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第一章
第22話 魔力封印
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「えっ、なにこれ?! 頭の中に何かが……」
光の中心からクロノの戸惑った声が聞こえる。
おそらく彼女は突然『魔力封印』のスキルが閃いたことに驚いているのだろう。
自身が体験しているからわかる。スライム斬りと英雄の盾、この二つの高位スキルを取得した時の話だ。
契約が完了した途端、スキルについての詳細やどのような方法で使用すればいいのかが瞬時に頭に浮かんできた。
俺の場合、インプットされた方法で剣を振ってみたが残念ながら条件が足りてない為スキルは発動されなかった。
スライム斬りはスライムを剣で百回以上攻撃、英雄の盾は戦士職で金級冒険者以上になることで利用可能になる。
そして、今回クロノに付与した魔力封印スキルの発動条件は。
魔力量銀級相当。補助魔術技能銀級相当。魔力弱体スキル取得済み。魔法剣士特性有り。
スキルによる魔力弱体化五百回成功済み。
『大丈夫、彼女なら可能ですよ』
ふわりと、柔らかな女性の声が耳に触れる。クロノでもミアンでもない。
彼女の気配はそれきりだったが、不安が打ち消された俺の胸には勝利による喜びと興奮が満ちていた。
「アルヴァさん、これ……いつも魔物たちに念じているのと同じにやればいいんですよね?!」
「ああ、弱体対象はミアンだ。相手を殺す技じゃない。だが魔王を封印するつもりで祈れ!!」
「はい、頑張って倒します!!」
「ふっざけんじゃないわよぉおおお!!」
スキルを理解したクロノの声と、発動を後押しする俺の激励。
それにより怒りを増したミアンの咆哮。術者の手から離れ襲い掛かってくる極炎鳥。
そして。
「聖魔女イデアの御業を借り唱える、魔の泉の入り口よ閉じよ……魔力封印!!」
中性的な凛々しい声が呪文を言い終えた瞬間、部屋の空気がぐんと薄くなる。呼吸の最中にぎゅっと喉を絞められた感じだった。
しかしそれは一秒にも満たないもので俺は苦しさよりも違和感を覚え周囲を見渡した。
火の鳥による熱さはもうない。というか魔力で生み出された灼熱の孔雀自体が消えている。羽さえも落ちていない。
そしてそれを生み出したミアンは首を折られた白鳥のように顔を真っ青にして蹲っていた。
「な、なにこれぇ、気持ち悪い、寒い、さむいよぉ……」
先程まで怒りに燃えていた魔女は氷の張った湖に突き落とされた後のようにガタガタと震えている。
部屋から異様な熱は去ったが、空気が冷えている訳ではない。それなのに彼女は今にも凍死しそうだった。
何が出来るか考えて、とりあえず上着を脱いでかけてやる。
「意味無いわよ……ばかいぬ」
俺の行為に対しミアンがか細く呟いたが、服を払い落とす様子はなかった。
「私の体、泥人形になったみたい。肉の重さだけ。魔力が全部なくなっちゃった、クロノなんかに、奪われちゃった……」
あれだけ見下していた相手なのに。そう大粒の涙を浮かべながら魔女は嘆く。高慢さを失っていない分哀れさが際立った。
萎れきったミアンにクロノが慌てたように口を開く。
「ボクは奪ってないですよ、魔力封印なので!それに……」
「よくやったから黙ってろクロノ」
時間が経てば魔力の封印状態も解除される。そう黒髪の少女が説明する前に手で口を塞ぐ。
今はまだミアンに希望を持たせる時ではない。
やっとこれからこの金髪の魔女と理性的な話し合いが出来そうなのだから。
光の中心からクロノの戸惑った声が聞こえる。
おそらく彼女は突然『魔力封印』のスキルが閃いたことに驚いているのだろう。
自身が体験しているからわかる。スライム斬りと英雄の盾、この二つの高位スキルを取得した時の話だ。
契約が完了した途端、スキルについての詳細やどのような方法で使用すればいいのかが瞬時に頭に浮かんできた。
俺の場合、インプットされた方法で剣を振ってみたが残念ながら条件が足りてない為スキルは発動されなかった。
スライム斬りはスライムを剣で百回以上攻撃、英雄の盾は戦士職で金級冒険者以上になることで利用可能になる。
そして、今回クロノに付与した魔力封印スキルの発動条件は。
魔力量銀級相当。補助魔術技能銀級相当。魔力弱体スキル取得済み。魔法剣士特性有り。
スキルによる魔力弱体化五百回成功済み。
『大丈夫、彼女なら可能ですよ』
ふわりと、柔らかな女性の声が耳に触れる。クロノでもミアンでもない。
彼女の気配はそれきりだったが、不安が打ち消された俺の胸には勝利による喜びと興奮が満ちていた。
「アルヴァさん、これ……いつも魔物たちに念じているのと同じにやればいいんですよね?!」
「ああ、弱体対象はミアンだ。相手を殺す技じゃない。だが魔王を封印するつもりで祈れ!!」
「はい、頑張って倒します!!」
「ふっざけんじゃないわよぉおおお!!」
スキルを理解したクロノの声と、発動を後押しする俺の激励。
それにより怒りを増したミアンの咆哮。術者の手から離れ襲い掛かってくる極炎鳥。
そして。
「聖魔女イデアの御業を借り唱える、魔の泉の入り口よ閉じよ……魔力封印!!」
中性的な凛々しい声が呪文を言い終えた瞬間、部屋の空気がぐんと薄くなる。呼吸の最中にぎゅっと喉を絞められた感じだった。
しかしそれは一秒にも満たないもので俺は苦しさよりも違和感を覚え周囲を見渡した。
火の鳥による熱さはもうない。というか魔力で生み出された灼熱の孔雀自体が消えている。羽さえも落ちていない。
そしてそれを生み出したミアンは首を折られた白鳥のように顔を真っ青にして蹲っていた。
「な、なにこれぇ、気持ち悪い、寒い、さむいよぉ……」
先程まで怒りに燃えていた魔女は氷の張った湖に突き落とされた後のようにガタガタと震えている。
部屋から異様な熱は去ったが、空気が冷えている訳ではない。それなのに彼女は今にも凍死しそうだった。
何が出来るか考えて、とりあえず上着を脱いでかけてやる。
「意味無いわよ……ばかいぬ」
俺の行為に対しミアンがか細く呟いたが、服を払い落とす様子はなかった。
「私の体、泥人形になったみたい。肉の重さだけ。魔力が全部なくなっちゃった、クロノなんかに、奪われちゃった……」
あれだけ見下していた相手なのに。そう大粒の涙を浮かべながら魔女は嘆く。高慢さを失っていない分哀れさが際立った。
萎れきったミアンにクロノが慌てたように口を開く。
「ボクは奪ってないですよ、魔力封印なので!それに……」
「よくやったから黙ってろクロノ」
時間が経てば魔力の封印状態も解除される。そう黒髪の少女が説明する前に手で口を塞ぐ。
今はまだミアンに希望を持たせる時ではない。
やっとこれからこの金髪の魔女と理性的な話し合いが出来そうなのだから。
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