どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

吸血行為

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でも、頑張って耐えてるみたいだ。
闇奈の手から血が垂れてる。
強く握りすぎだよ。
爪が柔い手のひらに食い込んで皮を喰って血を垂らしてるじゃないか。
貴重なんだからさぁ。
「…、怖くないん?…、普通、怖いやろ。こんな化け物。今やったら。今なら間に合うから。引き返せるから。僕を拒絶すればええだけや。だってもう僕必要ないやん。だって、凪は。ちゃんと人間に混ざれてるんやろ?ならもうこんな化け物とつるむ意味なんて」
そう闇奈は必死に僕を説得する。
それで君は死んじゃうの?
きっと君は僕の言うこと守って。
馬鹿みたいに守って。
それで僕以外の血なんて吸おうとしないんでしょ?
血を吸わない吸血鬼の末路は消滅なんでしょう?
「いいよ。人に混ざれてる?そんなの美空と颯太だけ。他の人間は僕のこと恐れてるよ。まともに話したことないもの。今まで散々石投げられたのだから。それに僕も化け物さ。だから吸っていいんだよ。…、お願いします。僕の血を吸って生きてください」
そう言って僕は闇奈の顔を首元に押し付ける。
闇奈はそれでも躊躇ってる。
お願いだから。
吸ってよ。
吸って、僕とずっと一緒にいてよ。
寂しがり屋の僕の本心が殻を破ってドロドロ溢れてきた。
「いくらでも吸っていいから。だから生きて。僕の血で生きてよ。餌でもなんでもいいから。お願い。僕一人で永遠に生きたくなんかない。一人はいやだ。誰か傍にいてくれなきゃおかしくなりそうだ。だからお願い。吸って僕と生きて」
そう言うと、闇奈は意を決したように噛みついた。
僕の首元にその鋭い犬歯を突き立てて、溢れた血を一生懸命に飲み干した。
ごくごくごくごくと。
鈍い痛みが僕の首元に走る。
そりゃ皮膚を食い破られたのだから当然か。
でもそれもだんだん快感へと変わっていく。
首元から背筋に。
快楽を伝播させていくように。
脳を犯すように。
気持ちいい行為だって身体中にわからせるように。
ドロドロふわふわした快感が体に走る。
次第に立ってるのが辛くなって、ぺたんと地面に座る。
なんだかクラクラする。
体が熱いような気がする。
とろとろ。
身体中に快感が走っちゃって。
まるでどこかにいっちゃうような。
頭の中で何かがパチパチ弾けてる。
弾けて飛んでる。
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