どうしようもない僕は報われない恋をする

四章 雪闇ブラッド

バイキング

そう雫と美空が言い合う。
「ていうか！凪先輩がこれで風邪引いたらどうするんだよ！あったかいの食べさせるべきだし！」
「うるさい！僕はアイスが好きなんだよ！」
二人とも言い合いがヒートアップしてきたなぁ。
そろそろ止めた方がいいのだろうか。
理久は我関せずという感じで僕の向かい側の席に座って。
ステーキをナイフとフォークを使って器用に切り分ける。
その仕草一つとっても丁寧で。
もしかして僕に召喚されるまで相当上流貴族の家庭にいたのではと思うくらいだった。
こうやって少し現実逃避するしかない。
理久がこちらを見る。
「凪、口開けて」
そう言われて、口を開ける。
すると、理久が僕の口にステーキを入れた。
噛み締めると肉汁が広がる。
「美味しいでしょ。よかった」
そう理久は言った。
美味しいな。
ジューシーだし、ソースと上手く絡まって美味しい。
もぐもぐもぐと食べていると、
「凪はどう思う？アイスって美味しいよね？食べたいよねぇ？」
「凪先輩は豚汁の方がいいですよね？そっちの方がいいですよね？」
そう雫と美空に言われた。
「凪はお肉の方が好きだよ。だって僕のお肉食べてくれたし」
理久がそう言ったから美空と雫がハァ！？と叫んだ。
二人とも落ち着いてほしい。
そして理久は追加の燃料を投下しないでほしい。
温かいものを食べるか、冷たいものを食べるか。
どちらを食べようか。
カップに入った一杯分の豚汁と、カップに入ったアイス。
どっちがいいかなぁ。
でもなんでだろう。
どっちを食べても僕には怖い目しか待っていない気がする。
どうすればいいんだろうなこれ…。
もしもこれがステーキとアイスとかだったら全然両方食べられるんだけどな。
汁物と固形物だからどうすればいいのかわからない。
というか悩んでしまう。
両方同時に食べれないからなぁ。
いっそ両方食べたら美味しいのだろうか。
でもなぁ。
「別に凪が全部食べる必要ないんやないの？食べさせてもらえばええやん」
後ろから闇奈の声が聞こえた。
隣に雪もいる。
雪はひらひらとこちらに手を振った。
闇奈は笑いながら、
「そもそも凪が全部食べきれるわけやないと思うし、他にも食べたいのがあるかもしれんし」
そう闇奈が言った。
そうそう、と雪が言う。
「ここら辺いっぱいご飯あるな、闇奈。俺らもとってきてさ。このテーブルにたくさん並べてみんなでパーティしようぜ！」
そう雪が言った。
その発言に乗っかろう。
「僕も選ぼうかな！みんなでパーティしたいし！バイキング形式だしたくさん選んでいっぱい食べる！」
そういうと、
「凪先輩は選ばなくても大丈夫ですよ。俺がとっていた美味しいもの食べて欲しいので」
そう美空が言い始めた。
「えぇ？美空自信まんまんだねぇ。僕だって負ける気しないけど？てか僕のが凪の好きなの知ってる気がするぅ」