れぷたいるず!~転生先の異世界は爬虫類がヒト化した世界でした~

桜蛇あねり

文字の大きさ
7 / 18
第一章 ティタノボアの箱庭世界

7.ミィの夢

しおりを挟む
所狭しと、店や家が立ち並ぶ石畳の道を進んでいくと、街のはずれへとたどり着いた。

家が少なくなり、草木の数が増えてくる。

「この世界で夢を叶えるためには、お金が必要になる」

道中、ミィはさらにこの世界での生き方について教えてくれた。

「お金の概念あるのか、ここの世界にも。お金の単位は?円?ドル?ペソ?」

「ゴールド、だ」

うぅん、さっきの街並みといい、お金の単位といい……。

絶対ここの創造者、人間社会じゃなくて、そこで親しまれてきたの漫画やゲームの世界観を投影してるだろ。

なーにが『少しファンタジーな要素も入れたけど』だ。

これじゃ、『ファンタジーな世界に人間社会の要素を取り入れた』っていう表現の方が正しいぜ…。


「ふぅん、ゴールド、ねぇ。んで、俺らはきちんと働いて、そのゴールドを稼ぎ、生きるための衣食住を手に入れないといけないわけだ」

「いや、お金がなくても、この世界で生きていくことは可能だ」

「え?そうなの?」

「先ほどの祠の転移先の一つに『食料の森』という場所がある。ここで最低限の食料を調達することはできるし、住む場所と衣服は、転生の際に与えられるんだ」

な、なんだと…?

じゃあなんだ、ここでは働かなくても生きていくことができるのか…?

なんという素晴らしい世界なんだ…っ!

ならば、働かず好きなことだけして生きていけばいいじゃないか!


「じゃあお金なんていらねぇじゃん。なくても生活できるんだからさ」


「あくまで、『最低限の生活』だ。生きるだけが目的なら、それでもいいだろう。だけど、ここには様々な夢や目標を持って生活している者がほとんどだ。おいしいものを食べたい、強くなりたい、綺麗な服を着たい、大きな家に住みたい、といったものだな」


「そうか、そういったプラスアルファの部分でお金が必要だから、みんなお金稼ぐのか」


「そういうことだ」


なかなか面白い作りにしたもんだ。

人間社会では、生きるためにお金を稼がなければならなかった。

そしてその稼いだお金で生きていくのが精いっぱいだった。

だけど、ここでは違う。


『生きるため』ではなくて、『夢を叶えるため』にお金を稼ぐ。


どうやって生きていこう、と考えなくてもいいのだ。



「ミィは叶えたい夢があるのか?」


俺がミィに聞くと、彼女は「あぁ」と軽くうなずき、たたっと駆け出した。

「あ、ミィ!」


彼女が向かう先には、1軒の小屋が立っていた。

コテージのような二階建ての木造の小屋。

控えめな赤茶色の三角屋根に、入り口には広いテラス。

その小屋を覆うように、背の高い木々が青々とした葉を広げている。



その小屋の前で立ち止まり、ミィは振り返った。

そして、



「これが、私の夢だ、マコト」



目を輝かせ、満面の笑みで、希望にあふれる声で告げた。



「私の夢は、世界一のカフェを経営することだ」



世界一のカフェを経営する―――。


それが、ミィがこの世界で叶えたい夢。


「そのためには、人間の力が必要なんだ。マコト、君の知恵を貸して欲しい。一緒にカフェを経営して欲しいんだ!」


「世界一のカフェ、ね。ハハ、かなり大きく出たな」


「目指すところは高い方がいいだろう?」


「そうだな。そういう野心を持つ奴、俺は大好きだ」


いい夢だ。

俺も、その夢に乗っからせてもらおうか!


「よし、わかった!俺の力がどこまで手助けできるかはわからないが、全力で力になるよ。目指すは、世界一、だな!」


俺の言葉に、ミィはさらに笑顔になった。

あぁ、なんて魅力的な笑顔なんだ。


「ありがとう、マコト!」


ミィの隣に立ち、カフェとなるその小屋を見つめた。


どんな素敵なカフェにしようか、考えを巡らせながら。






「さて、マコト。中に入ろっか」

ミィは、小屋のドアをあけ、中へと入っていった。

俺もそれに続く。


中へ入ると、奥に一人の少女の後ろ姿が見えた。


ミディアムヘアで、髪色は明るい黄色。

身長はミィよりも少し小さいくらい。



「ただいまー!」


ミィが声をかけると、その少女はこちらを振り返った。


大きなグレーの瞳、縦に長いスリット状の細い瞳孔。

そして頬はイボイボの肌。


「……っ!」

俺は息をのんだ。


もしかして……、


「ミィちゃん、おかえ……」


視界に入ったのがミィだけでないことに気づき、少女は言葉を切った。


俺の姿を見た彼女は、首を少しだけ右に傾けて、俺の瞳を見つめる。


そのしぐさに、俺は心臓が跳ねるのを感じた。


そのしぐさ、間違いない……。



俺は、その少女の名を呼んだ。



「ティフィン……?」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

処理中です...