婚約破棄されたので、隠していた力を解放します

ミィタソ

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元婚約者様、ご機嫌いかが?

十二話 呼び出し

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「……セシリア・バートレイはいるか?」

 ギルド内が一瞬、静まり返る。

 王宮の騎士がギルドに来るなんて、そうそうあることじゃない。ましてや、私を名指しで探しているとなれば、周囲の冒険者たちがざわつくのも当然だった。

「……お前、何かやらかしたのか?」

 隣にいたミアが、こっそり耳打ちしてくる。

「心当たりは……なくはないけど、別に悪いことはしてないわ」

「ならいいけど……まあ、王宮の連中が来るってことは、面倒な話かもな」

 ミアが呆れたように肩をすくめる。

 王宮が私に何の用かは分からない。でも、なんとなく”ろくでもない話”の予感がする。

 私は一度深呼吸して、騎士の前に出た。

「私がセシリアです。何か御用でしょうか?」

 騎士は私を確認すると、鋭い目でじっと見つめてきた。

「王宮よりの命により、貴女をお連れする」

 やっぱり、王宮絡みの話か……。

 私は静かに尋ねた。

「どなたの命令ですか?」

「第一王子、アレクシス殿下だ」

 その名を聞いた瞬間、私は眉をひそめた。

(……今さら、何?)

 一方的に婚約破棄を告げ、私を見捨てた彼が、なぜ私を呼び出す?

 ただの嫌がらせ? それとも、他に理由が?

 いずれにせよ、無視はできない。

 私は小さく息をついた。

「分かりました。行きましょう」

***

 王宮に到着すると、すぐに案内されたのは、豪華な応接室だった。

 しばらく待っていると、扉が開く。

 入ってきたのは――

「久しぶりだな、セシリア」

 金色の髪を整え、貴族らしい端正な顔立ちをした男。

 かつての婚約者、アレクシス・フォン・ルーベルトだった。

 彼は私を見下ろすように微笑んでいる。

「まさか、ギルドで生きているとはな」

 その言葉に、私は静かに微笑み返した。

「ええ、おかげさまで。貴族ではなくなりましたが、楽しくやっています」

「……そうか」

 アレクシスの笑みがわずかに引きつったのを、私は見逃さなかった。

(何が目的……?)

 王宮に呼び出しておいて、ただの世間話のはずがない。

 そして、彼はゆっくりと口を開いた。

「単刀直入に言おう。――お前を、王宮に戻したい」
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