どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

今と昔は違うのに

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すると、闇奈は僕の口にケーキを突き刺したフォークを入れる。
「ふふ、油断したからや。まぁでも、このケーキは好きやろ?」
そう言って闇奈は微笑む。
確かに、口の中に入れられたケーキは甘くて、酸っぱくて。
生クリームの上品な口当たり。
まるで昔食べた生クリームケーキみたい。
僕が誰かのために作ったもののような味。
「…、僕が生クリームアレルギーとかだったらどうするのさ。そしたら大変なことになってたよ」
「そんなわけないって知ってるんやもん。だからへーき。それに、おいしかったやろ?」
そう闇奈は笑う。
笑いながら口に生クリームケーキをポイポイ入れていく。
ゆっくりと咀嚼して、紅茶を胃に流し込んで。
ただそれを繰り返す。
「ねぇ、闇奈。闇奈はさ。僕をどこまで知ってるの?」
そう僕は闇奈に問う。
昔の友達って言ってたから。
それならどこまでの僕を知っているんだろうか。
僕が記憶を失うまで?
それともその前に僕らは別れた?
「んー。どうやろね。全部かもしれないし、全部知らないかもしれない」
そうのらりくらり、紅茶を口に含みながら返答する。
「少なくとも、僕は君と幼い頃一緒に過ごしたのは確か。それに、きっとおそらく君が記憶を消すまでの間。それは雪も同じや」
おそらく、開示できる情報はそれまでなのだろうか。
そこで一旦言葉を区切る。
「なぁ、凪は本当に過去を知りたいん?今のままでええって思っとるんやないの?僕は、正直どっちでもええんよ。凪が幸せであればそれでええの」
そう闇奈が言った。
「だから知りたいなら教える。例えその結果僕が死ぬことになろうとも…。ふふ、そんな事言ったら知りたくなくなるよなぁ。だって凪は優しいんやもの。人の命がかかってるってなったら知りたくなくなるやろ?それともいい免罪符になるんかな」
僕は何も言い返せなくて。
なんて言えばいいんだ。
僕は過去を知りたくない。
思い出して苦しみたくない。
そもそも闇奈だって。
「なんで急に話すって言うのさ…。学校の時はあんなに怒ってたのに」
「そりゃ…。美空に取られるくらいならってことや。美空と二人で話してたやろ?どうせ過去の記憶絡みやと思って」
闇奈の推測は当たってる。
僕は美空に過去の事を相談した。
「だって嫌なんやもの。僕は君を取られたくない。初めて僕が好きになった人なんやもの」
闇奈はまっすぐ僕のことを見つめる。
その視線に身じろいで。
だって闇奈の視線が真剣そのものなんだもの。
こんな視線はきっとそう言う好意だとかそう言うもので。
そう言うものが絡むと酷い目にしか遭わないんだもの。
だってその所為で颯太はおかしくなってしまったし。
なんとなくわかってたんだ。
人の目には僕はなんか凄い人間に見えているみたいで。
それが原因でみんな恋とかいう魔法にかかっちゃうみたいで。
でも僕はそんな凄い人間じゃないのに。
なのに期待されちゃって。
「ぼ、僕は昔とは違うから。もう全然違う人間なんだよ。だから好きとか言われたって困るよ」
そう口にする。
そうだよ。
どうして僕なんて好きになるのさ。
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