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エロ.15
しおりを挟む「得意なら得意って、最初から言ってくれよ~」
「そんなの知らないよ。俺だって泳ぐ前から誰が早いのかなんて分からないし」
「・・・そっか、そりゃそうだな、悪かった」
すっかり頭に血が上った徳馬は、たかがかき氷一杯に目くじらをたてた自分が恥ずかしくなる。
「なあ、楽しくやろうぜ」
元貴に言われ、徳馬も今日が唯一羽を伸ばせる日であることを思い出す。
「そうだな、じゃあ浜に戻ってかき氷食べようぜ」
三人は再び海に飛び込むと、今度は仲良く並んで岸まで泳いだ。
徳馬に勝たせてやることだって出来た。
だけど、たとえ徳馬がそれを知らないとしても手加減して勝ったとしたら、それは裏切りだ。
普段はクールに構えている自分が遊びで速さを競うことに対してこんな風に律儀に考えていることなど、二人は知りもしないだろうし、知られたくもなかった。
岸に近づくにつれ、美世のパラソルに誰かがいることに高広は気づいた。
「あれ?誰だろう」
徳馬が元貴に尋ねた。
「さあ、きっとナンパだろ?ほら、みんな急ぐぞ。姉ちゃんのピンチだ!」
「おう!」
元貴が駆け出すと、徳馬はすぐそのあとにつづいた。
しかし、高広は気付いてしまった。
遠目から見てもその人物が誰であるかを。
だからと言って、自分だけおかしな態度を取るわけにはいかない。
高広は軽いパニックに陥る。
なぜあの男がここに?
やっぱりあの日二人はそういう関係になったのだろうか?
そうこうしている間に、元貴と徳馬は美世とその男のいるパラソルの場所に到着している。
そこに行くことも怖いけれど、どんな会話がなされるのかと思うと行かずにはいられなかった。
高広は駆け足で二人のあとを追った。
「あの~、俺の姉ちゃんに何か用ですか」
「そうだぞ、美世さんに気安く声をかけるんじゃない!」
元貴と徳馬は早速その男を撃退すべく、臨戦態勢に入っている。
「ちょっと、待って。この人は知り合いなの」
「えっ!まさか姉ちゃんの彼氏?」
「ええっ!そうなんすか?」
元貴と徳馬は美世より随分年上に見えるその男を凝視した。
「残念ながら違うよ」
「うちの店の常連の服部さんよ」
「常連さん?偶然会ったの?」
「そう、偶然ね」
美世はその男と顔を見合わせる。
その間、高広はひと言も発することが出来なかった。
自分はその男のことを知っている。
それも、こっそりと観察していただけで、しかもこの間の夜見てしまったことも、大っぴらにするわけにはいかない。
そうなると、うっかりおかしなことを言ってしまう恐れがある。
それが怖くて何も言う事ができない。
「じゃあまた」と言って、服部という男は去って行った。
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