どうしようもない僕は報われない恋をする

月夜

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四章 雪闇ブラッド

ついに迎えた決行日

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俺を視界に入れる。
凪に一生懸命言う。
けれど想像に反して凪は落ち着いていて。
うん、なんてただ相槌を打って、そっか、なんて言った。
何となくこうなる事がわかっていたとでも言いたげに。
それが、理久と凪の歪んだ信頼関係を表しているようで嫌だった。
そんなの表して欲しく無かった。
俺の我儘かもしれないけれど。
そんなのとても嫌で。
とても不快で。
「凪は良いの?」
そう俺は凪に問いかける。
凪は頷く。
その姿に何故かとても苛立って。
嫌がってないなら良いじゃないか。
帰れば良いだけじゃ無いか。
それとも凪の意思なんて関係なく捻じ曲げてしまいたいのか。
そう思ってしまうのは。
「本当は凪じャなくてさァ、あの体に流れる血に恋しただけじャねェの?」
そう頭の中の処刑道具が俺の一番恐れていることを口に出す。
もしも、偽物のガラクタの世界で今まで暮らしていた人間が。
本物の世界を見てしまったら。
それは今までの人生やら何やらを否定する事に繋がると俺は思う。
それが怖いのだ。
それがきっかけでもしも凪が外の世界に染まってしまったら。
そのまま俺がおかしいだとかそう言う事を言って。
俺を否定したら。
そう思うと怖くて仕方なくて。
きっと染まったって理久に対しての態度は変わらないんでしょ、なんて。
根拠のない自信だけがあった。
だって今だって。
凪は理久の事をちゃんと信じてる。
まるで二人の間には見えない絆があるとでも良いたげに。
それがすごくずるくてずるくて仕方ない。
俺にはそんなものないのに。
きっと理久と凪の呪いのせいだ。
呪いの組み合わせが明らかにセットにしか見えなくて。
見えない神様が仕組んだみたいに。
それって運命ってことじゃん。
凪が一番信じているのは理久だから。
己を託しているのも理久だから。
なんでなんて聞いたって、きっと理由すら返ってこないけれど。
そんな二人の絆がとてつもなく憎いと思った。
凪は準備しなくちゃね、なんて呟いて。
部屋の中の凪の私物をトランクの中に詰め込む。
ティーセットをまず最初に放り込んだ。
その後にいくつか魔導書を。
まだ学習出来ていないものを何冊か放りこむ。
そしてチョコレートを二粒。
まるで遠足に行く子供のような準備。
理久は準備に一日あげるから、次の日に行ってね、なんて俺に言う。
凪はそれを聞いて、対して物も持っていないからそんな日にちなんて要らないのに、なんて笑う。
だからその一日は闇奈と俺と理久と奏多を呼び寄せて。
みんなで美味しいものを沢山食べた。
闇奈もそれを聞いた時、少し驚いたけれど。
そっか、なんて呟いて、それだけだった。
出発する日。
凪は理久に対してお別れの言葉を言わなかった。
交わしたのは、
「ね、人間の国に行くのは良いんだけどさ。僕はちゃんとここに戻ってこれるの?」
そう凪が理久に問いかける。
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