れぷたいるず!~転生先の異世界は爬虫類がヒト化した世界でした~

桜蛇あねり

文字の大きさ
10 / 18
第一章 ティタノボアの箱庭世界

10.街の様子

しおりを挟む
俺は、ミィとティフィンに連れられ、再びミナミの中心街へと足を踏み入れた。

夕日が街をオレンジ色に照らしている。

そんなオレンジ色の街は、先ほど見た時よりも多くの爬虫類でにぎわっていた。


「この時間は人が…いや、爬虫類が多いんだな」


俺はきょろきょろと周りを見渡す。

大きさも髪色も肌の感じも、様々な爬虫類たちが行き交っている。

彼らは周りと言語を交わし、コミュニケーションをとりながら楽しそうに笑い合っていた。


「そうだね、この世界で一番メインのイベントが夜にあるからね」


俺の右を歩きながら、ティフィンは言った。

「イベント?」

「そう。特に今夜はちょっと大きめのがあるんだよ」

「ほぉ?ちょっと大きめのイベント、ねぇ?なんだよ、それは」

「えっとね、」

俺が聞き出そうとしたとき、




「んだよ、っざけんじゃねぇよ!」




背後から大きな怒号が聞こえた。

俺たちは立ち止まり、声の方を振り返る。


街の広場のような場所で、2匹の爬虫類がにらみ合っていた。


片方は、大きな体躯に茶色の短髪、頬には小さな鱗が並んでいる、オスの爬虫類。
おそらくトカゲ……体の大きさがもとの爬虫類に比例するというのであれば、モニター(オオトカゲ)の類だろうか。

表情には怒りが浮かんでいて、先ほどの怒号は、彼から発せられたものだろう。


もう一方には、灰色の髪に、スリット状の瞳孔の瞳を持っている、こちらもオスの爬虫類。
頬のイボイボから見て、こちらはヤモリだろうな。

こちらは、冷静な様子で、相手をじっと見つめていた。

「150ゴールドで買うっていう約束だろうが。とっとと150ゴールド出せ!」

「いやいや、何をいってるのかな?ここまで傷物だとは思わなかった。この傷を差し引いたら50ゴールドがいいところだろ。50ゴールドで買うよ」

2匹は、何やらブローチのようなものをめぐっていい争いをしているようだ。

「何と言おうと、僕は50ゴールド以上は出さないよ」

「てんめぇ……!」

モニターっぽい彼が、右手にナイフを出現させた。

それを見て、ヤモリっぽい方も、両手を前へ出して、戦闘態勢をとる。


「お、おい、なんか喧嘩が始まりそうだぞ!?止めないと!」


こんな往来で戦闘なんてしたら、いろいろと被害が出てしまうはずだ。

それに、暴力では何も解決しない。話し合えば、きっと…!


止めようと走り出そうとした俺を、

「マコト、ストップ」

ミィが腕をつかんで制した。


「ちょ、だってあれ、今すぐにでも戦闘になるよ!?」


「いいんだ、あれで」


「え?」


俺があっけにとられている目の前で、2匹の周りにいた爬虫類たちは皆、後ろに下がり、彼らから距離をとった。

そのまま、まるで2匹の戦闘を観劇するかのように、面白そうに眺めている。


大勢の好機の目線の中、2匹は動き出した。


「くらえぇぇっ!」

「はあっ!」


モニターが、怒りに任せてナイフを振り下ろす。

ヤモリは瞬時に砂の壁を展開し、その一撃を受け止めた。


荒々しい戦闘が繰り広げられた。


「マコト」


2匹の戦闘を唖然として見つめる俺に、ミィが話しかけた。

俺ははっとして、ミィの方を見る。


「私とマコトが出会った時もそうだっただろう?この世界では、強い者が全て。何事にも、もめたら強さで決める」


あぁ、そう言えば、と俺はミィと出会った時を思い出した。

あの時も、俺を巡ってニホンカナヘビの少年と戦闘を繰り広げていたな。

それは、こういう日常でも繰り広げられる掟、ということか…。




「ここでは、こういう戦闘は日常茶飯事だよ。誰もが、自分の強さに誇りを持ってて、それを示したいって思ってるんだ」

横から俺の顔を覗き込みながら、ティフィンが楽しそうに言う。

ふと、そのティフィンの瞳に、鋭い光が宿ったような気がした。


「ん…?ティフィン…?」


「さぁて、ぬし!とりあえずわたし達は街の探索に行こっ!」


「え、あ、あぁ…」


今のは何だったのだろうか。

どこかで見たことのある、ティフィンのあのまなざし。



あのまなざしが何を意味していたのか―――

それを俺が知るのは、少し先の未来のことだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

R・P・G ~転生して不死にされた俺は、最強の英雄たちと滅ぼすはずだった異世界を統治する~

イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の取材中、異世界の大地の女神と接触する。 そのまま半ば強制的に異世界へと転生させられた彼は、惑星そのものと同化し、“星骸の主”として不死の存在へと変貌した。 だが女神から与えられた使命は、この世界の生命を滅ぼし、星を「リセット」すること。 凛人はその命令を、拒否する。 不死であっても無敵ではない。 戦いでは英雄王に殴り倒される始末。しかし一つ選択を誤れば国が滅びる危うい存在。 それでも彼は、星を守るために戦う道を選んだ。 女神の使命を「絶対拒否」する不死者と、裏ボス級の従者たち。 これは、世界を滅ぼさず、統治することを選んだ男の英雄譚である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

悪役令嬢の騎士

コムラサキ
ファンタジー
帝都の貧しい家庭に育った少年は、ある日を境に前世の記憶を取り戻す。 異世界に転生したが、戦争に巻き込まれて悲惨な最期を迎えてしまうようだ。 少年は前世の知識と、あたえられた特殊能力を使って生き延びようとする。 そのためには、まず〈悪役令嬢〉を救う必要がある。 少年は彼女の騎士になるため、この世界で生きていくことを決意する。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

処理中です...