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四章 雪闇ブラッド
僕のため?理久のため?
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そう一生懸命否定する。
「だってそうだ。そうじゃなきゃ僕はどうすれば良かったんだよ。お前とは対立したって良いけれど。それが正しいだろうけど。凪は嫌だよ」
そう理久が言う。
でも、それは美空に言っていると言うよりも、自分に言い聞かせているみたいだった。
一生懸命自分に言い聞かせて、洗脳しているみたいで。
明らかに異常な状態だった。
段々と。
「ならさ、離れるのもセットだったんじゃないのか?俺はそう思う。だからあんな選択したんだろう?」
それに理久は何も言えなくて。
黙ってしまって。
顔を下に向けて俯いていく。
そんな理久の姿を見てさすがに言いすぎたと思ったのか。
美空は理久に何かを言おうとしたけれど。
頭を振って、
「あんたはさ、いくらでもチャンスがあったじゃん。それを手放すって選んだのも、別の道選ぶって決めたのもお前じゃん。なのにさ、どうして今更取り返そうとするのさ。もう遅いよ。…、凪先輩、行きましょ」
それだけ言って、僕に手を伸した。
理久は何も言わない。
僕は美空に手を伸ばすのを躊躇った。
理久をこのままにして置けないと思ったから。
だって理久は今凄く傷ついていて。
苦しい思いをしていて。
僕に出来るのはそんな理久を支える事だと思ったから。
理久に何か言葉をかけてやりたかった。
頭を撫でてあげたいと思った。
そんな事ないとか、軽い言葉を言ってあげたかった。
でも、今の理久にするのが躊躇われて。
そんな事しても良いのか怖くて。
何もできずにいて。
僕は意気地なしだ。
「凪先輩。あっちに美味しいものがあるんです。食べに行きませんか?」
そう美空が言う。
早く来て、と言うことだろう。
今は一人にしてあげるべきなのかもしれないし。
だから僕は美空の手を取った。
近くで誰かの息を呑む音が聞こえた。
「僕を捨てるの…?」
そんな声が聞こえた。
それが理久の声のように感じられて。
それに思わず返してしまって。
「そんなわけないじゃないか。僕は」
捨てるわけないよ。
そう言いたかったのに。
下腹部に鈍い痛みが走る。
周りが叫ぶ声が聞こえる。
美空の目がゆっくりと見開かれる。
長針が回る時に立てる音を聞いた気がしたんだ。
カチカチと音を刻む音を。
それは酷く懐かしい音で。
別に珍しくもなんともないはずなのに。
その音は特別な音のように感じられて。
でも、なんでだろう。
それが何だか嫌で、酷く辛い思い出があったような。
そんな気がするんだ。
気かついたら理久が僕の腹に剣を突き刺していて。
その癖理久は凄く悲しそうな顔をしているんだ。
こんな事したって、僕が死なないって事を一番知ってるのは。
理久の癖に。
「だってそうだ。そうじゃなきゃ僕はどうすれば良かったんだよ。お前とは対立したって良いけれど。それが正しいだろうけど。凪は嫌だよ」
そう理久が言う。
でも、それは美空に言っていると言うよりも、自分に言い聞かせているみたいだった。
一生懸命自分に言い聞かせて、洗脳しているみたいで。
明らかに異常な状態だった。
段々と。
「ならさ、離れるのもセットだったんじゃないのか?俺はそう思う。だからあんな選択したんだろう?」
それに理久は何も言えなくて。
黙ってしまって。
顔を下に向けて俯いていく。
そんな理久の姿を見てさすがに言いすぎたと思ったのか。
美空は理久に何かを言おうとしたけれど。
頭を振って、
「あんたはさ、いくらでもチャンスがあったじゃん。それを手放すって選んだのも、別の道選ぶって決めたのもお前じゃん。なのにさ、どうして今更取り返そうとするのさ。もう遅いよ。…、凪先輩、行きましょ」
それだけ言って、僕に手を伸した。
理久は何も言わない。
僕は美空に手を伸ばすのを躊躇った。
理久をこのままにして置けないと思ったから。
だって理久は今凄く傷ついていて。
苦しい思いをしていて。
僕に出来るのはそんな理久を支える事だと思ったから。
理久に何か言葉をかけてやりたかった。
頭を撫でてあげたいと思った。
そんな事ないとか、軽い言葉を言ってあげたかった。
でも、今の理久にするのが躊躇われて。
そんな事しても良いのか怖くて。
何もできずにいて。
僕は意気地なしだ。
「凪先輩。あっちに美味しいものがあるんです。食べに行きませんか?」
そう美空が言う。
早く来て、と言うことだろう。
今は一人にしてあげるべきなのかもしれないし。
だから僕は美空の手を取った。
近くで誰かの息を呑む音が聞こえた。
「僕を捨てるの…?」
そんな声が聞こえた。
それが理久の声のように感じられて。
それに思わず返してしまって。
「そんなわけないじゃないか。僕は」
捨てるわけないよ。
そう言いたかったのに。
下腹部に鈍い痛みが走る。
周りが叫ぶ声が聞こえる。
美空の目がゆっくりと見開かれる。
長針が回る時に立てる音を聞いた気がしたんだ。
カチカチと音を刻む音を。
それは酷く懐かしい音で。
別に珍しくもなんともないはずなのに。
その音は特別な音のように感じられて。
でも、なんでだろう。
それが何だか嫌で、酷く辛い思い出があったような。
そんな気がするんだ。
気かついたら理久が僕の腹に剣を突き刺していて。
その癖理久は凄く悲しそうな顔をしているんだ。
こんな事したって、僕が死なないって事を一番知ってるのは。
理久の癖に。
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