君に溺れてしまうのは僕だから

星野しずく

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君に溺れてしまうのは僕だから.09

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「来なさい」

 武彦が来てくれたことで一瞬ホッとした伊織だったが、その表情を見た瞬間やはりいつもと違うものを感じた。

「はい」

 伊織は本当は武彦に聞きたいことがいっぱいあった。

 だけどその全てを飲み込んだまま黙って歩いた。

 武彦の部屋に入ると、いつものように抱きしめられた。

 ああ、おじさまの香り。

 武彦は書き物をしている時タバコを吸う。 

 武彦のシャツには武彦の香りとタバコの香りが混ざった香りがついている。

 大人の男の香りだ。

 武彦に抱かれてその香りを嗅ぐと、これから与えられるめくるめく快楽が連想されて、伊織はたまらない気持ちになる。

 武彦はいつものように伊織の服を脱が自分も服を脱いだ。

 伊織をベッドに横たえると、武彦はその上に体を重ねた。

 武彦と自分を隔てるものは何もない。

 肌と肌が触れ合うこの瞬間がたまらなく幸せだ。

 武彦はいつものようにじっくりと伊織とのくちづけを味わった。

 武彦の舌に自分の舌を絡める行為は、まるで舌でセックスをしているような気分にさせる。

 それだけで、伊織の息はあがる。

 伊織とのくちづけを味わい尽くした武彦は、体中を愛撫した。

 ザラリとした熱い舌で体中を隈なく舐められ、吸われると、伊織はたまらない気持ちになる。

 女として武彦に求められている。

 それは伊織にとって至上の喜びだった。

 もっと女らしくなりたいと思う。

 武彦が自分のことを離せなくなるように。

 毎日のように愛撫されても、伊織の体は益々武彦のことを欲した。

 愛されればされるほど、もっと、もっと欲しくなってしまう。
 
 最後に愛撫される場所に武彦の唇が移動していく。

 その快感を覚え込まされたその場所は、それだけでジンジンと熱く疼く。

 武彦の熱い舌でひと舐めされただけで、伊織の体は歓喜に震えた。

「ああっ、おじさま…、そんなに…したら…」

 その舌は伊織が声を嗄らすまでその部分を愛撫してくれるのだから。

 伊織の嬌声とぴちゃぴちゃという水音だけが、部屋に響いている。

「あ、ああっ、私…、おかしくなっちゃいます…」

 長い愛撫のあいだ、武彦の大きな手が伊織の太ももを撫で、つまんだ。

 つままれる時のチクッとした痛みが、愛撫とともに施されると、伊織は興奮した。

「お、おじさま…、あ、もう…」

 伊織はついに登りつめた。

 溢れ出した蜜は武彦の舌で舐めとられ、その度に伊織の体はビクビクと震えた。
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