れぷたいるず!~転生先の異世界は爬虫類がヒト化した世界でした~

桜蛇あねり

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第一章 ティタノボアの箱庭世界

6.ミナミの街

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それから俺は、ミィに案内され、森の奥までやってきた。

さっきニホンカナヘビの少年が去っていた方向とは逆の方向だ。

木々が並ぶ景色がしばらく続いた後、ぽつんとたたずむ小さな祠のような建物があった。

「ここに、私の住む街”ミナミの街”へと転移できる魔法陣がある」

ミィに連れられて祠の中に入ると、いかにもというか、かつてプレイしたRPGゲームに出てくるような、そんな魔法陣が中心に描かれていた。

赤い光を放っている。

「それじゃ、先に行ってその場で待ってて。すぐに私も行くから」

「これ、大丈夫だよな?俺、魔力とか持ってないけど、なんか変なことになって死んだりしないよな?」

急に躊躇しだした俺を、

「はい、いってらっしゃーい!」

「へ?わ、わ、うわああああああ!」

ミィは強引に背中を押し、魔法陣の中に放り込んだ。


身体が分解されるような、感じたことのない感覚が俺を襲う。

痛みは感じないが、自分の身体が自分のものじゃないように思えてくる。

身体が消え去ってしまうのではないか、という恐怖が浮かび上がってきた刹那、その感覚はなくなった。

「あ……ここは……」

転移が完了したらしい。

先ほどとは違う、オレンジ色の光を放っている魔法陣の中心に俺はいた。

ここも祠のような建物の中なのか、内装は先ほどまでいた場所とあまり変わっていなかった。


ティタノボアは、この世界を人間の世界を模して創った、と言っていたが、その際に『人間世界にはないファンタジーの要素もいれている』とも言っていた。

ここに来る前の”誕生の森”で、ミィとニホンカナヘビの少年が戦闘を繰り広げていた時も、彼らはどこから携えていた武器ではなく、武器を召喚か何かで出現させて、それで闘っていた。

そしてこの転移の魔法陣。


おそらくこの世界には、現実にはない魔法の要素みたいなのも存在する、ということだろう。


「ってことは、俺もいずれは魔法を使うことができるのか!?」

俺は自分の両手を眺めた。

火を操ったり、雷を起こしたり、闇の魔法で闘ったりできんのかな?

もしくは、ミィみたいに、自分の武器を召喚したりすんのかな!?

もしかしたら、自分の姿をドラゴンのように変化させたりもできるのかな!?!?



「俺、この世界で一番の魔法使いに、なれたりするのかなぁぁぁ!!」




「一人で盛り上がっているところ悪いが、人間は魔法の類を使えない」



俺の期待の雄たけびを、魔法陣から転移してきたミィがばっさりと否定した。


「え…?使えないの…?俺、魔法…」


俺の胸の中で、期待の風船が音を立ててしぼんでいった。


「魔法、というか能力、だな。私たち爬虫類は、この世界に転生する際、一つの能力を与えられる。魔法系、召喚系、能力操作系……様々な種類の能力があるが、だいたいは自分のモルフから連想される能力を与えられていることが多い」


「爬虫類の特権かぁ……。えー、じゃあ人間の存在意義なにもなくないか?爬虫類たちを護ることもできない…っていうか、護られる立場ってことになるじゃん。お荷物じゃん…」


あぁ、魔法の力で強くなって、カッコよく爬虫類たちを護る人間になりたかった…。

しゅーん、とあからさまに落ち込んでいる俺に、ミィはそっと近づいて、優しく笑う。

「人間には、私たちを導く能力がもともと備わっている。本能的ではない、冷静かつ精密な思考ができるのは人間の特権だ。私たち爬虫類は、それを求めているんだ」

「導く、力……?」


「今はまだ理解できないと思うが、ここで暮らしていたらわかってくると思う。まずは、ここの世界での生活に慣れるのが、マコトにとって優先すべきことだ」


ミィはそう言って、俺の手をとり、祠の外へ連れ出した。


眩しい光に一瞬視界を奪われ、とっさに目を閉じる。


「ようこそ、私たちの住む街、『ミナミの街』へ」


慣れてきた目をゆっくりと開けると、そこにはファンタジー世界の街並みが広がっていた。


中世ヨーロッパの建築を参考にデザインされた、石畳の道に、様々な色の家々。

ゲームの中でしか見たことのない、美しい世界が広がっていた。


「ここが、これから俺が暮らす街、か」


目の前の道には、多くの爬虫類たちが行きかっている。

皆、ヒトの形をしているが、爬虫類特有の瞳や肌が爬虫類の面影を残している。



ここが、爬虫類の世界。



「さて、マコト。君にはいろいろとやって欲しいこととか、これからどうやって生活していくのか、とか、説明しないといけないんだけど、まずは私たちが暮らすことになる場所へ来て欲しい」


街並みに目を奪われている俺の前に、ミィが視界を遮るように立ちはだかった。


「あぁ、そうだな。ミィ、案内してくれ」


「それから、着いてから紹介するけど、すでに一緒に暮らしている仲間が一匹いてな」


「お、そうなのか?」


「この世界で出会って、仲良くなった一番の親友だ。マコトとも仲良くなれるだろう」


「わかった。ちなみに、その子の種族は?」


「ふふ、それは彼女から直接聞いてくれ。たぶんマコトなら一目見れば当てられると思うがな」


さあ行こうか、とミィは歩き出す。

彼女、というから女の子か。

一体どんな子なのだろうか。


この先の出会いに期待しながら、俺はミィのあとを追うのだった。


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