どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

美味しい食事

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一瞬、月の姿がグラついて。
美しい、赤と黒のドレスを着た女性と重なった。
胸元は黒いドレスなのに、足元へと行くにつれて赤く染まっていく。
胸元を彩るバラは美しい。
左手の薬指には美しい指輪が嵌められて。
胸元にはルビーを携えたネックレス。
所々に愛された証を散りばめただけの生きた人形。
今の月よりも大人びた姿をしていて。
憂いを帯びた表情をしている。
頬に返り血がついているのにそれすら気にしないで。
「私には彼しかいないのにねぇ?」
そう月が笑う。
確かに綺麗だと言いたくなる気持ちはわかるけれど。
この女の異常なまでの『彼』への執着を見ても言えるとは。
そいつもなかなかの異常者だ。
イカれてるとしか思えない。
「だからね、あなたは人を愛さないほうが良いわ。私と一緒になるでしょうし。結局はそうなるわ。理久ならいくらでも生きれるとか言うかもしれないけれど。だからって理久と一緒になる気もないでしょう?」
そう月は言う。
気づけば月は元の姿に戻っていた。
「仮に一緒になったところでいつか意見の食い違いだったりだとか起こって難しくなるかもしれないけどね」
そう月は言った。
「まぁ、何が言いたいかって言うと、恋をする気ならやめておきなさい。碌な結果を生まないわ」
それだけ言って、月は席を立ち、姿を消す。
月は話したいことだけ言って姿を消すから。
次出てくるのはまた話したくなった時だけだろう。
それは構わないけど。
恋をするな、か。
女の人は怖い。
何がきっかけで襲ってくるかわからない。
敵意を向けるかわからない。
死ぬことは無くても痛みは感じるし。
裏切られたってなるのが怖くて。
だから女性に恋はできない。
男だって同じだ。
他人に恋なんて出来ないよ。
友愛だけで十分だよ。
「見てみて凪!凄い美味しそうなのあった!」
そう雫が言う。
雫は着替えたみたいで、靴はおしゃれなヒールに変わっていた。
雫曰くこの靴の方がもしもの時も含めて良いらしい。
それに足元の露出も高いからちょうど良いらしくて。
よくバランス取れるなぁ、なんて思う。
両手にあるのはアイスクリーム。
しかも三段でコーン。
いや、バランスとりずらい靴なんだからもうちょっとカップにするとかなかったのかよ!
「ちょ、雫、それ危ないんじゃ。転んだ時服も汚れるし、悲しいことなるよ!」
そう言うけれど、雫は大丈夫大丈夫!なんて言ってこっちにくる。
バランスのとりづらいはずの靴なのに難なくやってくる雫に、気づいたら笑ってしまっていた。
なんでこんな場面に三段アイスを持ってくるんだとか。
さっきまで冷たいところにいたのに更に冷たいものを持ってくるのかよとか。
そういうのが全部ごちゃ混ぜで。
僕が笑っているのをみて。
雫もそばに来る頃には笑顔になっていた。
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