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エロ.13
しおりを挟む「あの、聞いてもいいですか?」
「なに?」
助手席という距離感がテンションをさらに上げさせるようで、徳馬は鼻息荒く美世のことを見つめた。
「おい徳馬、姉ちゃんに変なこと言うなよ」
「別に変なことじゃないよ。必要なことだ」
「なんだ必要なことって」
シスコンの元貴としては徳馬が何を言い出すのか非常に気になるようだ。
「あの、美世さん今日水着、着ますよね」
「あ、こら、やっぱ変なことじゃないか!」
「いいわよ、そのくらい。海に行くんだもん、もちろん着るわよ」
「よかった~!!」
「何だよ、よかったって!お前、姉ちゃんのこと変な目で見たらぶっ殺すからな!」
「元貴、なんてこと言うの。だいたい、私の水着姿なんて見てもしょうがないわよ。海には若い女の子がいっぱいいるんだし。私みたいなオバサンは余り日焼けしないように、パラソルの下でおとなしく海を楽しむから」
賑やかな車内の中で高広だけが、また複雑な思いに駆られていた。
毎日のように見ている美世の裸を、今日は裸ではないまでも、それに近い水着姿を他の男達の目に晒すのかと思うと、とても平気ではいられなかった。
しかし、そんな素振りを見せないようにしながら、夏の海というテンションMAX状態を要求されるのだから、高広の表と裏の温度差は激しい。
三十分ほど車を走らせると海水浴場に到着した。
シートを敷いてパラソルを立てると、海の家で着替えを済ませた。
美世の水着は派手ではないもののビキニだったため、さっきまで図々しかった徳馬も目のやり場に困っているようだ。
美世に対してあれだけ積極的に質問をしていたくせに、いざ水着姿の美世を目の前にすると、今度は恥ずかしくて挙動不審になっている徳馬が可愛いい。
ただ、高広としては余計に心配の種が増えただけだけれど。
「徳馬、姉ちゃんのことやらしい目で見るんじゃないぞ!」
「み、見ないよ~」
徳馬は困った様な表情で言った。
「絶対だぞ!!」
だが、元貴に念を押される必要などない。
なぜなら、ただでさえエロい美世があろうことかビキニ姿で至近距離にいるのだ。
しかも水着の色は白ときている。
やらしい目で見るなという方が無理だ。
だから、徳馬は極力美世のことを見ないようにするしかなかった。
そうしないと、水着しか身につけていない下半身が大変なことになってしまいそうだから。
「ねえ、誰か日焼け止め塗るの手伝ってくれないかな?背中だけでいいから」
美世がボトルを差し出した。
「徳馬はダメだからな!」
元貴は早速牽制する。
「分かってるよ」
「じゃあ、高広君にお願いしようかな?」
「え、俺?」
高広は元貴の方を見た。
「高広なら大丈夫だ」
「なんでだよ~。差別だ~」
徳馬は高広のことを恨めしそうに見ている。
「高広は徳馬みたいにエロエロ星人じゃないから」
「何で分かるんだよ~」
「いつも一緒にいるから分かるの。じゃあ、俺と徳馬は先に行ってるから、高広も終わったらすぐ来いよ」
「うん、分かった」
ブツブツ文句を言っている徳馬を引っ張って、元貴は行ってしまった。
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