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君に溺れてしまうのは僕だから.02

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 武彦は35歳の今でもとても若く見える。

 秀麗な顔立ち、整った体躯、身につけているものは全て品のいいものばかりだ。

 雑誌などの特集でも、本の内容はもちろんのこと、その美しい容姿が女性の人気を集めている。



 最初はただの憧れだったのかもしれない。

 だが、伊織の成長とともに憧れはいつしか恋へと変わっていった。

 しかし、武彦の気持ちは伊織と同じであるという確証は無い。

 伊織はそんな不確かな関係であっても、それが壊れてしまうよりはましだと思っていた。

 だから、武彦の気持ちを確かめるつもりはなかった。

 ただ、一日でも長くこの関係が続いて欲しい。

 伊織が願うのはそれだけだった。

 家政婦の田所さんは夕食を作り終えると暇を告げる。

 家には武彦と伊織二人きりだ。

 食卓ではごく普通の会話が交わされる。

 ここでは普通のおじと姪だ。

 食事を終えると、武彦は一階の奥まった場所にある書斎へ行き、伊織は食器の片付けをする。

 伊織が片づけを終えて二階の自室に引き上げて宿題などに取り掛かり一時間ほど経つと、ドアがノックされる。

 それはもう日常になっていた。



「はい」

 伊織はそう返事をすると部屋のドアを開けた。

 そこには武彦が立っている。

「来なさい」

「はい」

 伊織は武彦の後について、書斎の奥にある武彦の寝室へと向かう。

「おいで」

 言われるがまま、伊織は武彦の胸に体を預けた。

 もう何度も何度もこうして武彦に抱かれているというのに、伊織はそのたびにドキドキして泣きそうになる。

 武彦は伊織の服をゆっくりと脱がしていく。

 武彦は昼の散歩のあと、シャワーを浴びた。

 素肌に羽織っていたガウンを脱ぎ捨てると、引き締まった体が露わになる。

 武彦はなにも言わず伊織をベッドに横たえると、その上にそっとのしかかった。

「おじさま…」

 まるで日課のように淡々と行為をすすめる武彦とは反対に、伊織はこれから与えられるであろう快楽を想像するだけで、胸がかき乱され、息が乱れる。

 伊織の潤んだ瞳を見ても、武彦はその顔色を変えることはない。

 伊織は物欲しそうに武彦を見つめてしまう自分を恥じた。

 しかし、彼の色香に当てられると、欲しくて欲しくて仕方なくなってしまうのだ。

 武彦はいつもくちづけにかなり時間を割く。

 最初は柔らかく舌と舌で遊ぶようにくちづける。

 しかし、しだいにそれは濃厚なものに変化して、息をすることもままならない程に激しくなる。

「んんっ、んっ、んっ…」

 毎日のようにしているのに、伊織はキスだけで体がとろけてしまいそうになる。

 そこからも、武彦はじっくりと時間をかけて、伊織の体中をくまなく愛撫していく。

「あ、おじさま…、あっ、ああっ!」

 伊織は擦れた嬌声をもらし続ける。

 武彦の愛撫は異常なほどに丁寧で、伊織の体は全身が性感帯になってしまったのかと思うくらいに感じてしまう。
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