25 / 53
社長の奴隷.25
しおりを挟む
「ああっ、不機嫌になると、唇の端が少しだけキュッてなるんだよね。たまらんな~」
「やめろ、それ以上言ったら二度と口をきかんぞ」
「そんなあ、俺の一番の楽しみを・・・。分かったよ、心の中だけで楽しむから、許してください」
こんな自分のどこを気に入っているのか理解に苦しむが、美住はとにかく信楽には弱い。
「それでも十分気持ち悪いけどな」
「で、誠之助は就活の方はどうなんだよ。やっぱIT関係なんだろ?競争率高いぞ~」
「分かってるよ・・・。まあ、ボチボチな」
「ボチボチって、もう今全力出さないと、いいとこ行けないぞ」
「いいんだよ。俺は、今もっと大事なことがあるから」
うっかり言ってしまってから後悔した。
就活よりも大切なことがあるなんて言ったら、美住がそれを追求してくるに決まっているのに。
「なになに、誠之助がそんな風に熱く語るなんて初めて聞くな~。興味ある~」
「お前にだけは絶対言わない」
「何でだよ、むしろ俺にだけは言ってくれよ」
「いやだ。あ、昼休み終わる。じゃあな」
信楽は危うく腕を掴まれそうになるのをかわし、次の授業の教室へと全速力で走った。
平日の夕方からオフィスに顔を出すと、美緒は何かしらトラブルを起こしており、信楽はまずそれを修正してから自分の仕事に取り掛かるというのが日課になった。
そして、ようやく迎えた日曜日。
きょうはいよいよ社長が帰ってくる。
まだ細かいところにまで手が回っていないが、男性向けショップの大まかなデザインは完成した。
果たして社長は気に入ってくれるだろうか。
信楽はドキドキしながら日曜日の朝十時少し前、オフィスの階段を上がっていた。
「おはようございます」
オフィスの扉を開けると、大きな段ボール箱がいくつも積み上げられていて、その向こうに社長の姿があった。
「社長、お帰りなさい」
「ああ、信楽君。急にいなくなってすまなかったね。色々と藤巻君のフォローをしてくれたみたいで、助かったよ」
「いえ・・・」
「そうなんですよ。本当に、信楽君がいなかったら、うちのショップ一週間休業状態でしたよ」
美緒は自分には出来ないことだと割り切っているのか、平気でそんなことを言ってしまう。
しかし、そんな風に褒められても、信楽の気持ちは複雑だった。
自分も恋が出来るようになるかもしれないと、この会社をバイト先に選んだのに・・・。
美緒の身体に触れ(しかもいきなりあんな場所に)、自分の大事な場所にも触れられて・・・。
物理的刺激で、自分の身体も美緒の身体もちゃんと反応した。
そして、その後も写真撮影で美緒の妖艶な姿を目の当たりにした自分のあそこはしっかりと反応していた。
しかし、それは自分が高校の時、嫌悪していたチャラい男たちと何が違うのかとハタと思ってしまった。
入ったばかりの会社をすぐ辞める様な無責任なことは出来ない。
それに、先週は美緒しかいなくて、とても放っておける様な状態ではなかった。
だが、自分が毛嫌いしていた男たちと同じようなことを、今まさに自分はやろうとしているのではないかと思うと、信楽は社長の謳い文句に騙された気分になる。
そんなのは自分が望んでいた恋の形じゃない。
だから、顔面はもちろん無表情だが、美緒のセクシーな姿を見ても、決して心は動かされないようにと、信楽は自分を厳しく戒めた。
「やめろ、それ以上言ったら二度と口をきかんぞ」
「そんなあ、俺の一番の楽しみを・・・。分かったよ、心の中だけで楽しむから、許してください」
こんな自分のどこを気に入っているのか理解に苦しむが、美住はとにかく信楽には弱い。
「それでも十分気持ち悪いけどな」
「で、誠之助は就活の方はどうなんだよ。やっぱIT関係なんだろ?競争率高いぞ~」
「分かってるよ・・・。まあ、ボチボチな」
「ボチボチって、もう今全力出さないと、いいとこ行けないぞ」
「いいんだよ。俺は、今もっと大事なことがあるから」
うっかり言ってしまってから後悔した。
就活よりも大切なことがあるなんて言ったら、美住がそれを追求してくるに決まっているのに。
「なになに、誠之助がそんな風に熱く語るなんて初めて聞くな~。興味ある~」
「お前にだけは絶対言わない」
「何でだよ、むしろ俺にだけは言ってくれよ」
「いやだ。あ、昼休み終わる。じゃあな」
信楽は危うく腕を掴まれそうになるのをかわし、次の授業の教室へと全速力で走った。
平日の夕方からオフィスに顔を出すと、美緒は何かしらトラブルを起こしており、信楽はまずそれを修正してから自分の仕事に取り掛かるというのが日課になった。
そして、ようやく迎えた日曜日。
きょうはいよいよ社長が帰ってくる。
まだ細かいところにまで手が回っていないが、男性向けショップの大まかなデザインは完成した。
果たして社長は気に入ってくれるだろうか。
信楽はドキドキしながら日曜日の朝十時少し前、オフィスの階段を上がっていた。
「おはようございます」
オフィスの扉を開けると、大きな段ボール箱がいくつも積み上げられていて、その向こうに社長の姿があった。
「社長、お帰りなさい」
「ああ、信楽君。急にいなくなってすまなかったね。色々と藤巻君のフォローをしてくれたみたいで、助かったよ」
「いえ・・・」
「そうなんですよ。本当に、信楽君がいなかったら、うちのショップ一週間休業状態でしたよ」
美緒は自分には出来ないことだと割り切っているのか、平気でそんなことを言ってしまう。
しかし、そんな風に褒められても、信楽の気持ちは複雑だった。
自分も恋が出来るようになるかもしれないと、この会社をバイト先に選んだのに・・・。
美緒の身体に触れ(しかもいきなりあんな場所に)、自分の大事な場所にも触れられて・・・。
物理的刺激で、自分の身体も美緒の身体もちゃんと反応した。
そして、その後も写真撮影で美緒の妖艶な姿を目の当たりにした自分のあそこはしっかりと反応していた。
しかし、それは自分が高校の時、嫌悪していたチャラい男たちと何が違うのかとハタと思ってしまった。
入ったばかりの会社をすぐ辞める様な無責任なことは出来ない。
それに、先週は美緒しかいなくて、とても放っておける様な状態ではなかった。
だが、自分が毛嫌いしていた男たちと同じようなことを、今まさに自分はやろうとしているのではないかと思うと、信楽は社長の謳い文句に騙された気分になる。
そんなのは自分が望んでいた恋の形じゃない。
だから、顔面はもちろん無表情だが、美緒のセクシーな姿を見ても、決して心は動かされないようにと、信楽は自分を厳しく戒めた。
0
あなたにおすすめの小説
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
可愛い女性の作られ方
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
風邪をひいて倒れた日。
起きたらなぜか、七つ年下の部下が家に。
なんだかわからないまま看病され。
「優里。
おやすみなさい」
額に落ちた唇。
いったいどういうコトデスカー!?
篠崎優里
32歳
独身
3人編成の小さな班の班長さん
周囲から中身がおっさん、といわれる人
自分も女を捨てている
×
加久田貴尋
25歳
篠崎さんの部下
有能
仕事、できる
もしかして、ハンター……?
7つも年下のハンターに狙われ、どうなる!?
******
2014年に書いた作品を都合により、ほとんど手をつけずにアップしたものになります。
いろいろあれな部分も多いですが、目をつぶっていただけると嬉しいです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
甘い失恋
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私は今日、2年間務めた派遣先の会社の契約を終えた。
重い荷物を抱えエレベーターを待っていたら、上司の梅原課長が持ってくれた。
ふたりっきりのエレベター、彼の後ろ姿を見ながらふと思う。
ああ、私は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる