の一時間前だ。
急いで着替えて、準備をして。
そこで、今までの服では似合わない事に気づいた。
「…、もういっか」
そう思って、クローゼットの奥にしまっていた本当の俺の服に袖を通す。
茶菓子を持って外に出かけた。
昼下がりの午後。
穏やかな青空。
白い雲がゆっくりと流れていく。
ポカポカと暖かい。
けれど、俺の気持ちは裏腹で。
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