どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

月にとっての恋愛

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そう言うと、ふふん、と笑う。
「そうね、私はあなたの全てをわかってるわ。だって母親だもの!まぁ、そこは良いわ。ただ、あなた、恋しようとしてるんじゃないかって。誰かと愛し合おうとしているんじゃないかって不安になったの」
そう月が言った。
そもそも僕らは親子でもなんでもないのに。
なぜか月は僕の母親を詐称する。
僕の両親は別にいることなんて知っているし。
なぜそんな事を言うのかは分からないけれど。
「どうして月が不安になるのさ。心配しなくたって愛し合う事は無いよ。だって僕の呪いは相手を殺してしまうじゃないか。…、それとも、月にとって、僕が愛し合う事は何か不都合なの?」
「別に不都合じゃないけれど。愛し合うってのは危険だから。止めたいだけ」
そう月が言う。
不都合じゃないなら止めなきゃ良いのに。
「私はあなたのお母さんだから。だから自分の子供には苦しんで欲しくないのよ。二度と。普通の親ならそう思うはずよ」
普通でもないし、血も繋がっていないのに?
「僕のお母さんは別の人でしょ?」
そう言えば、首を振る。
「あなたは確かに私の子供よ。私が腹を痛めて産んだわけではないけれど…。確かに私の子供なの」
そう言う。
意味がわからない。
普通生物って言うのは産んでくれた人や育ててくれた人を親として認識するものだと思っていたし。
別に月は僕を育てたわけではないし。
ほぼ放任なのに。
「恋ってね。してる間は幸せなのよ。だって相手の事を想っていれば良いだけだから。相手を好きだって、大切にしたいって思いが強くなっているし」
そう月が語り出す。
「けどね、いつか相手って死んじゃうの。それは誰かの裏切りであったり。策略であったり。はたまた寿命だったり。失うって凄く辛いのよ。死んでしまいたい、彼をそんな目に合わせた奴に地獄を見せてやりたいって位に」
月が珍しく真剣な口調でそんな事を話し始めた。
だから僕も真剣に聞く気になった。
いつもみたいにふざけているわけでもないみたいだし。
「それって凄く苦しいのよ。何も見えないし、悲しみに飲まれているし。どこまでも闇に包まれているみたいで。何人、何十人、何千人。いくら殺したところで彼が戻ってくるわけではなかったし」
人を殺すだけで愛する人が戻ってくるのなら。
この世の愛する人を失った人々はその手を殺人に染め上げるだろう。
時が忘れさせてくれるといくら言ったって。
失った瞬間の痛みや、日常に落ちている生きていたという欠片は消せるものでもないし。
かといって、単純に忘れてしまうのは大切だった彼をその程度のものとカテゴリするような気がするし。
簡単に忘れられるわけないのだ。
忘れたと思って、いくら心にパテを塗りつけようとも。
いずれボロボロに腐って剥がれ落ちて、ふとした瞬間に喪失感を植え付けて。
「そのうち生きている事すら馬鹿らしくなるわ。だってそうでしょ?ふと手を見れば血で真っ赤っか。全部赤いのよ。天国行きの切符も血で染まって地獄行きに変わってしまうし。何もかもが無駄になるの」
そう、月は本当に絶望したかのような顔をした。
この女に絶望なんて感情があるのかわからないけれど。
何もかもがどうでも良いとでも言いたげな。
本当に、苦しそうな。
「せめて彼と死にたかったなぁ。一緒に死ねたら苦しみも、辛いって感情も二等分出来たのかなぁ、とかいろんなことを考えながら、彼以外の人に最期を下されるの。しかもそいつねぇ、なかなか狂ってて、私のことを綺麗だとか、ここから抜け出して一緒にならないかとか言うのよ?」
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