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第七章 訣別の祁山
第五十六集 暴龍を討ち取る者
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祁山砦では両軍の将兵が見守る中、趙英と馬超の一騎打ちが続いていた。
いつぞやの枹罕城門前で行われた何冲天と馬超の一騎打ちと同様、一方が直剣、対するは長槍である。
趙英が何冲天とほとんど同じ型の剣法を使う以上、戦いの流れ自体は非常に良く似た展開となっていた。
馬超の繰り出す槍の刺突を避け、懐に飛び込んで斬撃を繰り出す趙英。馬超はそれを避けて距離を取り、槍の間合いへと戻す。
この時の趙英は、その感情のままに内力の全てを、踏み込みと剣の切っ先に集中させていた。刃が馬超に届きさえすれば、それは必殺の一撃となる。だがその身を守る硬身功に一切の内力を裂いていない。馬超の刺突を回避できねばそれは致命傷となる、正に捨て身の突撃であった。
馬超もまた怒りの感情を起点としているが、趙英に比べれば些かは冷静と言えた。自身に有利な距離を測りながら槍で牽制していく。
馬超もまた然る者。西涼の錦と呼ばれたその武は並外れている。それ故に趙英の速さを以ってしても確実に回避する事は不可能で、致命傷は避けていたが、徐々に小さな傷が蓄積していく事となる。
距離を取って後退していく馬超と、それを追って懐に飛び込む趙英という姿は、傍目に見れば趙英が圧しているようにも見えたであろう。
だが確実に傷が増えて消耗しているのは趙英の方であった。紙一重で回避する事で外套や短衣は所々が裂けて血を滲ませる。そうした小さな傷の蓄積で、趙英の服はいつしか流した血で赤く染まっていた。
だがそうまで傷つきながらも、一向に攻め手を緩めようとしない趙英の勢いに、馬超も精神的に恐れを抱き始めていた。
紙一重で避け続けているのは、彼もまた同様である。趙英が内力を防御に割いていないというのは、裏を返せばその一撃に全てを乗せているという事。もしも避ける事が出来なければ確実に命が刈り取られる必殺の一撃なのだ。
早く決着を着けてしまわねばという焦りが馬超にあった。
自身の流す血を気にもせず、野獣の様な絶叫と共に全力の一撃を振るう趙英の一閃を、再び紙一重で避けた馬超は、これまで通り間合いを取ると、勝負を決めるべく今度は自ら踏み込んでいく。
今までの牽制とは違い、馬超の方も相手の命を奪う為の必殺の一撃だ。だが趙英は怯む事なく、その刺突に向かい、冰霄の一閃を以って受け流そうとした。
だが攻撃の重さが違う。いくら趙英と言えど、刺突を流しきる事は出来ないであろう。その一撃で勝負が決まるかに思われたが、双方ともに予期していない事が起こった。
趙英の冰霄が馬超の長槍を払った瞬間、その槍の切っ先が折れて上空へと飛んだのである。
馬超の持つ長槍は、質のいい名槍であったが、潼関の戦いから続く戦いの日々で長く使い続け徐々に損耗していたのだ。何よりも枹罕における何冲天との戦いにて強い内力のぶつけ合いを行った事で一気に限界に近づいた。それが正にこの瞬間、遂に限界を迎えたのであった。
馬超も趙英も、そして何冲天も、全く意図などしていなかったであろう。だが今は亡き黒衣の刺客は、自分を破った趙英の命を間接的に救ったのである。
趙英はその一瞬の隙を逃さなかった。槍を打ち払った勢いのまま身を翻すと、馬超の首を狙い、その青い刃を薙ぎ払った。
龍を模した黄金の兜が宙を舞い、両軍の将兵から騒めきが起こる。
地面に落ちた兜は真っ二つに割れるが、その中身は空であった。
最後の力を出し切った趙英は震える膝をついてその動きを止める。一方の馬超も、間一髪の所で身を逸らして致命傷を避けたが、兜を割られその額から大量の血を流していた。
死は免れたが重傷である事に変わりはなく、眩暈を起こして足元がふらついている。
互いに血まみれの顔で、殺意に満ちた瞳を向け合って動きが止まった。
そんな痛み分けとも言える状況で止まった双方の勝負に周囲が静まり返る中、一騎の将がそこに駆け寄って下馬する。
それは馬超軍最強の猛将・龐徳の姿であった。武都氐への援軍を呼びに行っていた彼が戻ってきたという事は、馬超軍側の援軍が到着したという事。その上に満身創痍の趙英では、とてもではないが龐徳に勝つ事は出来ない。
絶望感を覚える趙英と、思わず笑みを漏らした馬超。
だが龐徳がその表情を崩さぬままに馬超軍の将兵に向かって命じたのは「全軍撤退」であった。その言葉に驚いた馬超が何かの間違いかと訊き返したのであるが、龐徳は祁山砦を指さした。正確には砦の先を……。
そこは既に霧が晴れていた。
砦の正面で戦っていた趙英や馬超は気づいていなかったが、そこには涼州軍の援軍が到着していたのである。
先頭にいるのは莫浪風率いる渭水賊のならず者たちだ。馬超と武都氐への借りを返してやると血気盛んである。
その後ろには西平の閻行と、金城の麹演。
互いに思う所のある両者であるが、共に曹操軍に降った以上は刃を向ける事は出来ないという判断のもと、閻行は西平の軍勢を引き連れて堂々と金城を通過し援軍に馳せ参じたのである。
麹演もまた閻行に出し抜かれてなる物かと、歯噛みしながらも金城の全軍を以って閻行と轡を並べていた。
そして南匈奴の左賢王・多羅克が率いる騎馬部隊もいた。涼州軍の援軍要請を耳にした多羅克は、曹操に恩を売るべきという大義名分を主張して長老たちを説得し、こうして趙英らを救いに来たのである。
そして本命となるのは、夏侯淵が率いる長安駐留軍である。徐晃や張郃と言った名将たちも同行している。正に長安駐留軍の本隊である。
馬超の早すぎる再侵攻は、都にいる曹操への報告と命令を待つ時間を与えてくれなかった。それ故に曹操からの出撃命令を待たずに馳せ参じたのである。
勿論ながら部下の中から命令を待つべきという声も上がっていたが、それを待っていれば、再び涼州を見殺しにする事になりかねないと主張し、反対を押し切って軍を挙げ出兵したのだ。
いつぞや趙英と交わした「涼州の戦況が変わったら必ず助けにいく」という約束を、彼は守ったのである。
各地から集結し祁山砦に殺到する涼州軍の援軍は谷間を埋め尽くさんばかりの大軍勢となっており、龐徳に説得されて馬超軍の援軍に出た武都氐の将たちも、あれでは勝ち目などないと断じ、軍を返して仇池へと戻ってしまったのである。
こうなってしまえば、もう馬超軍には撤退の道しかない。山の上から戦局を俯瞰して見ていた龐徳にはそれがよく分かっていたのだ。
重傷を負って動けない馬超を、部下に命じて運ばせる龐徳。髪を振り乱し、頭から血を流していた馬超は、それでもなお叫び続けていた。
「まだだ! ……まだ終わってない!! 俺はまだ……!!」
悲痛な叫びを上げながら部下たちに後方へと運ばれていく馬超を尻目に龐徳は振り返った。全身から血を流して片膝をつき、青き宝剣を杖代わりにして身を支え、何とか倒れずにいる趙英に向かって。
「趙慧玉……、そなたの勝ちだ」
そう言い残すと、龐徳もまた立ち去って行った。
こうして馬超軍は撤退したのである。
敵軍が立ち去ると祁山砦の城門が開き、そこから趙昂が駆け寄って来る。そして満身創痍の娘の肩を抱いて安否を確認した。
そんな父親に趙英は縋りつき、声を上げて泣いた。弟の仇が討てなかったと。大粒の涙を流して慟哭する娘を抱き寄せ、趙昂は優しく慰めるように言う。
「いいや、この勝利はお前が引き寄せた物だ。お前は確かに討ち取ったんだよ。西涼の錦を名乗った暴龍を……」
馬超軍が立ち去った後の砂地には、真っ二つに割れ砕けた、龍を模した黄金の兜が落ちていた。まるで討ち取られた獣の首の如く……。
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趙英が何冲天とほとんど同じ型の剣法を使う以上、戦いの流れ自体は非常に良く似た展開となっていた。
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この時の趙英は、その感情のままに内力の全てを、踏み込みと剣の切っ先に集中させていた。刃が馬超に届きさえすれば、それは必殺の一撃となる。だがその身を守る硬身功に一切の内力を裂いていない。馬超の刺突を回避できねばそれは致命傷となる、正に捨て身の突撃であった。
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距離を取って後退していく馬超と、それを追って懐に飛び込む趙英という姿は、傍目に見れば趙英が圧しているようにも見えたであろう。
だが確実に傷が増えて消耗しているのは趙英の方であった。紙一重で回避する事で外套や短衣は所々が裂けて血を滲ませる。そうした小さな傷の蓄積で、趙英の服はいつしか流した血で赤く染まっていた。
だがそうまで傷つきながらも、一向に攻め手を緩めようとしない趙英の勢いに、馬超も精神的に恐れを抱き始めていた。
紙一重で避け続けているのは、彼もまた同様である。趙英が内力を防御に割いていないというのは、裏を返せばその一撃に全てを乗せているという事。もしも避ける事が出来なければ確実に命が刈り取られる必殺の一撃なのだ。
早く決着を着けてしまわねばという焦りが馬超にあった。
自身の流す血を気にもせず、野獣の様な絶叫と共に全力の一撃を振るう趙英の一閃を、再び紙一重で避けた馬超は、これまで通り間合いを取ると、勝負を決めるべく今度は自ら踏み込んでいく。
今までの牽制とは違い、馬超の方も相手の命を奪う為の必殺の一撃だ。だが趙英は怯む事なく、その刺突に向かい、冰霄の一閃を以って受け流そうとした。
だが攻撃の重さが違う。いくら趙英と言えど、刺突を流しきる事は出来ないであろう。その一撃で勝負が決まるかに思われたが、双方ともに予期していない事が起こった。
趙英の冰霄が馬超の長槍を払った瞬間、その槍の切っ先が折れて上空へと飛んだのである。
馬超の持つ長槍は、質のいい名槍であったが、潼関の戦いから続く戦いの日々で長く使い続け徐々に損耗していたのだ。何よりも枹罕における何冲天との戦いにて強い内力のぶつけ合いを行った事で一気に限界に近づいた。それが正にこの瞬間、遂に限界を迎えたのであった。
馬超も趙英も、そして何冲天も、全く意図などしていなかったであろう。だが今は亡き黒衣の刺客は、自分を破った趙英の命を間接的に救ったのである。
趙英はその一瞬の隙を逃さなかった。槍を打ち払った勢いのまま身を翻すと、馬超の首を狙い、その青い刃を薙ぎ払った。
龍を模した黄金の兜が宙を舞い、両軍の将兵から騒めきが起こる。
地面に落ちた兜は真っ二つに割れるが、その中身は空であった。
最後の力を出し切った趙英は震える膝をついてその動きを止める。一方の馬超も、間一髪の所で身を逸らして致命傷を避けたが、兜を割られその額から大量の血を流していた。
死は免れたが重傷である事に変わりはなく、眩暈を起こして足元がふらついている。
互いに血まみれの顔で、殺意に満ちた瞳を向け合って動きが止まった。
そんな痛み分けとも言える状況で止まった双方の勝負に周囲が静まり返る中、一騎の将がそこに駆け寄って下馬する。
それは馬超軍最強の猛将・龐徳の姿であった。武都氐への援軍を呼びに行っていた彼が戻ってきたという事は、馬超軍側の援軍が到着したという事。その上に満身創痍の趙英では、とてもではないが龐徳に勝つ事は出来ない。
絶望感を覚える趙英と、思わず笑みを漏らした馬超。
だが龐徳がその表情を崩さぬままに馬超軍の将兵に向かって命じたのは「全軍撤退」であった。その言葉に驚いた馬超が何かの間違いかと訊き返したのであるが、龐徳は祁山砦を指さした。正確には砦の先を……。
そこは既に霧が晴れていた。
砦の正面で戦っていた趙英や馬超は気づいていなかったが、そこには涼州軍の援軍が到着していたのである。
先頭にいるのは莫浪風率いる渭水賊のならず者たちだ。馬超と武都氐への借りを返してやると血気盛んである。
その後ろには西平の閻行と、金城の麹演。
互いに思う所のある両者であるが、共に曹操軍に降った以上は刃を向ける事は出来ないという判断のもと、閻行は西平の軍勢を引き連れて堂々と金城を通過し援軍に馳せ参じたのである。
麹演もまた閻行に出し抜かれてなる物かと、歯噛みしながらも金城の全軍を以って閻行と轡を並べていた。
そして南匈奴の左賢王・多羅克が率いる騎馬部隊もいた。涼州軍の援軍要請を耳にした多羅克は、曹操に恩を売るべきという大義名分を主張して長老たちを説得し、こうして趙英らを救いに来たのである。
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馬超の早すぎる再侵攻は、都にいる曹操への報告と命令を待つ時間を与えてくれなかった。それ故に曹操からの出撃命令を待たずに馳せ参じたのである。
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