脱衣ゲームでカップル成立 ~史上最強の淫魔、光堕ちしてキューピッドになる~

平良野アロウ

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第六章

第205話 無双将棋・4

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「さて、ではまず邪魔な物をどけようか」

 全裸にされたテーミアとマリンを、ルナティエルはステージ脇に動かす。
 当然、佐奈達にしたように四つん這いで尻を突き出したポーズをさせられる。ルナティエルによって使い込まれたアナルが、衆目に晒されるわけである。

「自分の恋人にも容赦無しか……」
「どうだ茂、俺の女は人間どもと違って綺麗なアナルしてるだろ?」

 ルシファーの苦言を無視して、ルナティエルは鼻高々に言う。

「王手!」

 その瞬間、突然響子が叫んだ。とにかく今の空気を壊したかったのだ。

「無敵化を付与した桃井さんを38に打ちます。これで王手です」



『今だ、リリム』

 ルシファーの指示で、ステージ脇にいた宏美にリリム作の衣装が着せられる。

「ん……何?」

 意識を取り戻した響子は起き上がり、瞼をパチパチさせた。
 そしてこの高熱の時に見る夢のような意味不明の光景に、佐奈同様に困惑。

「よし、響子ちゃん説明!」
「は、はい!」

 ハイレグシスター佐奈がビシッと指示を出し、響子は宏美に現状を説明。宏美はとりあえず納得してくれたようだ。

「うん、流石響子ちゃん。沢山本読んでるだけあって説明が上手い!」
「そ、それはどうも……」
「で、協力するのはいいんだけど、この格好は何? 佐奈も下半身きわどいし田村さんに至ってはただの下着だし」

 宏美は響子よりは多少ある程度な自分の胸に手を当てて言う。
 今回リリムが宏美に着せた衣装はファンタジー女戦士の王道、ビキニアーマーである。
 腕部と膝から下はそれなりにちゃんとした防具を付けてはいるが、肝心の胴体は申し訳程度に胸部と腰部だけをピンク色したビキニ状の金属鎧で覆うのみ。お腹丸出しで防具としては非常に心もとない代物だ。
 トップスはBカップの薄胸を盛ることなくそのままのサイズで際立たせ、ボトムスはローライズ気味でお尻側は最低限しか隠しておらず形の良い桃尻が殆ど丸出し。こちらもこちらで佐奈に劣らぬエロ衣装である。

「いやー……なんか知んないけどこんな衣装着せられちゃって」
「わ、私は元々は割とちゃんとした鎧で……」

 ミニスカート穿かされてたとはいえ、宏美のと比べたらちゃんとしていたという意味である。

「……で、とりあえずあの光ってるマスに行けばいいんだよね」
「うん」

 胸に手を当て申し訳程度に隠しながらこそこそと移動した宏美は、茂のすぐ側にある所定の位置に立つ。
 例によってじろじろ見てくる洗脳茂には、許容し難い嫌な気持ちにさせられた。

(こいつのこと好きになってただなんて……)

 元々別の好きな人がいた宏美にとっては、尚更受け入れ難いことであった。

 そして無敵化した宏美により進路を一つ塞がれた茂であるが、全く動じる様子はない。

「言っとくけどそこ塞いだって無駄だよ。ここからでも余裕で金を取れる」



 茂は28王を39で銀を取ってからの49に指して金ことレイエルを取る。本物の幼女のようにパイパン幼児体型な合法ロリの裸体が露となった。
 そしてそれに伴い、もう一つ脱げる衣服がある。響子の悲鳴。白無地の地味ブラが弾け飛んで消滅し、レイエルとどっこいなサイズの胸が衆目に晒された。
 あばらの浮き出た痩せ体型に、濃ピンクの小さめ乳首。元々低めの背丈もあって脱いだ印象は幼げに感じられるものだ。
 ロリキャラらしい見た目作りを頑張っているレイエル二十九歳からしてみれば、かなり羨ましい話だろう。尤も今の彼女は自身の意識を無くしている状態なので、そう思うこともできないわけであるが。

「響子ちゃん! 大丈夫!?」
「う、うん……」

 響子は顔を真っ赤にし目には涙を浮かべ、掌で胸を隠しうずくまった。
 丁度歩の兵士人形が並んでいる位置で裸体を隠すにはもってこいであるが、上半身裸にパンツ一丁で男の兵士人形に囲まれている状況はこれはこれで焦燥感に駆られた。

 例によってレイエルは例のポーズでステージ脇にどけられた。ルナティエルの使用済みアナルが三つ並んでいる姿は、嫌にシュールな光景だ。

「どうするの響子ちゃん、何か手はある?」

 佐奈に尋ねられた響子は、しゃがんで膝に胸を隠した姿勢のままじっと盤面と睨み合っていた。

「多分こうしたら……賭けにはなるけど……」

 自分自身を示す王の駒に指先で触れ、どこか躊躇いつつも73の歩を取って、そこから一気に自陣に戻り78へ。



 やはり響子自身の足で進まなければならず、進路に沿ってマスが発光した。
 立ち上がるには勇気がいる。だけど今はやらねばならない。この歩みの先に希望が見えたから。
 兵士人形を倒すにも自ら攻撃を仕掛けねばならず、響子は右手を胸からどけてぽこんと軽く触れた。兵士人形が砕け散ったことで自陣への道が開かれる。
 パン一の姫騎士は自陣へと舞い戻り、いよいよ敵の王を追い詰めた。

「挟み撃ちだね、田村さん」

 宏美の言葉に、響子は無言で頷いた。
 茂をじっと見つめる視線には、怒りと憐れみが入り混じる。
 対して茂は、何やらうずうずした様子を見せていた。

(僕にはルナティエル様の与えてくれたハーレムがあるんだ。今更響子の裸なんて見たって、何も……)

 そう自分に言い聞かせながらも、不思議と視線はチラチラと響子に向いてしまっていた。
 下はもっさいパンツ一丁。上は裸に両手で胸を隠したのみ。視線が吸い寄せられてしまうのも致し方ないことだが、茂の洗脳人格にとってそれは認め難いことであった。
 なお、茂はまだ響子の乳首を見られていない。兵士人形を殴る瞬間手が胸から離れていたわけだが、その時は響子軍の兵士人形が丁度目隠しとなっていた。そしてその後はすぐに胸を隠してしまっていたためである。

(フン、別にどうだっていい。それよりも……どうやら響子は致命的なミスを犯したようだ。これで僕の勝ちは確定……)

 茂は盤上の49王を69に移動させ二つ目の金ことローザリアを取る。これで響子の無敵は解除。そして二回目の行動で78玉を取る。これで茂の勝利だ。

「終わりだ響子! お前もルナティエル様に従え!」

 剣を抜いて駆け出した茂は、勢いをつけてローザリアを一刀両断。最後の四天王も全裸に剥いた。
 だが茂の視線は、激しく揺れるGカップに見向きもしなかった。
 同時に弾けて消えた響子の地味ショーツ。そこから現れたのは、自然のままのアンダーヘア。生えている範囲こそ比較的狭い方であるものの、もじゃもじゃの毛が茂った様子は特に手入れとかしていなさそうな節を感じさせる。

(見えた!)

 茂が目を見開き、響子は悲鳴を上げて右手を股間に当てる。それによって今度は左胸が丸見えとなり、濃ピンクの小さめ乳首が露となった。
 すっぽんぽんに眼鏡だけ。名実ともに無防備そのものと化した響子へ、いよいよ茂は凶刃を振るおうとする。
 異変に気付いたのは、その時だった。

(……何だ? 何故動かない?)

 69のマスから79のマスへ、斜めに移動しようとする脚が動かない。69のマスから外に出られない。

(一体どうなっている!? ルシファーが何かイカサマでもしたのか!?)

 ルシファーは何もしていない。
 その正体は洗脳人格によって心の奥底に封じ込められた本当の茂の人格が、響子への加害をさせまいと抗っている――わけでもない。
 そのようなルールを超越した行為は、今は一切行われていなかった。
 理解ができずただ戸惑う洗脳茂に、響子は言い放つ。

「最初に説明されたよね? 両方の無敵が切れた時、二回行動の能力も無くなると。だから貴方は金の駒を取った時点で二回目の行動ができなくなり、手番を終了した」
「あ、あああああ……」



 今になって思い出したルール。たとえちゃんと説明を聞いていても、終盤にならなければ適用されないそのルールはどうしても意識せずにプレイを続けることになる。そうしていればその時が来ても自然と存在を忘れてしまうものだ。
 そしてそれこそが、響子の狙いであった。茂は見事に引っかかり、響子の手前で足を止めることとなった。それは即ち、茂の詰みを意味している。
 たとえ洗脳されたとしても、凡人は凡人。勝負の決め手となったのは凡ミスであった。
 敗北に震える洗脳茂を前にして、響子は何かを決意したかのように深呼吸。そしてゆっくりと、胸と陰部から掌をどけた。それは身も心も包み隠さず本心を明かすという意思表示だ。
 乳首と陰毛をあえて見せてくる響子の姿に、茂はあんぐりと口を開けた。響子の顔は耳まで真っ赤に染まり、身は羞恥に震えていた。

「……聞いて、茂君。私は茂君が好き」

 愛の告白。間近で見ていた宏美はぐっと拳を握って目を輝かせ、離れた位置にいる佐奈は兵士人形の間からどうにかあちらを見られないかと頑張っていた。

「でも、私が好きなのは貴方じゃない。優しくて一緒にいて落ち着く茂君が好き。だから……」

 両腕を広げ、茂のいるマスへと一歩踏み出す。心が一歩踏み出したのを、その身を以って表すかのように。そしてその両腕で包み込むように、茂をぎゅっと抱きしめた。
 抱きしめても押し当てられるほどの胸は無いけれど、それでも鼓動や体温は茂に伝わる。そして、想いも。

「元に戻って、茂君」

 きゅっとホールドしたそれがゲームのルール上は攻撃と判定され、茂の纏う王様の衣装が砕け散る。響子と同じ一糸纏わぬ姿となった茂は、肌と肌とで密着していた。



「きょ、響子……わ、わあっ、離して! 色々当たってるから!」

 洗脳されていた時とは明らかに違う声色で、茂は慌てふためき声を上げた。
 ばっとハグを解いた響子は、改めて茂の顔を見る。自分と同じくらい顔を真っ赤にした茂の表情は、響子のよく知るいつもの茂。優しく柔和で、どこか頼りない。そんな顔をしていた。
 だけども響子の視線は、その後すぐに下に向いた。茂の服が砕け散った瞬間から、それが自分のお腹に当たってる感触は感じていた。
 幼馴染の裸体にいきり立つそれは、平凡を絵に描いたようなルックスに反して結構ご立派なサイズ。思わず視線を釘付けにされる、不思議な魅力を放っていた。

(茂君の……おちんちん)
「きょ、響子!?」

 茂が慌てて股間を手で隠すと、響子もはっとしてしゃがみ込み自分の裸体を隠した。

「あっ、ご、ごめん……」
「僕の方こそ……ごめん」

 互いに照れて視線を逸らしながら謝ると、途端にぽんと二人に制服が着せられた。
 同時に宏美と佐奈もエロコスから制服に変わり、残りの二人やルナティエル一派の面々にも服が着せられた。同時に兵士人形は一斉にすっと消える。
 演出上は破損した上で消滅した各自の衣服だが、実際はルシファーが預かっていたのである。

「あ、服戻った」

 マスからも自由に出られるようになったので、佐奈は小走りで宏美の所へ。二人で響子達の様子を見守る。
 ようやく互いを直視できるようになった響子と茂は、改めて互いを見合った。顔の赤みはまだ引かず、服を着ても互いの裸体が脳裏に思い起こされる。
 緊張に視線を泳がせながらも、茂は意を決して声に出す。

「僕も……響子が好きだ。ずっと想いを伝えられなかったのは僕も同じだ。幼馴染の関係が壊れるのが、怖かったから……」
「何を言っている茂!!」

 甘い空気を引き裂くように、ルナティエルの声が領域に響いた。暫くは黙って見ていたようだが、洗脳を解かれた茂が自身の想いを認めたことが彼の逆鱗に触れた。

「普通ならお前には絶対に手が届かない高嶺の花を四人も用意してやったのだぞ。それなのにお前は、そんな手頃な女で手を打とうというのか」
「響子は僕の大切な幼馴染で、ずっと好きだった人だ。これが僕の本当の気持ちだ」
「お前はルシファーに洗脳されているんだ。本当の欲求を、男の本能を思い出せ」
「僕はもう、お前には従わない」

 頼りない顔を精一杯険しくして啖呵を切る茂と、それに寄り添う響子の下腹部が仄かに光る。ルシファーの紋章が刻まれたのだ。

「カップル成立おめでとうございます。お二人に私から天使の祝福を。これでもうあなた方は、ルナティエルのような輩に狙われることはありません」
「ルシファーさん、ありがとうございます」

 響子が頭を下げると、それを見た茂も慌てて続いた。

「やったね響子ちゃん!」
「おめでとう!」

 佐奈と宏美が駆け寄る。目を覚ました綾芽と奈々は現状に混乱している様子。

『リリム、生徒達と共にお前も元の世界に転送する。お前には混乱している生徒達のケアを頼みたい』
『先生は?』
『俺はここに残り、ルナティエルを討つ』
『……わかった。絶対に勝って戻ってきてね。約束だよ』

 リリムはマントの下でルシファーのペニスを下着の中に仕舞ってあげると、スラックスのファスナーを上げた。そして自分の身に魔法で制服を纏い、元の世界に戻る準備は万端だ。
 リリムの準備が整ったことを察知したルシファーは、早速皆を転送。十一名が一斉にすっとこの場から消え、ルシファーとルナティエルのみが残された。

「お前の手下達もアジトに帰してやった。巻き込まれては不憫だからな」
「ほう、この俺と戦う気満々ということか。いくら貴様でも、この俺に脱衣ゲームなんぞが通じないことは理解しているようだな」

 圧倒的な力の差の前には、淫魔領域のルール強要は意味を成さない。脱衣ゲームが通じないというルナティエルの言葉は正しかった。

「お前がその気なら話は早い。ここは小細工抜きに、男らしくタイマンバトルといこうじゃないか」

 ルナティエルの手に握られたリボルバー式拳銃――ルナティエルが自分にとって使いやすい形に改造したキューピッドの弓矢が、ルシファーの眉間を捉えた。
 ルシファーはマントを脱ぎ捨て、背中の翼を大きく広げる。舞い散る羽根の中から一枚を後ろ手に人差し指と中指で掴み、すると途端に羽根は姿を変えた。
 羽根を媒介に変化させて作り出した得物は、夜の帳の如き漆黒の刀身を持つ日本刀。ルナティエルからの決闘の求めに応じるかの如く、ルシファーはそれを構えた。
 白き翼と黒き翼。武器を構えて睨み合う二人のキューピッドの間には、光と闇の力の脈動が激しく渦巻いていた。

 最終決戦の火蓋は今、切って落とされた。
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