358 / 425
四章 雪闇ブラッド
罪なんて明かせない
しおりを挟む
だって、僕にとっては一生隠すべき事実であり、心の柔い部分であり。
本当に一生涯共にする人にしか話さないであろうことなのだから。
全部受け止めてくれるなら。
僕の罪も一つ残らず受け止めてくれるかな?
離れたりしないかなぁ?
「ねぇねぇ凪!ほら滅茶苦茶美味しそうじゃない?」
後から追いついてきた雫がそう言う。
それだけで言う気が失せちゃって。
言う勇気だとかそう言うのが全部霧散してしまって。
自分の事をバカだなぁと思った。
だって言わなくたって一緒にいてくれるのに。
むしろ言わない方が可能性が高いって言うのに。
騙している事には変わりないけれど。
「よかったわね。ちょうど良いタイミングで雫が来てくれて」
そう月が言う。
楽しそうに笑いながら。
理久よりもこっちの方が悪魔で邪悪だ。
だって、月は本当に自分の快楽に身を注いでいるのだから。
月としては僕がいればそれで良いし。
他のは僕と月を突き放す解呪を行うだろうから邪魔なだけ。
いつか僕が隠している罪悪感に潰れて離れるか。
それとも今バラして離れていくか。
その二択がもう既にあるのだから。
呑気に観戦するだけなんだろうな。
「ごめんね、美空。今は言えない。また後で言うよ」
僕は美空にそういった。
また後でが来るのは一体いつなんだろう。
美空が死ぬ時?
それとも永遠に訪れないのかなぁ。
本当に、僕は酷いやつだ。
ちゃんと言えば良いのに。
せっかく味方でいてくれそうなのに。
正直に言えない自分が嫌になる。
美空はそれ以上聞くことはせずに。
黙って僕に寄り添った。
「二人とも雰囲気暗すぎじゃん?どうしたの?なんかあった?うーん…、まぁいっか!!とりあえず僕が目をつけてたの持ってきてあげるよ!理久も行こっ!」
そう雫が理久を引っ張って行った。
美空も、
「じゃあ俺も何かとってきますね。凪先輩はそこら辺で座っていてください。取ってきたらそこに行きますから」
うん、わかった。
そう美空に返した。
店内は美しい装飾で溢れていた。
上から暖かい光を溢すシャンデリア。
落ち着いたダークブラウンの木材で彩られた壁。
所々に花は飾られて。
キャンドルが灯されている。
赤い布の掛けられたテーブルと椅子のセット。
適当に選んだ椅子に腰掛けると。
わざとらしく月も目の前の椅子に腰掛けた。
「どうしてお前まで当然な顔して座ってるの」
そう月に問い掛ければ、
「別に良いじゃない。私だってたまには座りたいのよ。旅とかほんと疲れるしね」
「一応空飛んでるから一切疲れることなんてないって、前言ってたよね」
そう言うと、どうだったかしら、なんてわざとらしく首を傾げていう。
そんなの嘘だって簡単に見抜けるよ。
何年一緒にいると思っているんだ。
「それで?何か話したい事があるからこんな事してんでしょ?何?僕の罪の事?今問われたとしてももう何も言えない事なんてわかりきっているでしょ」
本当に一生涯共にする人にしか話さないであろうことなのだから。
全部受け止めてくれるなら。
僕の罪も一つ残らず受け止めてくれるかな?
離れたりしないかなぁ?
「ねぇねぇ凪!ほら滅茶苦茶美味しそうじゃない?」
後から追いついてきた雫がそう言う。
それだけで言う気が失せちゃって。
言う勇気だとかそう言うのが全部霧散してしまって。
自分の事をバカだなぁと思った。
だって言わなくたって一緒にいてくれるのに。
むしろ言わない方が可能性が高いって言うのに。
騙している事には変わりないけれど。
「よかったわね。ちょうど良いタイミングで雫が来てくれて」
そう月が言う。
楽しそうに笑いながら。
理久よりもこっちの方が悪魔で邪悪だ。
だって、月は本当に自分の快楽に身を注いでいるのだから。
月としては僕がいればそれで良いし。
他のは僕と月を突き放す解呪を行うだろうから邪魔なだけ。
いつか僕が隠している罪悪感に潰れて離れるか。
それとも今バラして離れていくか。
その二択がもう既にあるのだから。
呑気に観戦するだけなんだろうな。
「ごめんね、美空。今は言えない。また後で言うよ」
僕は美空にそういった。
また後でが来るのは一体いつなんだろう。
美空が死ぬ時?
それとも永遠に訪れないのかなぁ。
本当に、僕は酷いやつだ。
ちゃんと言えば良いのに。
せっかく味方でいてくれそうなのに。
正直に言えない自分が嫌になる。
美空はそれ以上聞くことはせずに。
黙って僕に寄り添った。
「二人とも雰囲気暗すぎじゃん?どうしたの?なんかあった?うーん…、まぁいっか!!とりあえず僕が目をつけてたの持ってきてあげるよ!理久も行こっ!」
そう雫が理久を引っ張って行った。
美空も、
「じゃあ俺も何かとってきますね。凪先輩はそこら辺で座っていてください。取ってきたらそこに行きますから」
うん、わかった。
そう美空に返した。
店内は美しい装飾で溢れていた。
上から暖かい光を溢すシャンデリア。
落ち着いたダークブラウンの木材で彩られた壁。
所々に花は飾られて。
キャンドルが灯されている。
赤い布の掛けられたテーブルと椅子のセット。
適当に選んだ椅子に腰掛けると。
わざとらしく月も目の前の椅子に腰掛けた。
「どうしてお前まで当然な顔して座ってるの」
そう月に問い掛ければ、
「別に良いじゃない。私だってたまには座りたいのよ。旅とかほんと疲れるしね」
「一応空飛んでるから一切疲れることなんてないって、前言ってたよね」
そう言うと、どうだったかしら、なんてわざとらしく首を傾げていう。
そんなの嘘だって簡単に見抜けるよ。
何年一緒にいると思っているんだ。
「それで?何か話したい事があるからこんな事してんでしょ?何?僕の罪の事?今問われたとしてももう何も言えない事なんてわかりきっているでしょ」
0
あなたにおすすめの小説
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
《一時完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ
MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
続編執筆中
僕は今日、謳う
ゆい
BL
紅葉と海を観に行きたいと、僕は彼に我儘を言った。
彼はこのクリスマスに彼女と結婚する。
彼との最後の思い出が欲しかったから。
彼は少し困り顔をしながらも、付き合ってくれた。
本当にありがとう。親友として、男として、一人の人間として、本当に愛しているよ。
終始セリフばかりです。
話中の曲は、globe 『Wanderin' Destiny』です。
名前が出てこない短編part4です。
誤字脱字がないか確認はしておりますが、ありましたら報告をいただけたら嬉しいです。
途中手直しついでに加筆もするかもです。
感想もお待ちしています。
片付けしていたら、昔懐かしの3.5㌅FDが出てきまして。内容を確認したら、若かりし頃の黒歴史が!
あらすじ自体は悪くはないと思ったので、大幅に修正して投稿しました。
私の黒歴史供養のために、お付き合いくださいませ。
王太子殿下に触れた夜、月影のように想いは沈む
木風
BL
王太子殿下と共に過ごした、学園の日々。
その笑顔が眩しくて、遠くて、手を伸ばせば届くようで届かなかった。
燃えるような恋ではない。ただ、触れずに見つめ続けた冬の夜。
眠りに沈む殿下の唇が、誰かの名を呼ぶ。
それが妹の名だと知っても、離れられなかった。
「殿下が幸せなら、それでいい」
そう言い聞かせながらも、胸の奥で何かが静かに壊れていく。
赦されぬ恋を抱いたまま、彼は月影のように想いを沈めた。
※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。
表紙イラストは、雪乃さんに描いていただきました。
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎月影 / 木風 雪乃
【完結済】どんな姿でも、あなたを愛している。
キノア9g
BL
かつて世界を救った英雄は、なぜその輝きを失ったのか。そして、ただ一人、彼を探し続けた王子の、ひたむきな愛が、その閉ざされた心に光を灯す。
声は届かず、触れることもできない。意識だけが深い闇に囚われ、絶望に沈む英雄の前に現れたのは、かつて彼が命を救った幼い王子だった。成長した王子は、すべてを捨て、十五年もの歳月をかけて英雄を探し続けていたのだ。
「あなたを死なせないことしか、できなかった……非力な私を……許してください……」
ひたすらに寄り添い続ける王子の深い愛情が、英雄の心を少しずつ、しかし確かに温めていく。それは、常識では測れない、静かで確かな繋がりだった。
失われた時間、そして失われた光。これは、英雄が再びこの世界で、愛する人と共に未来を紡ぐ物語。
全8話
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる